テットは事実を確認出来ない
「それでぇ・・・あのお二人ぶっちゃけどうなんッスかね?本当にそういう関係なんッスかね?」
「どうかなぁ? 揶揄われたんじゃないの?デズロさんに。状況的にもああ言った方が丸く収まると思ったんじゃない?」
いや、丸く収まってない。
寧ろ騒ついて一部では色めき立ってるッス。
あの二人、おっさんなのに妙な色気があるから余計タチ悪いッス。
「あれ? テットはそういうのに偏見がある人? カスバールで同性愛者なんて山程いるじゃない。皆隠してるけど」
「いや、まぁそこまでは。ただ俺はないッス。女の子が好きッス」
「うん? それは分かってる。っていうか最近思うんだけどアンタ私の事女と分類してないわね? 何あの可愛い侍女ちゃんと話す時の顔! だらしな!!」
「メリル様。男の性です。メリル様は論外です」
「真面目な顔で言い返すんじゃねぇぞ。ッスッスコラ」
相変わらずガラ悪いッスね?
その態度を改めたら少しは考えるかもしれねーッスよ?
あ、いや、ナイッスわ。
「しかし、あんな事態になってしまってどうするのでしょう? 嘘ならすぐバレてしまうのでは? 部屋を片付ける者もおりますし」
「なんとでもなるんじゃない? 気分じゃなかったとか言っておけばいいんじゃない?他国の客室で年甲斐なくおっぱじめたりする?」
メリル様。やめましょうよ貴女。おっぱじめるとか・・・・貴女一応、女の子ッス! そういう所ッスよ!!
「いえ。実は・・・私デズロ様の事について、少しばかりその手の話を聞いた事がございまして。あの方がまだカスバールにいらした頃、どうもその当時の皇帝陛下の・・・愛妾だったらしいのです」
ひぇ!それは中々ハードッスね。
・・・・・いや、でもその当時の話は俺も聞いた事あるッスから・・・アトレイア様の前の皇帝は、とんでもないキチガイ野郎だったらしいですからね。
「あ〜。だから皆あんな変な顔してたんだ? つまり、あの人色んな意味で皆を守ってたんだね?」
「ん? どういう意味っスか?」
「・・・・あの人ここに居たのに生きてるでしょ?つまり相当その皇様に気に入られてたのよ。皇様がデズロさんに執着すればするほど、他の人間は被害を免れる。私、お母さんに当時の様子を聞いた事あるから・・・子供だろうが男だろうが気に入ったら餌食にされてたらしいよ?」
うっげぇ・・・・え? じゃあ俺みたいなガタイがいい男でも気に入られちゃったらアウトだって事か? こ、怖っ!
「・・・今ここに残ってる当時の官僚は、それを黙って見てたんじゃないかな? 恐らくアトレイア様にも止められなかったのでは?」
「・・・・そうですわね。 しかし、そんな事情があるのでしたら、それは国外逃亡もするでしょう」
もし本当にそんな事をされてたんなら、あの人よく今までまともに生きて来れたなぁ。俺なら正直、死んでるかも。
リディ様が俺に、なんて考えられないッスもんね。
「ま、過ぎた事だし? 私達に当時の事なんてわかんないけど〜。さて、私ちょっと調合室にこもる。出てくるまでほっといて」
「ベロニカさんの薬ッスか?」
「そ。ここまでかかる時間と、負担を色々鑑みてギリギリの所まで体力を増幅させるポーションと、薬を作る。本当は私があっちに行けば話は早いんだろうけどね」
そうッスね。
でも、今この段階では宮廷を長く開けるのはキツイッスね?それに・・・メリルも、まだ心の準備出来てないんじゃないか?
「お姉ちゃんがしでかした事だから何とかしないとね。全く手の掛かる姉だわ」
本当に、何で上手く行かないんすかね?
こんなにあのメリル様が大事に思ってる人なのに。
血の繋がった家族でも、すれ違う事があるんだなぁ。
「デズロ、もうこっち来ない?」
「どうかなぁ? シャミ。デズロ様に会いたいの?」
「会いたい。デズロはとても気持ちいい」
シャミ。何だその表現。もっと違う言い方できないっすか?なんというか、いかがわしいッス。犯罪臭漂ってるッス!
「魔力の波長が合うのかもね? あの人凄い魔術師様らしいよ? 私よりずっと優れた魔力の持ち主」
「皆、デズロが来てから喜んでる。お帰りって言ってる」
「そだね? でも、おかしいなぁ・・あの人は視えてないみたい。魔力の有無は関係無いのかなぁ?」
「あの・・・・前から気になってたッスけど? その視えるとか視えないとか? 二人は一体何が視えるッスか?」
シャミも突然何もない所をジッと見つめたりするから正直怖い。正体が分からないだけに余計に!
「そうですわね? 何か、視えてますの?」
「・・・・・・・・う〜ん。秘密に出来る?」
そりゃ、秘匿事項なら?
そんなにやばいの視えてるッスか?
「実は、カスバールには精霊がいないみたいなの」
「「は? 精霊?」」
精霊って、サウジスカルにある大きな大樹がそう呼ばれてますけど・・・あれはお伽話の物語の中の話ですよね?
「この世界には本来各国に必ず精霊がいるんだって。でも、カスバールにはそれがないらしい。そのせいで行き場を無くした妖精が地上に溢れて来てるのよ。大地から引き離されちゃったんだって」
え? マジな顔して何言ってんッスか?
妖精なんて、そもそも存在してたんッスね?
「私は子供の頃からそれが視える。私以外それが視えたのはシャミと昔、移住先で暮らしてたおばあちゃんだけ。殆どの人間が彼等は視えない。デズロさんも視えてなかったから、魔力の大きさや多さは関係ないのかも」
「成る程。それで、彼等はなんと?」
シャミと顔を合わせて困ってますね?
つまり、分からないんッスね?
「彼等は話しかけても応えない。言いたいことだけ言っていく。だから、結構うるさい」
あ、それでメリル様一人でも結構平気なんッスね?
常に周りで騒がれたら、そりゃさぞかし・・・・。
「でも、実はこれが結構助かる。何故なら私に害がある人間にあの子達は近づかない。それも危機回避の目安になるから。シャミが視えると知った時は正直とても驚いたよ」
なーるほど? シャミを手元に置いた理由、それもあるんですね?突拍子無いように見えてちゃんと考えて行動してたんすね。いやはや、見た目で人を判断するもんじゃねぇっすわ。反省しよう。




