メリルは見送り迎え入れる
「あーあ。もっとゆっくりしたかったのになぁ」
「何を言っている? 用が済んだのならサッサと帰れ。お前がいるだけで騒がしくて俺は落ち着かなかった」
「テゼールの意思は関係ないよ? お前なんなの? 本当なんなの?」
・・・・お父さんとデズロさんってなんでこんなに仲悪いのかなぁ? 性格的に合わないのは分かるんだけど、顔を合わす度にギスギスしてるよね?
「お母さん。なんであの二人あんなに仲が悪いの?」
「は? 悪くないわよ? あの二人は昔からとても仲良いわよ?」
「ん? それは、どういう事ですマリオーネさん。あれの何処が仲が良いと?」
だよね? フィクスさんもそう思うよね? ベロニカ?
「・・・・・あの人本当にティファの父親なのね。素直じゃない」
素直じゃない? どういう事?
私もフィクスさんも全然わかんないから分かるように説明して欲しい。
「そうねぇ。テゼールはあれが素なの。良くも悪くもずっとあの態度だから・・・誤解されやすい。でも、本人はアレで普通に接しているつもりなのよ? ティファも勘違いしていたでしょ? 自分は嫌われているって。相手の意を組みとる事が出来ない人なの」
えーと? 要するに?
「昔、デズロがテゼールを連れてサウジスカルに行こうとしたら、テゼールがそれを嫌がってね? 離れ離れで暮らすのと、この国どちらが大事なんだって言ったら、テゼールこの国に残る方を選んだの。それ以来、デズロ拗ねちゃって」
・・・・・・は?
ちょっ・・・とそれ。初耳だね? いつの話なのかな?
エルハド様も驚いてるけど?
「それからずーーーーと自分が選ばれなかった事を根に持ってるの。因みにテゼールはその事を知らないわ」
「・・・・・どんだけ子供なんだあの人。あり得ない」
「信じ難いわ。究極のブラコンだわ」
お父さんもなぁ。確かに天然な所、あるよね。
お姉ちゃんもそうだもんね? だからダブル天然で収拾つかなくなっちゃったのかな? 血って怖いね?
「サウジスカルも大変なんだろう? 早く帰って助けてやれ。もたもたするな」
「煩いなぁ〜そんな事言われなくても分かってるよ」
「こちらも落ち着いて動けそうなら、またそちらに顔を出す。もう手紙を送っても問題ないんだろ? 何かあればメリルに連絡しろ。すぐ、駆けつける」
伯父さん? なんで思い切り私達から顔を背けた?
・・・もしかして、恥ずかしがってる?嬉しいの?
顔が緩みそうになるくらい嬉しいの? 可愛いなそれ。
「・・・・別に・・・駆けつけなくてもいいよ? テゼールはメリルの心配だけしてればいいから」
「阿呆か。ティファは俺の娘だし、お前は俺の家族だからな。心配くらいさせろ。そして少しは自重しろ」
うん。これは私達見てない方が良さそうだな。
伯父さんがデレられない。はい、では私から一言。
「お姉ちゃんけっこう面倒な性格してるし、分かりづらいから大変だと思うけど、よろしくね? 」
「ああ、大丈夫だ」
「ええ。側にいるわ」
安心した。
色々悩んで後悔したけど、今お姉ちゃんが幸せそうで私ホッとしたよ。
お姉ちゃんを幸せにするのが私達家族じゃないのは気に入らないけどね。それでも、もういいや。
「デズロ、いつまでやっている? もう行くぞ?」
「・・・・・ッチ!」
「デズ・・・・・」
伯父さんってさぁ。
本当に色々な意味で規格外な人だよね?
愛情表現が激しすぎて私ついていけない。
この人本当にお父さんのお兄さんなのかなぁ?
大人の男の人が兄弟にあんな風に抱きつくの始めて見た。
「僕を捨てたんだから、ちゃんと生き残りなよ。のたれ死んだら許さない」
「? 捨てた? 俺はお前を捨てた覚えはないが? 何訳のわからない事言っているんだ?」
「僕とこの場所どちらを選ぶと聞いた時、ここで暮らす事を選んだじゃない。僕がいなくなってもよかったんでしょ?」
二人だけの肉親だもんねぇ。私なら、どうしたかなぁ?
「あのな。俺までカスバールを出てしまったら、お前の帰る場所がなくなるだろうが」
「・・・・は?」
「こんな場所でも、ここはお前と俺の故郷だ。お前がサウジスカルから此方へ戻る時、帰る場所が無ければ困るだろ? なんだデズロ。そんな事気にしていたのか? お前、子供なのか?」
凄いね。
本当に血って怖い。そこは私お父さん譲りだったんだ?
私もお父さんと同じ事考えてた。お姉ちゃんがいつか、帰って来られる様にって・・・思ってた。
「テゼールって昔から言葉が足りないよね? あと、僕の事ちゃんと兄さんって呼んでよ。昔みたいに」
「我儘の奴だな? そもそもお前が俺に兄さんと呼ぶなと言ったんだろうが。意味不明だな」
皆、笑顔だね。
こんな心穏やかな時間は久しぶりだな。
お姉ちゃんが彼方で笑って暮らしているのも納得出来るよ。でも・・・・・私はここで生きるよ。
だから、いつでも帰って来れば?
「メリル、必ずまた会いましょう。次はティファも一緒にね?」
「うん、ベロニカ。約束する」
騒がしい人達だったけど楽しかったな。
また近いうちに必ず会いに行こう! そうしよう!
「随分と仲良くなったッスね? ベロニカさんと」
「うん。歳もそんなに離れてないから呼び捨てでいいって。助かるわ〜。私敬語とか苦手だからさぁ」
名残惜しいけど気持ち切り替えないとね!
シャミの求愛行動は相変わらずだけど、私がやめて欲しいって頼んだ事はやらなくなったから其方もひと段落しそうだし、そろそろ薬を商店に持っていく話を進めないとね。
さぁ! 気を取り直して仕切り直そう!
[帰ってくる・・・・]
[やっと帰ってくる。この地に帰って来る]
「え? 何?」
どうしたの?
なんだか妖精達の様子がおかしい。
皆、体が発光してるけど、何が起きてる?
「メリル!!」
「シャミ? チェシャ、これは・・・・」
「え? なんすか? 三人共慌ててどうしたんスか?」
ちょっと待って?
どうなってるの?
「カスバール全ての妖精なのか? 地平線からここまで光が広がっていくぞ」
「え? 光なんて見えねぇっすよ?」
違う。光が一点に集まって来てる。
ここに!
[新たな精霊が生み出される準備をしなきゃ! チェシャ!]
「な、なんだ? 私がどうした?」
[新しい精霊が生まれるよ? サウジスカルで迷子になったカスバールの精霊が役目を終えて。今度こそ守ってね? 貴方の精霊を]
チェシャの・・・・精霊!
分かった。
私、話が繋がった。
カスバールにだけ居ない精霊。
サウジスカルを悩ませている大樹の存在。
デズロさんがその大樹に呼ばれた訳。
私達は、サウジスカルの大樹を守る存在だったんだ。
あの大樹は恐らく元々カスバールの精霊だった。
それが何故か、あちらに渡ってしまったのね?
そして、今回生まれようとしているカスバールの精霊を守るのは、ディムレムの血族なんだわ。
妖精は、ずっと私がサウジスカルの大樹を救う事を期待していた。けれど私が自分達の存在を認識しても動かなかったから、お姉ちゃんを動かしたって事? やられた!
全部うまい具合に誘導されていたって訳?
と、いうことは。サウジスカルの大樹に何かあったんだわ!
今からじゃデズロさん達、間に合わないよ。どうしよう。
[さようならメリル。私達は在るべき姿に戻る]
[あはは! 戻ろう戻ろう!]
「いなくなっちゃう? 皆? 」
この子達が居なくなったら一体どうなるの?
私想像出来ないわ。カスバールは、これからどうなる?
[いなくならない。ずっとあなた達といる。この世界を見守っているよー!]
「メリル! この光は一体なんだ? 今何が起きている?」
リディ? え? アンタもこれが見えて・・・。ちょっ眩しいってばーーー!!み、みんな!!




