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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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ベロニカは緊張している

初めまして。

私はベロニカ。


元カスバールの女騎士で諸事情によりメリルの姉ティファとカスバールから逃げ出したの。


目的はティファを逃す事だったから途中からはお互い別々にサウジスカルで生き延びていたのだけど、まさかの再会。そしてめでたくティファに捕獲され、今では私もサウジスカル国民としてあちらの国で暮らしているわ。


今回私の身体を治す為に大袈裟なくらい気遣われながらカスバールに到着したわ。私、正直とても恥ずかしい。

こんなに丁重に扱われた事、今までの人生で経験ないの。

私の居た堪れないこの気持ちを皆に察して欲しいわ。


「顔色はいいな。心配していたが体力がもって良かった。少し休んだらメリルに診させよう」


「はい。ご迷惑をおかけ致します」


「あら? ご迷惑なんてとんでもないわぁ? ティファ散々貴女に迷惑かけてるんだから、気にしなくてもいいのよ?」


今、私と話しているこの方達はティファの育ての親で、メリルのご両親なの。


つい最近ずっと探していた行方不明のティファと再会できて、色々あって和解できた。


本当にハラハラさせないで欲しいわ。

でも、良かったわね。私も、なんだか肩の荷が下りた。


「ベロニカ。大丈夫か? 久々で緊張してる?」


・・・そして、この人はサウジスカルの私の職場で暮らす騎士で、何故か強引に今回私に同行した男性。


フィクス・ヴァンディル。


わ、私の・・・。


「いい? 君は今から俺の婚約者だからね? 俺から離れちゃ駄目だ」


なんで、なんでこんな事に!!(泣)









「それがさぁ。確かに昔に比べたら安全にはなってたんだけど、女性騎士は一人も居なかったんだよねえ。つまり、皆辞めたか、酷い目にあって居られなくなった可能性がある。ベロニカ顔見知りも多いでしょ? 決して安全じゃないと思うんだよねぇ」


そりゃそうね。

当時は本当に酷いものだった。

ここじゃとても言えない様な嫌がらせも多かったし、ティファが側に居なかったら私も生きてここに居なかったわね。


「・・・・俺がベロニカに貼り付いてます。その為について来てますし」


「まぁ、護衛として側にいるのでもいいけど、それよりもっといい方法があるじゃない?」


マリオーネさん? 何そのニヤニヤ顔。嫌な予感しかしませんが?


「二人は婚約者って事にすれば? そうすれば堂々とベロニカを悪い虫から守れるし、部屋も同じに出来るわよ?」


「「は?」」


「マリオーネ。それは、いくらなんでも」


「・・・・確かにそうだね。それぐらい警戒しないとあそこは危険だよ。ベロニカも、分かってるでしょ?」


「え? そうなの? ベロニカ、そんな所で暮らしてたのか?」


う! だから、嫌だったのに。

フィクス異常なくらい心配するんだもの。


「・・・・当時は、ティファと相部屋だったから・・・」


ひぇ! 目の色が変わったわ。これは察したわね?

当時の状況を察したわね?


「・・・・・ベロニカ。到着したら絶対俺から離れるな。どんな些細な用事だろうと俺から離れる事は許さない。約束を破ったら、手段は選ばないからな」


こ、怖いわ。

この人段々ティファにご執心のサウジスカルの副騎士団長に似てきてる。


ティファの顔が引きつるのも頷ける強引さだわ!


「わ、分かったわよ。で、でも私貴族の婚約者の振りなんて上手く出来ないから!」


「それは大丈夫だよ。いつも通りで。俺に全部任せてくれればいいから」


ふ、不安だわ。

本当に大丈夫かしら?それに、私なんかに婚約者が出来たとか知ったら私を知ってる当時の仲間に笑われそうだわ。





「よく来たな。ベロニカ、久しいな。身体の事は聞いている。元気そうで安心したぞ」


「リディ陛下。お久しぶりでございます。私の様な者が再びこの地に足を踏み入れる事快く受け入れて下さり感謝の言葉も御座いません」


この方が皇帝の座につくなど当時は想像も出来なかったわね。この方はまとも過ぎて、此処ではのし上がれないと思っていたわ。少し、安心した。


「そちらが、メリルのご両親か。あなた方には改めてメリルの事で大事なお話がある。だが、今は久し振りの再会を喜んで欲しい。メリルを呼んでくれ」


ティファの妹。


ティファから妹の話は殆ど聞いた事がないから、どんな子なのか想像がつかないわ。ティファとは全然似てないとは聞いてるけれど。と、いうか似てたら嫌。


ギィィィィィイ。バタン。


「あ〜。お帰りなさい二人共。デズロさん全然連絡寄越さないからさぁ。で?お姉ちゃんには会えたの?」


・・・・何かしら。思っていた反応と全然違う。

もっとこう。ハイテンションで来るのかと。


この子、ティファよりしっかりしているのでは?


「元気そうだな? 会えたぞ。ティファは無事だった。今、あちらで住民権を取得して宿舎の厨房で働いている」


「で? いつこっちに帰って来るの?」


「「・・・・・・・・・・」」


そういえば、この人達この子にティファが本当の子供じゃないって説明してなかったのだわ。


でも、デズロ様がそれを説明したのではなかったかしら?


「メリル。ティファはね?」


「分かってる。嫌がったんでしょ? 何? 私の事嫌いだって? それで二人共諦めて置いて帰って来たんだ?フーン」


訂正するわ。この子、子供だわ。

しかも、ちょっとティファとは違うタイプの拗らせ方をしているわね、コレ。


「メリル、そうではないの。ティファと貴女は・・・」


「本当の姉妹じゃないんでしょ? デズロさんから聞いたから知ってる。別にそれはいいの。その人の事もちゃんと診る。でも、私、二人にも凄く怒ってるんだからね?」


そりゃそうよね。

ずっと隠されていたみたいだし。

怒るわよね?


「・・・・二人だけお姉ちゃんに会って。狡い」


ん?狡い?何かしらそれは。


「私だってお姉ちゃんに会いたかったのにぃ!! どうだった? お姉ちゃん怒ってた? 私の事なんて言ってた!!」


「 メリル落ちつきなさい。一体どうしたんだ」


「ううううっ!」


「君がティファの妹さんか。初めまして。俺はフィクス」


フィクス? 何いきなり口を挟んだりして。

大丈夫なの?


「フィクス、さん? 」


「ティファにはとてもお世話になってる。お世話もしてるけどな? よかったら、俺がティファの話を君にしてもいいか? ティファがどうやってこちらに来て、今どんな暮らしをしているのか。お二人は再会して直ぐ俺達の事情で戻って来たから、詳しい事は分からないんだ。ただ、確実に君に言える事がある」


そうね。ここに、フィクスを連れて来たのは、ある意味正しかったのかも知れないわね。


カスバール人ではない、サウジスカルでティファと過ごした、ティファの事をよく知る貴方だからこそ伝えられる事があるかもしれないわ。


「ティファは君の事を嫌ってなんていない。逆だと思う。多分君に嫌われていると勘違いしてる」


貴方ティファの事をよく見ていたものね?

・・・・本当に、私について来たりして良かったのかしら。本当は、ティファの側に居たかったんじゃないのかしらね?

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