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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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デズロはメリルの能力を知る

いや〜僕、本当ビックリだよ?


この世界で僕と肩を並べられる程の能力を持つ人間が存在するなんてね?


弟のテゼールもかなり魔力は強いけど僕には及ばない。

と、いうか。万能じゃないんだよね。


それなのにさぁ? 今迄の話を聞くとメリルって全属性の魔法を使える上に人の能力をコピー出来るんだってさ! え? 何それ? 初耳なんだけど?



恐らくだけど、それは人の身体の構造を知り尽くしたメリルだからこそ出来る事なんだろうね? でもね? それっていわゆる・・・弱点がないって事なんじゃないかな?


「ありゃりゃ〜。これは黙っておいた方が良さそうだねぇ」


ここだけの話。メリルが本気になって僕と戦ったら僕負けるかも。まぁ、経験値からいったら断然僕が優ってるから、微妙な所だけどね。それでも両者命懸けの戦いになるだろうね。


「残念だったねエルハド。生まれて来たのがもっと遅ければサウジスカルに連れて帰ったのは僕じゃなくて可愛いメリルだったかも知れないのにね?」


「なんだ急に」


今日メリルが僕達に話した事は恐らく真実のほんの一部だろうね。


妖精の存在。人に寄生し、その人間の栄養(精神)を吸収して寄生相手が死んだ後、本人になりすます寄生虫。そしてナシェスの中にそれがいて、それをメリルが取り出したという事実。


「恐らくメリルも僕と同じ存在だよ。きっと僕の代わりになりうる」


エルハドはずっと僕の替わりを探していた。

長い間ずっと。僕を、自由にする為に。


「まぁ、なんとなく私も勘付いたぞ。リディも顔色が悪かったから、気付いただろう」


「僕より、メリルの方が能力的に優れてる。どうする? 僕と入れ替える?」


正直、カスバール国の問題はメリルには荷が重いと思う。


リディもメリルもまだ若い。

経験が浅いし、ここに残っている者はリディを甘くみているみたいだね。態度の節々にそれが出てるもんね。


もし、僕の替わりがメリルに務まるのなら、僕がここに残った方がきっと上手くやれる筈だね。


「エルハ・・」


「許さんぞ、私は」


・・・・・ちょっとエルハドさん? なんて目で睨むのさ。通りすがりが君の顔見たら、多分僕が殺されるって勘違いするよ? ちょっとちょっ・・・・。


ガッ!


「私から逃げ出すなど許さん。私が欲して攫ったのはメリルではなく、お前だ。私は自分のした事の責任は最後まで持つ。替わりがあるからと簡単に替えられるものではない。お前は、私達の元で暮らし、役目を終えて自由になれ。それまで私の側を離れるな」


「・・・・・真面目に受け取らないでよ。僕だってヤダよ。だって、サウジスカルにいた方が自由だもん。ただ皆僕の扱いに慣れすぎて狼狽えなくなったからツーマーンーナーイ!!そして顎が痛いから離してよ!えい!!」


「人の腕に巻きついてクルクル回転するな! 腕が疲れる!」


それにしても・・・・・妖精って何だろう?

そんなもの、いるなんて初めて知ったけど?

ナシェスも視えるって本当?


僕がここに暮らしていた時、ナシェスに会ったのは数回だった。寄生される前とされた後。その時はただの子供だと気にしていなかったし、昔の事過ぎてよく覚えていないけど・・・覚えていたのはきっと最後に会った時のナシェスの言葉だね。コイツ碌な大人にならないだろうなって思ったから覚えてる。


"しはいする。ぼく、えらいの"


「・・・・・エルハド」


「デズロ?なんだ」


「今日帰ろう、サウジスカルに。テゼール達も、もしかしたら彼方にいるかも知れない。一度戻ってベロニカを連れて来よう」


急いだ方が良さそうだよね。

なーんか、胸騒ぎするんだよねぇ。


サウジスカル国でも実は今他国と少し揉めてたりしてて、本当なら僕、大樹の側に居なきゃいけないんだけど・・僕の勘が此方を優先すべきといってるんだよね〜。


この国にはサウジスカルの問題も解決できる何かが、ある気がするんだよ。


だって考えてもみてよ?

僕はカスバール人なのに、なんでサウジスカルの大樹に呼ばれたりしたの? そもそもそれがおかしいよ。


「ふむ? 今日か? また、急だな?」


よいしょっと。エルハドちゃんと僕をおんぶしてね?

振り落とさないでよ? 今度はさぁ。


「ねぇ、気付いてた? 僕ここの人達に戻って来ないかってアプローチされてたんだよ? 勿論エルハドがいない時。抜け目がないよねー? 男が好きなら好みを言えばエルハドの替わりを用意してくれるんだって!」


ビキリッ


「・・・・・・ほぅ? 私の代わり、ねぇ?」


エルハドさぁ。もうちょっと隠したら?

さっきから本音がダダ漏れなんだけど?

サウジスカルにいる時は、もっとちゃんと隠してる癖に。


「それは面白い。次にここに来た時、どんな者を連れて来るか楽しみにしていよう。奇想天外なお前の相手しなければならない男だ、さぞ屈強な男だろうな?」


さり気なく僕への不満を挟んでくるの止めない?


僕だって〜エルハド相手じゃなきゃこんな無茶言わないけど? お前打たれ強すぎるんだよ。心も体もマッスルすぎるんだよ。羨ましいよ僕。あ、でも決してエルハドみたいになりたくはないよ?


「では、来た時の様に帰りも飛んで行くか」


「そだね。引き止められたら面倒だから、このまま飛んでっちゃお! 流石エルハド! 物分かりがいい!」


「分かるわ!! 明らかにその体勢だろうが! 拒否しても行くつもりだっただろう!お前!!」


うん。その通り!じゃ、行くよ?


「ん?・・・ え?デズロ様?」


「あ! ちょっと一旦サウジスカルに帰るね? また来るから宜しく! バイバーイ」


「は!? ちょっ! お待ち下さい!! デズロ様!エルハド様」


ビュオンッ!!


「よーし! 取り敢えず、あそこの町までひとっ飛びダァー」


「デ、デ、デズロ様ぁあああ!!お待ちくださーい!!」


聞こえなーい! ヒャッホーーーー! たーのしーい!!

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