表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
171/194

テニアの怒りは頂点を迎える

それは、アズラエルの門から落とされて少し経っての事でした。運が良いのか悪いのか、やはり魔物がいたのですわ。


「テニアは下がれ。魔法は此処では使えない。魔力が無くなれば動けなくなる。決して使うなよ?」


そうは言ってもラフィネラの魔力はそれ程多くありませんわ。この中で激しく動き回ればその分魔力の消費も多くなる。それならば。


「一々相手にしては駄目ですわ! ラフィネラ! 走りますわよ!!」


「え? お、おい!!」


まさかの全力疾走ですわ!

私、こう見えて足、速いのですわよ?


「速っ! お前ちょっと待て! 逸れるぞ!!」


「情けない事言ってないでちゃんとついて来て下さいまし!! 行く先にテットが待っていると思って!」


「え!? 待っているのか?! 」


「ものの例えですわよ! 本当に大好きですわね? 奴の何がそんなにいいんですの? 理解不能ですわ!」


言い訳するのであれば私達、窮地に追い込まれて少しばかり、混乱していたのですわ。ええ、そうなんです。


私達を追いかけて来る魔物が徐々に増えている事もその原因の一つでしたわ。


やっぱ走るんじゃなかった!

でも、後悔してももう遅い!!


「クソ! テニアもう無理だ! 戦うぞ!」


「あの数相手では無理ですわ!! あ、ラフィネラ! 光が見えて来ましたわよ!?」


「は!? そんな筈ないだろう? そんな簡単に・・・」


いえ。確かに光でしたわ。


そして、その光の中から彼女が飛び込んで来た瞬間、私驚きで息も吸うの忘れましたわ。


「ラット! 入り口を確保して下さい!」


「分かってる。サッサと片付けろ」


飛び込んで来た女性は目にも止まらぬ速さで私達に襲い掛かってきた魔物を斬り倒し、平然とした顔で振り向きましたわ。一つに纏めたブラウン色の髪がサラリと肩に落ちてその瞳の色を見た時、私、やっと思い出しました。


「・・・・・・ティファ様?」


「な、何故ティファさんがここに? 確かご結婚されてサウジスカルにおられると聞いておりますが?」


「兎に角ここを出ましょう。入り口が閉じる前に」


初めてティファ様を拝見した時から、ずっと何処かでお会いした事がある気がしておりました。


あの時は、鎧でちゃんとお顔が見えなかったから。


「・・・貴女でしたのね。あの時、私の部下をここから連れ帰って来てくれた騎士様は・・・」


「え? そうなのか?」


誰も何も出来なかったあの時、この方は任務から一足早く宮廷に帰って来た。


私達の話を聞き、躊躇いなくその門を開いた。

止める士官を無視し、緊急時だから許可など要らないと中に入り、生き残った者と、あの子を連れて戻ってくれた。


ずっと、貴女を探していた。


「何の事です? すみません、私昔の事はよく覚えていないので」


そうでしょうね。


貴女は泣き崩れる私には何も言わず、ただあの子の頭を優しく撫でてその場を去った。


あの時は彼女を失った苦しみで貴女にお礼を言う余裕なんてありませんでしたわ。


でも、私は後にその事を何度も何度も思い出したのです。


「いえ。お助けいただき、ありがとうございました。ティファ様」


「いえ。あの、メリルに会いに来たのですが居場所知ってます? 実はお父さんとこちらに遊びに来たのですが、来たら宮廷内がおかしくなってまして! メリルを驚かせる気満々だったんですが、それどころでは、ないですかね?」


「はい、恐らく。何故ティファ様達は私達を?」


「それはさぁ? 俺が持って来たコレの所為。実はサウジスカルでも空間の歪みに落とされる事件があったんだけどよ? その対策として"鍵"を作ったんだよ」


鍵? それは、アズラエルの門を開く七色の水晶のカケラの事でしょうか?


「コイツは俺達が開発したもんで、まだ完成品じゃねぇんだけどな? 今回みたいに人が異空間に落とされた時に出る水晶の反応を感知する。そして、マーキングしてその場所の扉を何処からでも開く事が出来る。ただし、勿論近くに居ないと駄目だけどな?」


「あ、だから、こんな場所に出たのか?」


私達がいる場所は宮廷の一番下の庭ですわ。

一番上にいた筈ですのに。


「それで、何故あんな所に? まさか知り合いの方がいるとは思いませんでした〜」


そこから、私達がマチェスタに嵌められアズラエルの門に落とされた事。


アースポントが破壊された事。


そして、メリル様が狙われている事をお話ししましたわ。


あら?

気のせいか、周りの気温、少し下がりました?


「・・・・・その男、マチェスタという名なんですね?」


「はい。名を偽っていなければ」


「あー! いたいたー! もう、ティファ達何処行ってたのぉ? 探し回っちゃっ・・・・・・・ん?」


あ、やっぱりエルハド様も来てらしたのですわね?

少し安心しましたわ。


あの、この空気どうにかして頂けませんでしょうか?


「お父さん。緊急事態発生です。早急に対応をお願いしたいのですが?」


「うんうん? 僕は愛するティファの為なら何だって聞いてあげる! だからお願い。その激昂したゼラゴラズみたいな顔で僕を見ないでほしい!!心が折れそう!」


もしかして、ティファ様もマチェスタを知っている?

と、いう事は子供の頃に接触したのでしょうか?


「私、大きな思い違いをしていたみたいです。まさかメリルにあんな事をしたのが彼だとは。てっきり、父親に操られていたのだと思っていました。一生の不覚です」


メリル様のもとに向かいながらティファ様の話を伺って、私達は忌々しい奴の術が掛かった防壁を破壊して、次々に湧いて出る魔物を片っ端からしばき倒しながらも、きっと同じ事を考えていたと思いますわ。


「あのイカれたキチガイ変態野郎め。目に物見せてやる」


皆、口が悪い?

失礼致しました。しかし、訂正は致しません!


紛れもなく本心ですので!

ゼラゴラズ→魔物の種類の名称。


恐ろしく凶暴で巨体であり頑丈な体を持つ。その癖素早い動きで獲物を逃さない。出会ったら最後、命はないと言われる滅多に出会う事がない魔物。(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ