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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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エドリア伯爵は失敗する

一応R15指定で。

「久しいな。現役を退いて今は別宅でごゆるりと過ごされておいでとか?」


「・・・・リディ陛下もお変わりなく。それで、こんな老人になんの御用でしょうか?」


テニアをここに寄越したのは失敗だった。

あの女ならば上手い事リディを暗殺出来ると踏んでいたのだが、私の考えが甘かったな。まさか、寝返るとは。


「・・・実は少し前、貴方の孫娘が宮廷の最重要人物に危害を加えた疑いの件を調べ、新たな事実が知れたのだ。その件で貴方を此処へ呼んだ。どうやらあの者達は、最初私を暗殺する為に此処へ連れて来られたらしくてな?」


しかし、一体どうなっているのだ。

私はリディ以外を襲えなどと命令させた覚えはない。

孫娘も確かに依頼はしたようだが、その相手が私が依頼した者達だと知らなかった。


私の命令を途中で誰かが変更した可能性がある。

だが、一体誰がそんな事を?


「罪人の一人が貴方の名前を出したのだ。最初の雇い主は、エドリア・・・貴方だそうだな?」


「ご冗談はおやめ下さい。何の証拠があってそんな事を」


本当に邪魔な小童め。


黙ってナシェスを皇帝に据えていれば良かったのだ。

そうすれば私は今の暮らしを手放さずに済んだのに。


周りが栄えてしまったら、皆其方へ行ってしまうではないか。せっかく何不自由なく暮らせていたものを・・・。


「・・・テニアを此処へ寄越したのは貴方だ」


「確かにそうですが、彼女は元々此処で働いていた優秀な女官です。それが私の息子の屋敷で働けなくなったと言うのでこちらに戻ってはと世話してやったのです。彼女が何をしたのか知りませんが言い掛かりはやめていただきたいものだ」


「ねぇリディ。この話長くなる? まどろっこしい」


何だこの小娘は?

一体何処から現れた? 急に背後から現れて無礼な女だ。


「初めましてエドリア伯爵? 私はメリル。メリル・マスカーシャ」


マスカーシャ!?何を言っている? マスカーシャとは、確か大魔術師デズロ様の・・・。


「私の部下がお世話になったみたいで? お陰様でリディも私も危ない目に遭ったけど、私最強に頭が良くて強いから全員返り討ちにしちゃった。あんたの娘が標的をリディから私に変更してくれたお陰で犯人が炙り出せたから本当に助かったよ? 出来が悪い子供を持つと親は苦労するよね?」


ま、まさかクロエが? あの馬鹿め!!


「あと貴方さぁ、テニアが本当は何をしたいのか実の所分かってなかったよね? 貴方はナシェスを皇帝にしたかったみたいだけどテニアが殺したかったのは、そのナシェスだからね?」


「・・・・・言っている意味が理解出来ませんが?」


「それと、貴方が今回捕まるのは暗殺を企んだ事じゃないよ? 長年あり得ない程の重税を領民から徴収してたのにそれを正しく宮廷に申請せずに、懐に忍ばせ続けた罪だから。テニアがね? 事細かに記録してたよ? 現地の領民達からもちゃんと詳細な書類を貰ってるから、言い逃れ出来ないよ? 逃げた領民も何人か殺してるよね? それも調べはついてるから」


ふざけるな! そんなデタラメ誰が信じるか! そんな証拠は存在する筈がない! それらは念入りに消した筈。


「貴方、領民を舐め過ぎだよね? テニアの事も弱みを握っていれば言いなりとか安心してたでしょ? でもさ、そんなの速攻で貴方を捕らえちゃえば意味ないよね? 私ちょっと今回、割と頭にきてるから、二度と外の空気、吸えないと思ってね?」


「さっきからお前は何なのだ!! 私は何も知らない! テニアが勝手にやったのだ!! リディ様を毒殺しようとしたのも! 貴様を襲わせたのも! 私の家族は関係ない!」


「そうだよねぇ? あ、私さぁ実は本職が薬師なんだ。だから、毒の種類にはとても詳しいの。あの大荒れのカスバールの土壌でさ? 毒草を育てるのも楽じゃないよねぇ? だからちょっと調べてみたんだよね? そしたらさぁ貴方の所に出入りしてた商人が扱っていた毒薬を貴方が買い取った記録がバッチリ残されてたよ? 他所の国の商人はね、売った商品と相手をちゃんと記録しておくものなんだよ? じゃなきゃ国境を跨いで商売出来ないから」


嘘だ。そんな事は不可能だ。そもそも一介の商人をどうやって探し当てるというのだ。こんなものは、デタラメだ。


「その毒薬がリディに使われた物と同じだった。他にカスバールで売ってなかったみたいだからね? 間違いなく貴方からテニアに渡された物だと思うよ?」


「私は知らない!! リディ様が暗殺されそうになった事も今知ったのだぞ! いい加減にしろ!!」


「そうなの? リディが暗殺されかけたのを今、この場で知ったの?」


「そうだ! そんな私がリディ様を毒殺するなどあり得ない!!」


落ち着くのだ。

こんな小娘と小童などどうにでもなる。


このまま捕らえられ屋敷を調べられたりしなければ・・・。


「でもさ、じゃあ何で知ってんの?」


「・・・は?」


何を知っていると? 何も知らないとさっきから・・・。


「貴方、テニアがリディを()()しようとしたって言ったよね? でも、そんな事はリディ一言も言ってないけど?」


な、んだと? この娘、まさか。これを言わせる為に!?


「何であんた、リディが毒殺されかけた事知ってんの? そんな事私達以外誰も知らない筈だけど?」


「そうだな? 私も暗殺されそうになったと言っただけだ」


こんな、失敗を犯すとは。

それも全てテニア。あの女の所為だ。あの女が直ぐにリディを殺せなかった所為で・・・・。


「諦めなよ。もう充分人生を楽しんだでしょ? 他の人間の犠牲の下にさ? そろそろ踏みつけられて来た人達が幸せになる番だと思うよ?」


「ふざけるな!!こんな事は認めない! 認めないからな!!」


何だ! 貴様ら一介の兵士が私に触れるなど馴れ馴れしい! 触るでない! 小娘め! 下賤の者が私を見下しおって!!


「・・・こんな男がテニアの実の父親だなんて、私の口からはとても言えないわ。あんた知らなかったでしょ? アンタが好き勝手に扱ったテニアが昔放り出した侍女の子供だった事」


「・・・・・・・は?」


テニアが、私の娘? 何を言っているんだこの女。

そんな、馬鹿な!


「その侍女の面影がテニアにあった? それでテニアを雇ったの? 本当にあんたクソ野郎だよね。実の娘に手を出してそれを弱みに好き放題してさ? お陰でテニアの貴重な人生がその分無駄に消費された。だからあんたも残りの人生苦しんだってしょうがないよね?」


確かにテニアは昔私が手を出して放り出した女に少し似てはいたが、少しだけだ。私は騙されない。これは、この小娘が私を狼狽えさせる為の狂言だ!


「二度と外に出られるなんて思わないで。これから先、テニアの行く先にアンタが映る事はない。例え生き永らえる事が出来たとしても、アンタはこれから地を這う生活を送ってもらう。彼女の前に現れる事を私が許さないから」


これは、悪い夢だ。

さっきまでいつもと変わりない生活を送っていたのだ。

何故、こんな事になったのだ・・・・・。


「後悔しても遅い。さようならエドリア伯爵。奈落の底で良い夢を」


絶対にこんな事認めてなるものかぁあああああ!!

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