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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
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闇を払う者達

一体これはどういう事だ?


「どうなっている! 何故ここから前に進めない? これは、メリル様の魔法防壁なのか?」


「・・・恐らく、だが、何故一部だけに? それに、この魔法防壁、何か変ではないか?」


前メリル様がお作りになった防壁とは少し違う・・・。

それに、この防壁、作られる過程で変化していたようにも見えた。


「これは、禁呪じゃのう?」


「ラシェン様」


禁呪? それは、もしや・・・メリル様のお命を脅かした?


「・・・内部に敵が紛れ込んでおったのじゃな? これは、面倒な事になったようじゃの? リディ様達は今あちらにおられる。命の危機かもしれんのう」


[アニラ!]


「フェルナンディ! どうだった?」


[恐らく敵の罠に嵌った。シャミとエドが侵入者と戦っていたが、私は近づく事はかなわなかった。あと、チェシャが始祖とアトレイアの下へ向かったぞ? 始祖も敵の手の中にいたらしい]


そもそも敵とはなんだ?

リディ様のお命を狙うとしても、派手に動き過ぎではないか?これでは、敵も逃げ場がないのでは?


「なんにせよ、事実を確認するにはこの中に入らなければの? どれ?」


ラシェン殿はかなり腕の立つ魔術師だ、だが・・・。


バチッ!バチバチバチ!


「ふむ。やはり儂だけでは無理か・・・困ったのぉ?」


「・・・・何処かに、禁呪を使う為の仕掛けがあるはず。それを、探しましょう」


「・・・そうさな。時間は掛かるが、どの道それを取り除かなければ厄介そうだの?」


「直ぐに宮廷の者達全員に、この事を伝えます。ラシェン様は・・・」


「それじゃあ時間がかかり過ぎるよ? まずは先に、この防壁をぶち破ろう! えーとお爺ちゃん?」


本当に、なんなんだ貴方は。

いつもいつも、そうやって私達を振り回す。


「・・・・どうして? いつ、こちらに?」


「ごめん。その話は後にして? 僕、激怒だから手加減出来ないかもよ?」


「おやおや? お前さん魔法はいけるクチかの?」


「そうだね? お爺ちゃんが手を貸してくれれば楽勝だよね? 僕この面倒な禁呪の方をなんとかするから、お爺ちゃん元の方、壊してくれる?」


「ふぉふぉふぉ! それは年寄りにお優しいのですな? それで? その後は、後ろの者達に任せれば良いのかな?」


それに、どうして彼女まで?

一体、これはどういう事なんだ?


「うん大丈夫だよ? っていうか止まらないよね? 今あの子に話しかけたら危険だからやめてね? 多分瞬殺されちゃうよ?」


ビュオオオオオオオオオオオッ


[道を開けろ。だが、逃げる事も許さない。バズディーラ!]


「また、滅茶苦茶な詠唱じゃな? 流石は最強魔術師殿じゃ」


ドドドドドンッ!!ビキビキッ!


「アニラ!! 予定通り禁呪を止めてね? 後、マリオーネとテゼールを見つけて寄越して! 僕達は先に行く!」


「はい!」


張られた防壁が崩れ去るのを見ながら、走り出した私達の目に飛び込んできたものに誰もが息を飲んだ。


空に、今まで見た事も無いような禍々しい赤黒い雲が渦を巻いて宮廷を取り囲んでいたのだ。


あれは、なんだ?


「・・・・冗談じゃろう? 魔力暴走の兆しが出ておる。 まさか、この国を消し去るつもりか? じゃが一体、なんの目的で?」


ずっと、全てを壊してしまいたいと思っていた。

そうする事で、私は生きていられるのだと。


「カスバールが・・・・消える?」


だが、その危機を目の前にして、私が思った事は真逆の考えだった。


そんな事、受け入れられる筈がない。


[・・・・アニラ?]


「嫌だ・・・・そんな事あってはならない・・・」


生まれて初めて、この国が緑に囲まれているのを目にした。街に行けば商店が立ち並び、人々は怯える事なく笑っている。


魔物に脅かされる事もなく、災害に苦しむ事もなく。

帰る家があり。人々は当たり前のように他人を信じられる。そんな日々。


私の死んだ妻と息子が待ち望んでいた未来。


「禁呪に纏わる書物はあちら側の秘書庫に保管されている。それを、私は取りに行く」


「・・・いや、しかしの? 危険じゃぞ? それなら儂が」


「貴方はこちらで施された術の痕跡探しを。私達では、見つけられぬやも知れない。もし、私がいつまで経っても戻らなければこの事を伝えて欲しい」


「・・・しょうがないのぅ。くれぐれも気をつけるのじゃぞ? 」


前にメリル様が襲われ術の種類を調べる為少し中身を見た。その時あれと似たような雲の記述があったのを微かにだが覚えている。


それを見つけ敵が術を使う前に、なんとしても止めてやる!


[アニラは私のお守りではなかったか? 困った奴だ]


ずっと自分だけが生き残った事を悔やんで来た。

何故妻と息子が殺された時、私も後を追わなかったのかと。


惨めに生き残り生にしがみ付いて。私はきっと狂ったのだと。だが、そうじゃない。


私の家族は、死ぬその瞬間まで決して諦めなかった。


この国で幸せに生きる事を。


だから、私はそれを見届けるまで簡単には死ねない。


「どうかあと少しだけ、私に力を貸してくれ」


私が家族の下に導かれる、それが許されたのなら、二人に伝えたい。カスバールは美しくなったと。


お前達の国は、お前達の望む平和な国になったのだと。

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