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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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テニアは親子喧嘩を止める

「あの。アトレイア様にお茶汲みなど・・・私が用意致しますが?」


「客人がアトレイア様にと仰せだ。今すぐ呼んできて欲しい」


サウジスカル国の人間は皆、肝が座っておりますわ。


前皇帝陛下のアトレイア様にお茶を入れろなどと。

厚かましい事この上ないですわね。


それとも、何か考えがあるのでしょうか?


「そうか。では、そちらに向かおう」


? なんでしょう。

何故アッサリと了承したのでしょうか。

嫌な予感がしますわ。ラフィネラは何か知っているのでしょうか? 警備兵も困惑しておりますもの。





「下らぬ事で私を呼び出すとは、お前は何を考えている?」


「・・・申し訳ございません。サウジスカルの大切な客人が是非にと申されたのです」


これは、事情を知らない顔ですわね? ラフィネラもこの事態が何故起こったのか理解しておりませんわね?


事件勃発の予感でしょうか?


「私はいつからお前の召使いになったのだ? お茶汲みなど他の使用人にさせるがいい。それとも私にはその程度の仕事がお似合いだという意思表示なのか?」


「ーーーッ!」


け、喧嘩? まさかこんな所で親子喧嘩を始めるおつもりですの? ちょっとラフィネラ! 至急扉という扉閉めて下さいませ!!


「お前は昔からそうだ。不満な顔をする割に、何も言わない。私に文句があるのなら一度くらい申してみよ。無能な父で腹立たしいか?」


えーーー!ら、ラフィネラ! と、止めて下さいませ。

ん? 無理ですの? そうですわね? 私も流石に立場的に止められませんわ! ああ! ここにメリル様がいらっしゃればぁ! メリル様の一言で解決しますのにぃ〜!


「ええ。腹わたが煮えくりかえるほど。何故貴方の関心が兄から我が民達に向けられないのか、ずっと不満でした。貴方が意見を兄様に求める度に、それを簡単に受け入れる貴方を見る度に、失望しました。なんて、愚かな皇なのだと」


・・・・これは、私達が聞いてはいけない内容なのでは?

ん? 外からなにやら、気配が・・・・。


「兄様に意見を仰いだ事を責めているのではありません。彼は当時この国の皇太子だった。問題は貴方が兄様の言葉を考えもせず鵜呑みにしていた事だ。それが、この国にとって利になるか不利益になるかを、冷静に判断しなかった事だ。貴方がこの国の皇帝として立ち、どれだけの民を救えた? 答えはゼロだ。貴方は誰も救っていない。ただ、虐殺がなくなっただけで、何も問題は解決していなかった。貴方はそれを正す事に対して関心を持たなかった」


「・・・・・私が無能な皇だと?」


「そうだ!貴方は、これまでに何度もこの国の改善を試みたが、貴方は自分は何も出来ないと決めつけ、それを全て他者に求めた。 デズロ様や兄様に! 自分の役割を押し付けようとした! それなのに、貴方は一度だって私にそれを求めなかった!! 何故だか分かるか!」


もしやこれは、わざとなのでしょうか?

わざと、リディ様の為に?


「なんだ、言いたい事があるのならハッキリ言え」


「私が貴方を救えないからだ! 貴方は、自分が救われる為皇になった! 皇とは、自らを守る為に存在するのではない!!」


「そうか」


「そうだ! そして、それが叶わないと知ると簡単にその地位を捨てた。簡単に放り出した。私達のこの国を!!」


「・・・・・そうだな。確かにそうかも知れないな。ナシェスがこちらに帰って来ると知った時、私はナシェスが責任を取るのが一番適していると思った。例えそれが、この国の衰退を招く事になっても」


私達にしたら本当にいい迷惑ですわね。

リディ様がお怒りになるのは最もですわ。


「私は、この国が滅びる事を望んでいた」


「・・・・・は?」


驚きですわね。

アトレイア様本気でしょうか? ラフィネラも固まっておりますわよ? ベルシャナの代から引き続きの悪政ですわね?


「・・・お前はこの国を愛している。それが私にはわかった。だから、私はお前の母が亡くなった後、本当は私の子ではないではと疑った。私に余りにも似ていなかったからだ。私はこの国が憎かった。父をあんな風に変えてしまったこの国が・・・長年我等を苦しめるこの場所が」


「だから、見捨てようと?」


「・・・本当にそう出来たならまだ良かったのだ。だが、私にはそれも出来なかった。リディ、お前には、理解出来ないだろうな。私はお前にも嫉妬したのだ。お前は、何故そんなにも、この国の事を愛する事が出来るのだ?」


「・・・・そ、れは」


「私の中に少しでもその思いが育つ事があったのならば、私はこれ程苦しむ事など無かっただろう。私がここに居られたのは愛する家族が側にいたからだ。憎むものを守らればならない。そんな気持ちはお前には到底理解できないだろうがな」


アトレイア様は、ベルシャナの時代を生き抜いて来ている。地獄の日々を過ごすうち、病んでしまわれたのかも知れませんわね。私が、そうだったように。


「私が許されない事も分かっている。だから、お前はもう、私に振り回される必要はない」


でも、そうじゃありませんわ。リディ様が望むものは。

アトレイア様、違うのですわ。


「大事なお話中、私などが口を挟む事お許し下さいませ!」


「テ、テニア?」


「本来ならメリル様が言えば万事解決の予感ですが、今現在メリル様不在ですので、僭越ながら私が代理として申し上げます!」


話を聞いていたら、なんだかまどろっこしい事この上なく、しかもアトレイア様、微妙に核心からズレておりますので、軌道修正させて頂きますわね?


「構わない。申してみよ」


「では、無礼を承知で失礼致します」


さっきから外で覗いてる方々も、いつまでたっても入って来ないようですので、もういいですわ。

私メリル様の物なので誰も私をクビに出来ませんから!


「子供が良い行いをしたのなら素直に褒めて下さいませ! 貴方がどんな人間だろうが、どうでもいいのです。それが、親の務めでしょう?」


「・・・・・褒める?」


「はい。貴方のお仕事は、リディ様の邪魔をしない事でも、隠れてお過ごしになる事でもありません。正面から数々の功績を残されているリディ様を褒める事ですわ。口にされないだけで、リディ様の事をお認めになっておりますわよね?」


「それは、そうだが・・・私に褒められても、リディは嬉しくはないだろう」


いえ? ちゃんとリディ様を見て下さい。

明らかに私の言葉を聞いて狼狽えておりますわ。

やはり、リディ様もまだ子供なのですわよ。


「ラフィネラ! リディ様が逃げないように捕まえておいて下さい! さ、アトレイア様、今のうちに!」


「は? あ、ああ?」


「ま、待て! 何をする? ラフィネラ離せ!」


「申し訳ありません。テニアの指示はメリルと同等の扱いになるそうなので」


「いつからそんな事決定したのだ!! コラ!」


やり方が分からないのなら私が教えて差し上げますわ!

いいですか? コソコソ。


「いや、それは・・・どうなのだ?」


「いいですから。はい! 頑張って下さいまし!」


側から見たら異様な光景ですが構いませんわね?

どうせ見てるのは隣の国の人質(?)だけですわ!

恥ずかしがる事ないですので。


「・・・・・リディ」


「な、なんです?」


ポンッ・・・・撫で撫で撫で撫で。


「お前は。私の自慢の息子だ、私はお前の事を誇らしいと思っているぞ? ずっと、そう思っていた」


「ーーーーーーーーッ!!」


う〜ん。まぁ、初めてにしては頑張ったのではないでしょうか? 次はもっと自然に言えるといいですわね?


「お、思っても、ない事を・・・」


「?いや、本心だ。私にこんな事を言われても嬉しくなど無いと思って口に出したりはしなかったが。お前はナシェスと違い、しっかりしていたからな。放っておいても安心だと思っていたのだが・・・リディ?」


「も、もういいです! お、お茶は別の者に淹れさせますので・・・」


「いや、ここまで来たのだから私が淹れよう。きっと待ちくたびれているだろう」


「・・・・・・そうですか。・・・お願いします」


リディ様呆然とされてますわね。

メリル様もそうでしたけれど、リディ様もかなり拗らせていたのですわね? 耳真っ赤ですわ。


「俺達の出番、無くなったぞ?」


「そもそも、アレは喧嘩とは呼べないな? やはりいきなり親子喧嘩は無理があったかもしれないな」


どうやら誰かの出番を奪ってしまったらしいですが知った事では無いですわね? あと家族がいるのも面倒ですわね?

ちょっと考えさせられますわ。はぁ疲れた。

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