メリルは思わず後ずさる
少し前からうちの国にお客さんが来てて、今宮廷で滞在してるんだけどね? ちょっと聞いてくれる?
「しかし、ここはいい。 カスバール国は美しい男性が多い。目の保養になるなぁ」
えっとぉ・・・あ、この人エルハド様の紹介でここに来たんだって。でも、サウジスカルの人じゃなくて、オスカール帝国皇帝の弟なんだってさ。因みに50歳。シュッとしたおじさんなんだけどさ? なんていうかなぁ・・・全体的にいやらしい。あ、でもね? 誤解しないで?
私には害はないよ? っていうか、女性にはいやらしくない。
え? じゃあなんで、そう思うかって?
いや、だってさぁ。
「テット君はもう少し筋肉をつけた方が良い。細すぎる」
「ヒッ! あ、そうすかね〜・・・」
日常的なセクハラ行為が止まらない!
それも、男性限定で! テットここ数日で完全にこの人と距離、とってるもんね? わかるよ、その気持ち。
だが私は止めない!
世の男性は女性達の苦労を少し体感するべき!
と、結論付けた! いいじゃない。一生じゃないんだし。
ちょっとした体験学習って事で!
「マイネラ殿。本題に入ってもいいだろうか?」
「構いませんよリディ様。それで? そのシャミと私の身体の構造の違いが分かったのですか?」
そうなの。
この人はマイネラ・ゲルベンと言ってオスカール人なんだけど実はシャミと同じアンドロギュヌスなんだって!
エルハド様がこの人を見つけて私に教えてくれたんだ。
色々詳しいからってこの国にリディが招いてくれたんだけど・・・失敗だった? 皆疲れ果ててるね?
「そうだね。実は、シャミは変化してから少し身体の構造が変化してて、それとマイネラ様は一致した。マイネラ様一度性別が定まると滅多に変化はしないって言ったけど、する事もあるんだよね?」
「そうですな? 稀に、ですが」
「多分それは、環境に適応して自分の望む性別に変化させる事が出来るからだと思うの。実は、マイネラ様の体もシャミと同じ部分を変化させれば女性になると思う」
「ほぉ? それは、初耳だな?」
いや、そうでしょうよ。
私達だって新発見だもん。
そもそも生きてるアンドロギュヌスと会えるなんて滅多にない。とか思ったらオスカールって沢山そんな人達が生まれているんだって。うわぁ、そりゃ大変だ?
それも、かなり昔から、らしいよ?
それってさぁ、まさか噂の世界の歪みってやつの一部なのかな? 笑えないよね?
「それならば何故私は女性に変化しなかったのだろうね?」
「それは、マイネラ様が望まれなかったからでは? オスカールでのアンドロギュヌスの扱いを聞いた限り、碌な人生を送れないのだろう?」
「・・・つまり、本人の感情によっても左右されると? そんな都合のいい事があるものかな?」
どうだろうね?
体に変化が起こる程のストレス、もしくは発情期が起こればあり得るのかもね。まだまだ謎が多い生態だからなぁ。
「そのシャミという子は急に女の子に変化したのだろう? その時、何かその子に起こったのかな?」
その時は、私サウジスカルに行ってたからなぁ。
でも、テニアの話によると特に何もなかったって聞いてる。でも、一つだけ、心当たりは、ある。
「多分、本人は気付いてないけど。好きな男の子がいるからだと思う」
「「「え!?」」」
いや。いやいやいや・・・え!?じゃないよ。それしか考えられないでしょ? それに、シャミは精霊付きだから、ちょっと獣に近い所がある。つまり、無意識に自分と相性の良い相手を見つけられる。
「え? メリル様それってまさか」
「・・・・まぁ、心当たりは、一人ですわね?」
「まぁでも・・・シャミは私の婚約者だから!」
なんでそこで黙るかな?
事実でしょ? おかしい事、私言った?
「まさか、気付かせないおつもりで?」
「悪い? シャミが望めば別だけど、シャミは私と結婚したいと言ってる。男に戻れるなら戻って私と結婚すれば解決でしょ?」
「うわぁ〜出た〜力技で解決しようとしてるッスね? シャミに青春させる気ないッスね?」
ああん? 私と恋人になったって十分青春謳歌させたるわ!
なんか文句あんのか? ああん?
「メリル様。お客様の前ですので、その顔おやめ下さいませ」
「はっはっは! 構わないよ? メリルは本当に面白い子だね? 私の嫁に来ないかな?」
「え〜? 私よくそうやって誘われるんだけど、浮気されるのは嫌なんだよね? そこに愛が無いとしても」
「だ・か・ら! 普通に! 普通に恋愛して結婚して下さいッス! なんで前提がそれ? そこに愛はないんっすか?」
テットてさ、前から思ってだけど意外とロマンチストなの? それとも自分も結婚しないから夢だけが広がってるの? なにそれ可哀想だな。
「・・・・テット。私別にテットは普通に結婚して家族を持ってもいいと思うよ? 私は持たないけど」
「なんの話っすか! 何故この流れでその結論? 話通じないッス!」
なんてさ。
数分前まで、くっだらない話をしてたんだよ?
それがさ、こんな事になるなんて・・・・。
「メリル。よく見て」
どうにかしないと。
どうにかして、此処から出なきゃ・・・。
「君が限界を迎えるのと君の大切な人達が死ぬの、どちらが先だろうね? 」
「黙れ変態。サッサと此処から出しやがれ」
私が、こんな簡単に捕まるなんて。本当腹立つ!




