エルハドは無自覚である
BLに近い表現あり。
嫌いな方はお気を付け下さい。
「やん! エルハド駄目だってぇ」
「何が駄目なんだ、サッサとしろ」
「本当にせっかちなんだから、僕はもっとじっくり楽しみたいのにぃ?」
「いいから早くしろ。私は我慢強くない」
全く。ここに来てから毎晩毎晩煩くて適わない。
ん? なんだかドアの外も騒ついているな?
また盗み聞きでもされているのか?
「ちょっと押さないでよ! 今いい所なんだから!(ヒソヒソ)」
「アンタこそ! ああ〜この部屋覗き穴はないのよねぇ? 素敵な男性同士の禁断の関係・・萌える!(ヒソヒソ)」
「私、エルハド様の肢体を少しでも拝めたら明日死んでも満足する!チラリでも構わないから〜(ヒソヒソ)」
何だろう? 背筋が少しゾクゾクするぞ?
風邪でも引いたか? 人生で風邪を引いたのは赤子の時ぐらいなのだがな?それも幼すぎて私は覚えていない。つまり経験がない。
「ちょっとエルハド? ちゃんと集中して? 余所見するなんて酷い。僕はこんなに、エルハドを見つめてるのに」
「お前が見つめてるのは私ではなく、コレだろう? 物欲しそうにじっと見るな」
(ギャーーーーーーーーーッ!!!)
バタバタバタンッ!!・・・シーーーン。
ん? 外が急に静かになったぞ? なんだ?
「はーい! チェック! 僕の勝ち! ハッハー! 弱っ!エルハド弱いーーー!!」
「あ!貴様! 人の隙を狙ってたな? はぁ、全く」
新しいアースポントが出来るまでもう少しかかる。
メリルの薬はいくつか準備が出来ているらしいからな、それまで暇を潰さねばならんのだが、暇だとは言ったが何故毎晩カードゲームに付き合わされるのか。
負けたら負けたで揶揄われるが、勝ったら勝ったでデズロが拗ねるので無限に面倒だ。永遠ループだ。早く帰りたくなって来たな。
「毎回懲りずに聞き耳立てるよねぇ? 最近は宮廷の中もだいぶ秩序が保たれている証拠かな? 思った以上の清浄ぶりに僕は拍子抜けしてる。つまらない」
「お前な、前と同じだったのなら絶対にお前を此処へ近づかせなどしないぞ。あの時が異常だったんだ」
この宮廷に始めて招かれた時の胸糞の悪さは忘れろと言われても忘れられんぞ? 初日であの男の両手首を斬り落とさなかった自分を私は全力で褒め讃えたい。
「そんな事言ってるけど・・・エルハドだって疑ってたから僕と同室にしろなんて思わず言っちゃったんでしょ? そんなに不安だった? ねぇ心配してくれたの?エヘ?」
何が、エヘ? だ、気持ち悪い。ふざけるな。
誰が心配などするか。
今のお前なら何をされようと刺客を振り切ってサウジスカルに戻れるだろう。あの国には、ティファがいるからな。
「・・・・エルハド?」
そうだ。
だったら私は何故あんな事を咄嗟に口に出したのか。
デズロが我が国を捨ててカスバールに戻るなど、あり得ないと分かっている。
「お前は、帰りたいと考えた事はないのか」
私は何を・・・。しまった、余計な事をまた口に出してしまったな。これは、揶揄われそうだ。
「・・・・・エルハドそれ、本気で聞いてるの?」
「・・・いいや、すまん。それに、その願いだけは叶えられん」
お前はまだ、サウジスカルに必要だ。
私はお前を手放す気などない。お前がどんなに抗っても、お前が私を憎んだとしても。
「だよね〜? エルハドはぁ、ずっと僕に一途だもんねぇ?」
「安定のお気楽脳だな? あとお前。表現の仕方に気を付けろ。何度も注意しているだろうが。気持ち悪い」
「酷い! これは僕の愛情表現なのに! 乾き切ったエルハドを潤す僕はオアシスなんだよ? もっと丁寧に扱いなよ!」
駄目だ、キリがない。
もうほっといて寝よう。
「え? 寝るの? じゃあ〜こちょこちょこちょ〜!」
「は!?な、なんだいきなり! 擽ぐるな! 服を乱すな!」
本当にコイツなんなんだ! もう寝ると言っているだろうが! 子供なのか!!
「お前・・・いい加減にしないと・・・」
「うん? じゃあエルハドは〜そのままドアに群がってるウサギさん達に小屋に帰るよう伝えて貰えるかな? あ、服は直さなくていいよ? っていうか直すな」
貴様。
何度もしつこく言うが私はこれでもサウジスカルで偉いんだぞ? 皇族だぞ?皇族。その私を顎で使うとはお前は、本当に・・・。
「追い返したら大人しく寝ろ。それ以上は私も流石に付き合いきれない」
「はーい! お願いします!」
全くさっきから行動が意味不明すぎる!
もう、コイツの友人をやめようか。
ガチャリッ
「すまないが、ドアの前に張り付かれるとゆっくり出来ない。必要なら声をかける。もう、君達も休みなさい」
ヤケに沢山居たな?
関係ない侍女までいるぞ?
それに、何故鼻血を流してる?目も流血してるぞ?
「・・・・・あ、あ、・・・も、申し訳ありましぇん」
「あ、ああ? 大丈夫か? どこか、具合でも悪いのか?」
顔も真っ赤だな? まさか、変な病が蔓延しているとかではないよな? 私は丈夫だからいいが、デズロはそうではないからな? 一応明日メリルに確認をとるか。
「ちょっとエルハド〜? まだ〜?」
「ハッ!お邪魔して申し訳ございませんでした! 素敵な夜をお過ごし下さい! 失礼致します! 貴女達、撤収!」
「「「は!」」」
ダダダダダダダダッ
おい。宮廷内は走らない方がいいぞ?
ここの宮廷本当に大丈夫なのか?
やはり、ここは変人が多いのかもしれない。
パタンッ
「ここの使用人達は変わり者が多いな。やはりまだ安心できないかもしれん。お前、絡まれない様に注意しろ」
「・・・・それ、そっくりそのままお返しするけど?」
何を言っているんだ?何故私が注意する必要がある?
「しかし、ヤケに沢山ドアの前で群がっていたが、一体何が目的だったのか。密偵にしてはあからさま過ぎる。動揺させる目的だろうか?」
「・・・・・・エルハド。それ、本気で言ってる?」
本日二度目の真顔だが、コレは真面目に聞いているのだが?言いたい事があるなら顔芸ではなく、ハッキリと口にしろ。そして私よりも先に寝ようとするのやめろ。
お前散々人の睡眠を妨害してソレか!
お前こそ私を丁寧に扱え!




