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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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メリルはコッソリ抜け出したい

「・・・そういえば」


皆おはよ!

私、今気が付いたんだけどね?


ここに来て結構経つのに私、宮廷内を全然散策してないよね?


いや、別に興味なかったからいいんだけどさ?

もし腹立つ事があって、この先逃げ出す事があるとしたら、やっぱり内部を把握しておかないとね?


よーーし!


「メリル? どこか行く?」


「あ、シャミ! シャミも行く?」


「ううん。エド来てる」


そっかそっか〜。子供は健やかに遊ぶがいいよ。

大人は大人の遊びを満喫するからね?


「そのカッコ・・・魔術師の服?」


「そう。この間医療室から拝借しておいたの。ちょっとお出かけしてくる。晩御飯までには帰って来るからね?」


「はーーい! 行ってらっしゃい!」


・・・・・さて。第一関門突破。

そしてテットもテニアも今いない。行くぞ!


ここは宮廷のかなり端の方にあるからあまり人が通らないけど、謁見室の方は人が多いわよね? あちらは行った事があるから、通った事のないこちらの道を行ってみよう。


「へぇ? 綺麗な庭園・・・こんな所に綺麗な場所があるのね」


人も少ないしのんびり出来そう。


でも、なんだか変な感じ。

ここだけ世界が切り離されてしまった様な・・・。


「おや? 珍しい事もあるものだ。こんな所にお客様とは」


え? あ、人がいたの?

しまった! しかも、なんだかとっても偉い人なのでは?

ど、どうしよ!


「す、・・・申し訳ありません。こちらに来た事がなく間違えました。失礼致します」


「構わない。君は、メリルだったかな? 私の息子の願いを聞き入れ、ここに留まってくれているのだろう? 」


むすこ。息子って言った? じゃ、じゃあ・・・・。


「・・・アトレイヤ様?」


「そうだ。君は、ティファの妹だそうだな? 本当に、君達家族は我々と何かしら縁があるらしい。こちらにおいで」


コイツが・・・私のお姉ちゃんを捨て駒にして切り捨てた・・・アトレイヤ・ディムレム・・・。


コイツの所為で・・・・。


「君はティファとはやり取りしているのか? 彼女はサウジスカルではすっかり落ち着いたと聞いているが。和平が結ばれたのだから、手紙のやり取りは出来るだろう?」


「・・・・・・・え?」


お姉ちゃんとやり取り? 何を言ってるのこの人。


お姉ちゃんは未だ行方不明でお父さんとお母さんが探しに行ったまま随分経ってる。生きているかどうかさえ、わからないのに。


「リディから聞いていないのか? ティファはあちらで住民権を得てサウジスカル国民として暮らしている。あちらは君がここにいる事をまだ知らないかも知れないから、便りを出してやるといい」


「・・・・お姉ちゃん。生きてたんですか?」


「・・・・・もしや、知らなかったのか? それは・・・すまない。てっきりちゃんと話が通っているのだと勘違いをしていた。情報の行き違いやも知れんな」


嘘・・・嘘だ。

リディ。わざと言わなかったな。あんにゃろう。


「お、お姉ちゃん。元気なんでしょうか?」


「・・・その様だ。実はあちらに私の昔馴染みの魔術師がいてな。その男に引き取られた。今はティファ・マスカーシャとして生きている」


「・・・・・マスカーシャ?」


なんで? お姉ちゃんには、ちゃんと私達家族がいるのに、なんでわざわざ他人に引き取られるの? 意味分かんない。なんで、生きていたなら、私達の所に帰って来ないの?


やっぱり・・・・やっぱり。そうなんだ。


「メリル? どうした? 気分でも悪くなったか?」


酷い・・・酷いよ。


お父さんもお母さんもあんなに必死でお姉ちゃんを取り返えそうとしたのに。


私だってずっとずっと、お姉ちゃんが居なくなったのはこの国の偉い人の所為だった思ってたのに・・・。


「すまないな。もしや、私の話は不快だったか? 引き止めてすまなかった・・・もう、部屋で休みなさい」


「アトレイヤ様は、お姉ちゃんを取り返そうとしたの?」


「・・・そうだな、厳密に言えば私の息子が、だがな。しかし、ティファはこちらには帰って来たくないそうだ」


・・・・・・・ヤッパリソウダ。


「・・・・うっ・・・・」


「メリル?」


「ゔゔゔゔゔ・・・・うぇ」


お姉ちゃんが居なくなったのは、皇様の所為なんかじゃない。ずっと認めたくなかった。


「泣くでない。こちらから便りを出せばきっと返事が返ってくる。無事だったのだから、喜んであげなさい」


だって、この人リディのお父さんなのに凄く優しい。

悪い人ではないもん。お姉ちゃんに酷い事する様には見えない。きっとこの人の代で上手くいかなかったのは周りにいた人達の所為だ。


この人の前の王様がとても悪い人だったって、お母さん言ってたもん。


だから、お姉ちゃんがこの国から逃げたのは私の所為だ。

だって、そうじゃなきゃ、私達に便りの一つぐらい出してもおかしくないもん。もう、私達と関わりたくなかったから。私が、あの時お姉ちゃんに会いに行ったりしたから。


「えうーーーーーーっ!」


最悪。最悪だよ。

こんな事・・・知りたくなかった。私もう、頑張れない。

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