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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
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チェシャ駆け出す

「ナシェス様婚約者のカロレッタ様がお越しになりましたが・・・」


「私に婚約者などいないが? 自分の婚約者は自分で選ぶと何度も言っているだろう?」


まだ父が皇帝だった頃。

ティファを見つけたばかりの頃だ。


「・・・ナシェス様。カロレッタ様で不満はないと仰っていたのは貴方ではないですか? 今更取り消せはしません」


「私は誰でも変わらないと言ったのだが? 勝手に決めたのはお前達だろう?それよりあの女騎士にはいつ会える?」


「ナシェス様。あの者は駄目です。アトレイア様も彼女だけは関わりを持つなと仰せです」


カスバールでも稀に見る剣の強さと戦闘能力を兼ね備えていたティファを逃すまいと、あの頃父と弟は必死だった。

そんな二人に構わず私は好き勝手に自分のしたい事だけをしていたな。


「ナシェス様〜あの女滅茶滅茶強いです。半径2メートル内に近付いた奴全員血塗れなんですけど?」


「泣き落としも駄目〜。完全無視! ナシェスさま〜あんな女ほっときましょ〜よ〜」


どいつもこいつも役立たずだと思っていたな。

ティファを見つけたあの頃が一番我を失っていた。

いや、最初から失っていた様なものだが。


彼女に最後に会ったのは、ティファを取り戻すためサウジスカルに向かう前、正式に婚約破棄を言い渡した時だった。


「何故です? ナシェス様・・・貴方が私の事をなんとも想っておられない事は承知しておりますわ。それでも、ティファを妃に迎えるよりも私を妃に選んだ方が貴方の利になります。どうしてもと仰られるのでしたら側室にお迎え下さい! 貴方は、この国の皇太子なのですよ!」


最近あの頃の事を徐々に思い出せる様になった。

あの頃私の周りで生きていた者達の覚えられなかった顔と名前。


「はっ! お前が私の利になるだと?」


彼女は確かにそれなりに欲深く、強かで、自分の目的の為には手段を選ばない人間だった。


彼女に見つめられる度"またこいつか"と嫌気がさした。


だが、彼女はそれでも私よりはこの国の事を考えていたと思う。いや、間違いなく。


「お前が私を満足させる事などありえない。そして、役に立つ事もない。私にお前は、必要ない」


そこまで言われてよく私に執着出来るな? と思うが、それならば私も同じだな。私もどんなに冷たくあしらわれようがティファを諦めきれなかったからな?




「お久しぶりです。ナシェス様」


「・・・・・・会った事があったか?」




話を戻そうか? その日は驚く程雲一つない晴天でシャミが朝から私を起こしにやって来た。


渋々体を起こして外に出てみれば確かにとても晴れやかな空だった。


シャミは、久し振りにエドが会いに来ると嬉しそうにしていたな。


テニアもテットもメリルと共にリディの所に出かけたらしく、今日は子守かなどと考えながらシャミと宮廷の外を散歩していた。


そうこうしているうちに、背後からエドの呼び声がした。


シャミがエドに駆け寄る丁度そのタイミングで、私は横から呼び止められた。


「そうですわね。厳密には、初めてですわ」


「・・・・・カロレッタは、死んだのか?」


最悪だ。

これは、最悪のタイミングだった。


私は、これで身動きが取れなくなった。


「全てはベルシャナが、私を閉じ込め手放したのが間違いだった。あともう少し我慢すれば、全て上手くいったのに」


カロレッタ・・・・。

何故、彼女が。


「父が他国に行っているから私の下へ来たのか?」


「私には最後に寄生した者の記憶が残る。彼女の望みが・・・お前に伝えたい事があるそうだ」


遠くでシャミの悲鳴が聞こえる。

早く、早く誰か気がつけ・・・・。


「"私が黙って殺されるだけの女だと思ったら大間違いですわ。ナシェス、お前は絶対に後悔する。あの時、私を手酷く振ったことを泣いて後悔するがいい"」


中々激しいラブレターだな?

だが、不愉快ではないぞ? 不思議なことに。


「"リディの身近に最も危険な敵がいる。それが私に虫を寄生させ殺した者だ。彼は用意周到にその日を待っていた。奴の目的はただ一つ"」


それを聞いて私がどうしたと?

どうにも出来はしない。

それに、こんなチャンスは、二度とないかも知れない。


「良いのですか? メリルの下へ駆け付けなくても」


「・・・メリルには、テットやテニア。そしてリディがいる。私は奴等を信じている」


始祖は・・・・やはり直ぐ側にいた。

私の、直ぐ近くに・・・・。

直ぐに精霊の下へ連れて行かなくては。


「いつ、殺されたのだ?」


「メリルが襲われ、ここに呼び出された直ぐ後に。そして、囚われていた私は外に出た」


「カロレッタを殺した者が、メリルを狙っているのだな?」


「そう。では、チェシャ。私を連れて行け。アトレイアの下へ」


やはりバレていたか。

父はサウジスカルに親善交流に行って今日、帰って来る。

出来れば父ではなく私が取り込めれば良かったのだがな?


「私に寄生出来ないのか?」


「お前の体は、もう私を受け入れられない。私達が寄生できるのは寄生されたことのない者だけ」


しかし、どうやって?

父は・・・恐らくまだサウジスカルの国境に着いたかどうか・・・。


「お前の母は、精霊の愛し子の子孫。お前は、その血を継いでいる」


なん、だ? 身体が、おかし、い?

そういえば前にシャミが、私をシャミと同じだと、言っていた?


「急げ。あの男は狂っている。私を早く彼女の下へ連れて行け」


キュイイイーーーーーン


メリル、待っていろ。


急いでコイツを父に届け無事精霊にしたら、すぐに駆けつける。それまで死ぬことは許さないぞ。


「"ナシェス。貴方は私がこの世で一番愛した男。私が間違う筈はない! この国を救いなさい!"」


誰にものを言っている! 私はナシェス・ディムレム!!

私に、不可能な事などありはしない!

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