エピソード4 エドの困惑
「エド? 最近元気無いけど、どうしたの?」
どうしたも何もないよ。
男友達が突然女の子になったんだ。
俺どうすればいいかわかんない。
「シャミと喧嘩でもした? 」
「違うよ! 兄ちゃんも知ってるんだろ? 」
「うん。話は聞いてるけど。シャミまだ落ち込んでるの?」
最近はそうでもないけど、前とは違うんだよ。
前はとても気安かったのに、女の子になってから凄く感じが悪い。近付こうとすると、離れるんだ。何あれ。
「俺、何もしてないのに、嫌がられてる」
「ああ! そういう事? それはしょうがないよ。エド、シャミは女の子なんだから男の子の遊びはもう出来ない。妹だと思えばいいんだよ」
えー? それはちょっと嫌だ。つまんない。
「それが嫌ならもう遊ぶのはやめたら? 偶に会って話すくらいにしておきなよ。女の子は体が弱いから危険な場所にも連れて行けないしね」
本当つまんない。
なんでシャミ、女の子になんてなっちゃったんだろ。
・・・でも、本人も泣く程嫌がってたからなぁ。可哀想。
女の子になったから遊ばないとか言えない。
あーあ。折角気が合う男友達が出来たと思ったのになぁ。
「あ、エド。テットならさっき出かけちゃったよ?」
・・・・それに、シャミ変化してから凄く、なんていうか・・・可愛く? なった。前から綺麗だとは思ってたけど、偶に目を合わせられない。
「エド? どうしたの?」
「・・・別に。じゃあ、遊ぶか?」
「うん! あ! 訓練棒でなら撃ち合っていいってメリル言ってた! チャンバラごっこする?」
うーん。しない。
多分俺、怒られる。
俺、結構強いからシャミに怪我させそうだもんな。
「この前空き地で作った秘密基地の続きは? まだ出来上がってないだろ?」
「うん。じゃあ道具を持って来る!」
ちょっと物足りないけど、まぁいいか!
折角仲良くなれたのに、こんな事で遊ばなくなるのもなんか嫌だもんな? それに、ここに来るの結構毎回楽しみにしてたりする。シャミと友達だからここに来れるんだから、細かい事は気にするのやめよ。
「そういえば。シャミ、メリル様との婚約はどうなったんだ? 女の子になったから、婚約者じゃなくなったんだろ?」
「ううん? 婚約者のままだよ? 俺メリルと結婚する」
・・・・・・ん?
何言ってんのコイツ。そんな事出来るわけない。
「女の子同士結婚なんて出来ないだろ? 」
「出来る。子供が出来ないだけで結婚は出来るんだって。だから、メリルと結婚する」
え? 俺、頭悪いのかな?
シャミの言ってる事がちょっとよくわからない。
「で、でも。あれ? 女の子同士は恋人にはなれないよな?」
「恋人にもなれるんだって。俺メリルと恋人同士」
え〜? え!?
それはおかしい、絶対に変!
「はぁ! 何言ってんだお前! 女同士恋人になれる訳ねぇじゃん!」
「え? おかしくない。俺メリル好きだし、メリルも俺の事好き。チューするもん」
「な!?」
チューするって、メリル様と?
シャミ、メリル様とキスしてんの?
そんな、そんな事・・・絶対におかしいだろ!
「メリル様、お前にそんな事すんの? なんだそれ! 気持ち悪い!」
「・・・・・・・え?」
「大人は子供にそんな事はしない! そもそも大人と子供が婚約するとか、ずっとおかしいって思ってた! お前騙されてんじゃねぇの!」
メリル様、俺の恩人だし、とてもすごい人だって知ってるから今まで疑った事なかったけど、これは変だ!
それって所謂変態って奴だ!
「お前、もしかして無理矢理、嫌な事させられてんの? 逆らえなくて、我慢してるのか?」
「ち、ちがう」
酷ぇよ。
シャミが逆らえないからって、こんな事許されるなんて。
俺、メリル様の事軽蔑する!!
「何が違うんだよ!! 大人が同じ女のしかも子供にキスするなんておかしいだろ!! メリル様変人だったんじゃねぇの!」
「・・・・・・ひどい」
「え?」
あれ? シャミ? なんでそんな顔・・・・あれ?
「ひどいよエド。メリルは変じゃない。俺も、メリルが好きだもん」
そうなんだろうけど。なんて、説明すればいいの?
俺、わかんねぇ。俺、何か間違ってたのかな?
「だ、だって・・・」
「なんで女の子同士じゃ駄目なの? メリルはいいって言ってくれたよ? 家族になれるって言った。俺もメリルもおかしくない・・・・」
いや、そうなんだけど。そうじゃなくて・・・。
あうーーーーー!!
「ーーーーーーッ俺帰る! 上手く説明出来ねぇ」
「エド?」
「シャミが嫌じゃねぇならいいんじゃね?俺、知らね」
やっぱ会いに来るんじゃなかった。
シャミ凄く困ってたじゃん。
でも俺、他になんて言えばいいのかわかんねぇよ!
「お? エド、 来てたッスか? あれ、シャミは?」
「・・・テットさん・・・」
「・・・ん?」
駄目だ。上手く言葉に出来ない。
俺、頭悪いから。
「エド、どうした? 何かあったのか?」
「シャミ、変な事されてない?大事にされてんだよね?」
「なんだそれ? 当たり前・・・・」
「・・・・帰る。お邪魔しました」
ここの人達は、皆良い人だって分かってる。
でも、なんでだろ。シャミの話を聞いて凄く気分が悪くなった。こんな事、前は感じなかったのに。
「・・・・エド?」
早く大人になりたい。
だって子供の俺じゃ、シャミを助けられない。
大人なんて、やっぱり嘘つきばかりじゃないか。
いっぱい鍛錬して勉強して、もしシャミが酷い目にあっているなら、あの場所から連れ出さないと。
シャミが傷つけられる前に。




