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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
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リディは家族会議中である

「ベルシャナ時代、ここに仕えていた者達を探せないだろうか?」


「生きて此処から出て行った者か。どれだけ生き残っているか分からないぞ? それに、今まで探しても見つからなかった者を見つけられるとは思えないが?」


そうだろうか?


そもそもベルシャナは恐らく此処から逃げ出した者達を深追いしていない。そんな余裕もなかったろうが、この国をまるごと滅ぼしてしまうつもりだったんだ。

わざわざ探し出さなくても一緒に始末してしまえばいい。


「ベルシャナに詳しい者に接触したいのだな? 始祖が、どのようにして引き継がれて来たのかも気になってはいたしな。当時の状況を知る人物を見つければ、何かわかるやもな?」


「・・・当時宮廷を去ったのは主に軍事を司る者達だ。ベルシャナの無茶な命令に反抗し宮廷を後にした者達だな。まぁ、本来なら守るはずの国民を、大した大義もなく殺せと言われれば、自分の役目に誇りを持つ者達にしてみたら納得出来ないものだったろう。それでも、最初は彼等もベルシャナを信じ、従っていたのだ」


だが、ベルシャナの凶行は一向に収まらず、それどころか日に日に苛烈を増していった。


当時この国の軍事を率いていた軍事官長はベルシャナに殺された。副官のデガルドはその時この宮廷から去っている。実質、軍を纏め統率していたのは、そのデガルドだ。彼はテリアーゼの父で、孫のティファを庇い数年前に亡くなっている。


そして、魔術軍団長はこの世界の一番北に位置するエドロン国出身者で元々は祭司だったが、自国から追放されこの国に来た問題ある人物だと記録されていた。


名はラシェン・ベイリィーファ


魔法の知識も豊富で実力もあったが、とても頑固で融通のきかない者だったらしい。


彼は、確か追放されたのだとか。


恐らくだが、殺す事が出来ず追放する他なかったのではと、当時の記録から推測出来る。


今も生きていれば結構な歳の筈だが果たして生きているのだろうか? もし、生きているのなら彼が一番当時の状況を知っていそうなのだが・・・。


「先日フェルナンディが謎の気配を宮廷内で感知したそうだぞ。もしかしたら私達のすぐ近くに始祖はいるのかも知れない。それとも、始祖ではなく、敵か」


「・・・そうだな、クララの事もある。気を抜かない様にしないといけない」


「・・・・お前、何故相手をクララにしたのだ? お前、ああいう女が好みなのか?」


兄様? なんですか突然。

そして今、その話必要か?


「クララはトボけて見えて頭が良い。少々女らしさが欠如している所はあるが、皇妃にしても問題無いと思うが?」


「そんな事を聞いているのでは無いのだがな? お前はクララを好いているのか?」


「・・・・嫌いではありません。ですが、貴方の様に相手に異様な程、執着はしていない。側に置いて不快ではない、それが正直な気持ちです。クララもそうでしょう」


ん? なんだその顔は。

何故父も兄もそんな呆れた顔で私を見ている?


言っておくが貴方達の意見など聞かないぞ?

貴方達は失敗している。もっと反省するべきだ。


と、いうか相手の女性に謝った方がいい。

とても、迷惑だったと思うぞ?

基本、貴方達の想いは相手に対して重過ぎる。異常だ。

そして迷惑だ!


「リディはメリルを選ぶと思っていた」


「は? メリルを? 何故です?」


「私もだ。お前達、とても相性が良かったではないか。それに、メリルはとても頭が良い。まぁ、皇妃としての素養は全く無いが、彼女は若い。メリルさえ了承すれば問題なかったと思うのだがな?」


何言っているんだ、この人達は。

メリルも私も、その選択肢だけは最初からないぞ?


「そんな事をしてしまったら、メリルは益々この場所に縛られてしまう。今は良くてもいずれは此処を出て行きたくなるだろう。私はメリルを此処に閉じ込めたくはない」


「何故そう思う? 最初は確かに無理矢理だったが、今は信頼関係が築けているだろう? 彼女の意思で此処に居ると言っているではないか。メリルが望むのなら、側に置いても構わないだろう?」


そうじゃないだろう?

そうじゃない。


「それは、私が彼女を女性として愛し、彼女が私をその相手として認め愛してくれた時にのみ成立する。そうはっきり言わなければ、分からないのですか? 彼女とは政略的に結婚はしない。その必要はない」


「・・・・ああ、成る程。では、待つ気はない、と?」


「私は、彼女をそんな風に見た事は無い。確かに愛情はある。きっと彼女もそうだ。だが・・・・・・」


私はメリルに、父の様に情熱的な感情や兄の様な盲目的な愛を向ける気持ちなどない。

テットの様に激しい嫉妬心も湧かない。


例えるなら、彼女は私にとって国民の象徴だと思う。


彼女が怒れば民が怒り、彼女が悲しめば民が嘆いている。

そして、彼女がなんの憂いもなく笑いながら生活をしている姿を見る度に私は安堵する。


私は、私が帝位を継ぐ前、彼女と話して知っている。

その時は気付かなかったが恐らく、その時のメリルが本当のメリルだと私は思う。


「彼女が欲しい物は此処にはない。メリルは、静かに穏やかに暮らしたいのだ。私の側ではそれは与える事が出来ない。私は彼女の願いを叶える。そう、約束したのだから」


「・・・そういう形もあるか。まぁ、二人がそれでいいのなら良いがな」


と、いうか何でもかんでも色恋沙汰にしようとするのやめて貰えないか? 私にもメリルにもクララにも失礼だぞ?


情熱的な想いは無くともクララは私の次期皇妃だ。

ちゃんと大切にするぞ? お前達とは違うからな!


話が逸れた! サッサと話を戻すぞ!






「あら? 珍しい。家族会議ですの?」


「みたいだなぁ? クララも加わって来たら? もう家族みたいなもんじゃないか」


「その弄りいつまで続きますの? 私、まだ諦めておりませんが?」


「いや。無理だろ? 諦めろ」


「ムギー!! リディ様、本当に側室をお迎えになるつもり、ないのでしょうか?」


「プレッシャーで押しつぶされそうだな? 分かった分かった。もし、上手くいかなかったら私が指南してやろう」


「ディアナ? 私が皇妃になったら覚悟してらっしゃい」


外野煩いぞ、聞こえてる。お前達、いい加減にしろ。

あとディアナ、お前油断してると本気で巻き込むからな?

気を抜くな? 私は、お前達には遠慮などしないぞ?


ちゃんと役目を果たせ!変人令嬢コンビめ!

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