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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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テットはメリルの不意打ちに倒れる

あの日から全く気分が晴れる事がない。

理由は分かってる、メリルが治さない、あの傷の所為だ。


メリルがあんな目にあったのは目を離した俺の責任が大きい。いくらチェシャを押し付けられたのだとしても、メリルから一瞬たりとも目を離してはいけなかったんだ。


俺が悪いと分かっているのに、チェシャを見る度に八つ当たりしてしまう。あの事を思い出す。メリルのあの傷を見ると、堪らない気持ちが湧き上がってくる。


女が男の捌け口だと言われてしまえば強くは否定出来ない。


可愛い子や、綺麗な子を見れば話したいと思うし触りたいと思う。相手が嫌がる事を無理にしようとは思わないが、そういう目で見る事は確かだ。


メリルの言ったことが違う意味合いである事なんて分かってる。ただ、メリルは俺に男は信用出来ないと前にハッキリと言った。自分は誰とも恋しないと。


俺はずっとそれが引っかかっているんだ。


「お〜い。テット起きてる?」


うっ! メリルだ。


こんな夜に何だろうな?

屋敷内だからまぁいいけど。


「へいへーい、なんッス・・・・」


「ちょっと今、話出来る?」


えっ・・・・と。え? アンタ誰?


「テット? 何ボーとしてんの? オラ!」


「ハッ! メリル様?」


「そうだよ! 見りゃわかんでしょ!」


いや! 分からん! 何その姿! か、かわ・・・・。


「・・・・・メリル様? 私もやはりご一緒致しますわ?」


「もう屋敷内だし大丈夫よ? テニアも疲れてるでしょ? 気にせず先に休んで」


あ、あぶ、危ない。

危うくメリルを可愛いと勘違いする所だった。

いつも通りこの女凶暴につき。


「怪我、治したんですね? 犯人見つかりました?」


「そうみたい。予想通りの相手だったわ。それよりテット私に何か言いたい事があるんじゃないの?」


「え? 俺ッスか? いや、特には・・・・」


・・・・あの。

さっき可愛いとか勘違いって言ったけど、やっぱりなんかその顔でジッと見られるとちょっと俺戸惑う。


あんまりこっち見ないで欲しい。


「私に、何か怒ってるんじゃないの? あれからずっとイライラしてるし、目もまともに合わせない。側にも来ない」


違う! メリルに怒ってる訳じゃ、いや、怒ってはいるけど。メリルに怒るのは違う気がする。


「・・・・・違うんです。俺は、自分が許せないだけで・・・・」


「今は敬語はいい。誰もいないし。もしかして私の言葉に傷付いたりした?」


え? 傷付いた? ・・・・アーーーそう言われると、そうなのか?


「私の言い方も悪かったかと思って。世の中の男性が皆あんな奴らばかりだとは思ってないよ? ただ、それを一々判別するのが面倒だからああいう言い方になっちゃったというか、何というか・・・・」


あれ? もしかしてコレ、メリル俺の事気遣ってくれてるの? 嘘だろ? 滅多に見れないデレですか!?


「・・・・・気分は最悪だったけど、メリルに怒ってた訳じゃないよ。何? 心配してくれたの? それとも・・・」


「・・・・何よ」


「不安だった? 俺が側に居なくて」


そんな訳ないか。

でも、ちょっとくらい頼りにしてくれよ。

俺、一応メリル専属の騎士って事になってんだからさぁ。


「・・・・うん。正直凄く」


「え?」


「だって。テット私と全然、目も合わせてくれないし。側に近寄ろうとすると避けるんだもん。嫌われたのかと思った」


・・・・・・・えっーーーーアレ?これ、メリルだよね?

別人じゃ、ないよな?


「テット? 何?」


「俺、メリルの騎士になるって言ったよな?」


「うん」


「嫌いな相手にそんな事言わないし、誓えない」


「・・・・・うん?」


いや。待て待て俺。

これはメリルだ。


いくらいつもよりサラッサラの髪で可愛いクリクリの瞳にふっくらとしたピンク色の唇が愛らしくとも! コレは()()メリルだ!! 落ち着け!!


今、俺メリルに何したいと思った?


と、取り敢えず持ち上げた顎から手を離そう。

テニアにこんな場面見られたら俺は薬草畑に埋められてしまう!!


「目を合わせなかったのは、女の子の顔に痛々しい傷があると思ったら、ジッと見ていられなかったんだよ。怒ってた訳じゃない」


「あ、成る程? だから今、会いに行けって言ったんだ?」


ん? 会いに行けって言った? 何の事だ?


「さっきリディに会ったの。事件の犯人の事聞いてもう傷は治せって。私がテットとギクシャクしてるって言ったら今会いに行けば仲直り出来るって言ってた」


「・・・・え? じゃあその姿でリディ様に会ったのか?」


「ううん? 正しくはリディが私の髪を弄ってこうなった」


・・・・・・・・・はぃ?


「え? 触らせたの? 髪を? リディ様に?」


「うん。っていうか気付いたら整えられ・・・テット?」


いや。ちょっとリディ様? 駄目ですよ、それは。

貴方立場的に婚約者でもない女性にそんな事したら絶対駄目ですよ。・・・・あれ?


「・・・・メリルさ。結局リディ様の婚約者の件どうなった? ちゃんと訂正する様に言ったんだよな?」


「ううん? 何も。そもそも公表もされてない事だし、正式に発表されてない事、否定するのもおかしな話でしょ?私リディからその件について一切何も言われてないし」


それ絶対周りから誤解されてるぞ! 寧ろ婚約者として着々と準備を整えているんじゃないのか!!


冗談じゃねぇぞ!!


「それで? じゃあ仲直りでいいの?」


「は、え? 仲直り?」


「何よ。本当に気にしてたの私だけなの? なーんだ。気にして損した・・・テットの馬鹿」


じょ・・・冗談じゃ・・・え?何この子、どうなってるの?っていうか俺だよ俺! 俺がどうした!


「・・・・メリルって可愛いいんだな」


「は? そりゃあ・・・元が良いからね?」


ぐぁ!! 目が潰れる! 可愛いい。

憎まれ口ですら可愛いい!

こんな事実知らなくて良かった! 知りたくなかったぞ!

俺がメリルでトキメク日が来るなんて・・・誰か、数時間前に時間を戻してくれ。俺明日から普通に接する自信正直ねぇよ! 不意打ちで可愛いの本当やめてほしい!

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