ベロニカは自分の想いを口にする
「恋なんて人それぞれよ? 聞いても参考にならないかも」
「それでもいい。私の近くにいる人の中で一番参考になりそうだから」
確かにね。
ティファの周りもそうだけど、メリルの周りの方が変人が多そうだわ。口には出さないけど。貴女中々個性溢れる人達に囲まれて生活してるわね。感心する。
「いつ、自分の気持ちに気が付いたの?」
「実はね、フィクス最初ティファの事が好きだったの」
「・・・・・え!? 嘘でしょ?」
そんなに驚く事かしら?
ティファは此処では生きて行くのに精一杯で恋愛どころではなかったけれど、彼方では女性らしい身なりで戦うことも殆どなく、普通の女性として過ごしているの。
あんなに綺麗なんだもの、男性の目を惹きつけてもおかしくないわ。
「ティファ何気にあちらではモテモテよ? 皆ティファが大好きなの。あの子のあの特殊な性格も受け入れられてる。あちらでティファを否定する人は誰もいない」
ここでずっとティファは否定され続けた。
そして、唯一認められた騎士としての役割も取り上げられそうになった。ナシェスによって。
「ごめんなさい。私、まだナシェス様を許せない。会ったら、憎しみがぶり返して来そうだから、わざわざこちらに通ってもらったの。最初はね、フィクスの事が苦手だった。あの人も綺麗な人でしょ? ナシェス様の事があったから、良いイメージがわかなかったの。でも、それがフィクスの目を引いたみたい。あの人は、興味を持たれない事に慣れていなかったから」
ティファを裏切った仲間だと分かってからは私への態度が冷たくなった。でも、私はそんな対応には慣れていたから気にしていなかったのだけれど・・・・。
「私、ティファを逃がす時追い詰められてティファを崖から蹴り落としたの。結果的にティファは助かったけど、死ぬ可能性もあった。でも、それでもいいと思ったの、その時は」
「捕まるよりは死んだ方がマシだったって事?」
「ええ。私はそれで誰に恨まれても構わなかった。それで、貴女達に殺されたとしても・・・言い訳もしなかったわ。でも、あちらでは誰も私を責めたりしなかった。ただ、理由を聞いただけ。でも、フィクスだけはいつまでも納得出来なかったのね。私が本当の事を口にするのを待ってた。私は卑屈なんだそうよ?」
何度も何度も、フィクスは私の事を卑屈だと言った。
そう口にして、その後すこし悲しそうな顔で私を見た。
私には、彼の気持ちが理解出来なかった。
「フィクスは伯爵家の後継でサウジスカルの騎士なのに全然偉ぶらないの。誰にでも平等で、優しくて、自然と人に気遣う事が出来る人。私、あの人の事を知る内に頑張って欲しいなって思った。この人なら、ティファを任せられるんじゃないかって・・・・でも」
「でも?」
でも。ティファが好きになったのは、多分フィクスじゃない。そして、その相手も誰よりもティファの事を想ってる。その事にフィクスは気が付いていた。
「フィクスは、自分ではなく自分の親友とティファが結ばれる事を望んだの。自分も、ティファを好きなのに」
私は、その現場を目撃する度にイライラした。
何故フィクスが我慢するのか、私には分からなかった。
彼がティファではなく私に話しかける度、胸がザワザワと音を立てた。
馬鹿な人。本当に好きならもっと頑張ればいい。
ティファもきっと私と同じ理由でフィクスを警戒したに違いない。現にフィクスは最初、内密にデズロ様の命でティファを監視していたから。でも、もう誤解は解けたのにと。
「・・・それで、ベロニカは気付いたの?」
「いいえ。気付いたのはもっと後。私の身体が上手く動かなくなって、知られる前にサウジスカルから出ようとした時。それを知ったフィクスが私を追いかけて来たの。私は訳あって返り血まみれで罪人と兵士を待ってたんだけど」
「何それ。どんな状況でそうなった?」
その話はまぁ置いておいて。
その時、私を見つけたフィクスの顔を見たら、なんだか、物凄く堪らなくなって。だって・・・・。
「男の人でも、あんな風に泣くんだって思って。私、自分の為にあんな風に誰かに泣かれた事なかったの。私が死んであんな風に悲しんでくれるのは、きっと死んだ家族か、ティファだけだって思ってた」
"どうしてなんだよ。どうして?なんでベロニカばかり"
「その時、私は確かに満たされた。その瞬間だけでも、フィクスは私だけを見てくれてるって。ティファではなく、私だけを・・・」
例え、一時的な同情なのだとしても構わなかった。
私はその時、自分がフィクスに向けていた思いが何だったのか気が付いた。
「きっと私はずっとフィクスに私を見て欲しかったのね。無意識にフィクスにそんな態度をとっていたのだわ。だから素直じゃない私の態度に何度も卑屈だと言ったのだと思う。私、思ったより分かりやすかったみたいよ?」
まさかフィクスに私の気持ちがバレていたとは思わなかったわ。完璧に隠してたつもりだったのに。
「そうなんだ。じゃあ、両想いになれて良かったね? そんな恋の始まりもあるんだねぇ?」
バタンッ!!
「ん? 何で倒れるの?」
「・・・・・・それが、良くないのよ。良い訳ない」
そうよ! まさか本当にフィクスが私の事を好きとか言い出すなんて。
困る! 私本当に、貴族の奥様になんてなれない!!
こんな事なら自分の気持ちに気がつくんじゃなかった!! わーーーーん! どうしたらいいのー!!
[最強騎士は料理が作りたい]
[デズロはティファを見つけたい] 辺りの話です。実際のベロニカとフィクスのやり取りは描かれて居ませんが、お話を詳しく振り返りたい方がいましたらその辺りを読み返して頂ければ、ああ、そんなエピソードがあって、この後二人はそんなやり取りしてたんだな〜とわかるかと?
参考までに!




