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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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リディは思わず了承する

もう慣れたと言うべきなのか。

デズロ様やメリルに散々振り回される日々で、私の精神力はかなり鍛えられていたのだと実感した。


「お久しぶりでございます。突然この様な形で御目通りを陛下に願い出たご無礼をどうかお許し下さい」


「いや、構わない。お前はここにいた頃、私達の勝手で酷い目に遭っている。デズロ様からも話は伺っているのでな。・・・・メリルを、サウジスカルに連れて行きたいのだろう?」


皆の目の色が変わったな。

宰相など鬼の形相だな。さて、どうしたものか。


「数日の間、メリルをお貸し頂きたいのです。我が父デズロから、事情は聞いておりますでしょうか?」


「ああ。聞いている。今メリルがこちらに向かっているから、取り敢えずメリルの意思を確認して欲しい」


さて。あれ程ティファに固執していたメリルだが、果たして本人相手にどんな反応を示すのか・・・。


「おはよー! こんな早くから呼び出してなんなのリディ・・・・・・・」


「あ、メリル。久しぶりですね? 相変わらず元気に引きこもってますか?」


おい。何年振りかの再開でその挨拶。

ティファ。お前、相変わらずだな? 皆呆然としているぞ?


「・・・・・・んん? お姉ちゃんにそっくりな人がいるわね? もしかしてフェルナンディ?」


あ、そっちか? それはそうだな。普通行方不明になり他国で暮らす姉が突然目の前に現れるとは思わないだろうな?


「この人達誰? 見たことない鎧だね? あれ? お客さん?」


「メリル? もしかして私の事忘れちゃいました? 一応私、貴方の姉だった人ですよ?」


「あはは? えー? 姉って・・・・・え?」


「・・・メリル。信じられないのは理解出来るが、彼女は正真正銘ティファ本人だ。偽物ではない」


これは、ちゃんとフォローした方が良さそうだな。

しょうがない、近くまで行ってやるか。


「へ、陛下? 立ちがってどうされたのです?」


全く。私はこの国の皇帝なのだぞ?

何故私自らこんな事を。


「メリル。おい、しっかりしろ。正気を保てているか?」


バターン!!


やっぱりか!! お前やっぱり卒倒したな! 起きろ。

そこは気合で起き上がれ。でなければ話が進まない!


ガシッ!!


「「「え?」」」


「メリル?」


おいメリル。

お前倒れたまま何故ティファの両足首を掴んでる?

その格好なんなんだ?


「・・・・・おねぃちゃん」


「はい? どうしました?」


「どうしましたじゃないよ!! なんなの? 本当なんなの? なんで普通? あれだけ私達の事無視してた癖に、そこはスルー? 清々しい程普通の挨拶? 流石の私も驚きで立ち上がれない!」


「え? 何の事ですか? 私メリルを無視なんて、してないですけど?」


「してたでしょ! 私がお姉ちゃんに会いに、ここに来た時思いっきり無視したじゃない! 」


「そんな事ありましたっけ? でも、しょうがないですよ? そもそもメリルの事隠してたのに話しかける訳ないです」


・・・成る程。

ティファ的にはメリルの能力が他の人間に知られる事を避ける為、接触を避けたんだな? まぁ、理屈は、分かるが。


「サウジスカルで無事に暮らしてる時だって、手紙の一つも寄越さなかった!」


「そりゃ。何処で暮らしているのか知る術もありませんでしたので。移動して暮らしている家族に手紙を送るのは難しいかと?」


メリル達は身を隠す為に住む場所を定期的に移動していたと聞いている。おい。もしかして全て誤解だったのでは?


「お姉ちゃん。私の事嫌いなんだよね?」


「嫌い? 私がですか? 私を嫌っているのはメリルだと思ってました」


見事なまでの、すれ違いだな?

これは、関係の改善が見られそうか?


「全く。メリルいつまでそんな所で寝転がってるんです? いい加減起き上がって下さい。よいしょっと」


「・・・・じゃあ。私の事、好き?」


メリル。

私は短い付き合いなりに、ティファの人となりを知っている。その私が長年家族として過ごしたお前に、こんな事を言いたくないのだが。その問いは、不正解だ。


「え? メリルうざい」


「びぇーーーーー!! 姉ちゃんの馬鹿ぁー!!」


これは酷いな。あのティファ相手によくもまぁその問いかけを皆の前でしたな? ティファが素直に答える訳ないだろう? お前何年ティファの妹やっているんだ?


「・・・成る程。そういう事なんだね? ティファ、駄目だよ? 久しぶり会ったんだから素直に答えてあげないと」


「・・・ハイトさん。私には高難度過ぎて無理です。この子パスしていいですか?」


「僕は構わないけど・・・・ティファはそれでいいの?」


「ん?ハイト? ハイトって確か・・・お姉ちゃんの・・」


おい。メリルをヌイグルミか何かの様に差し出したまま固まっているが、やめてもらえないか?それ、一応我が国を救済出来る魔術師だからな?

簡単にパス、しないで欲しい。


「え! い、嫌です! ハ、ハイトさん受け取る気だったんです?」


「え? うん? だってティファの妹でしょ? 将来僕の義妹になるんだよ? そりゃ受け取るよね?」


「「「は、はぁ!?」」」


なんだか面倒な事になりそうだな。

メリルヘソ曲げて行かないとか言い出しそうだな。

それならそれで私は助かるのだが・・・・・。


「ぶふ!!な、なんなのコレ? ちょっとマッジン。フォローして来いよ」


「え? 俺にどうしろと? アレをどうしろって言うの? メルローが何とかしなよ。俺達本当に急いでるんだけど?」


「いやーーー。驚いたっス。人間って驚き過ぎると、何も言えなくなるんッスね?」


これでは収集がつかないではないか。

全く。・・・・だが、良い機会かも知れないな。


「メリル」


おい。お前本当に大丈夫か? ちゃんと生きているか?

普段周りを振り回しているツケが一気に回って来たのかもな? ちょっと可哀想だが、しょうがない。


「今からサウジスカルへ行く準備を。お前を臨時の大使として雇いたい。ティファ達と彼方へ赴き、見聞を広げて来い」


「リディ様! 何を仰います! メリル様を此処から出すのですか!!」


しょうがないだろうが!

此処で断ったらやっと落ち着いてきたサウジスカルからの心象が悪くなる。それに、此処で恩を売っておけば後々我等の為にもなりそうだからな。


「勿論護衛にテットをつける。そして、メリルが帰って来るまで、シャミとテニアは私の元に置く。その意味が、分かるな?」


「・・・・リディ」


こんな事しなくとも、お前が私の元に戻って来る事は分かっているし、聞くものによってはコレは違う事を意味する。

人質なのだと思う者もいれば、その逆だと気付く者も。


「ティファ。いい加減メリルを離してやれ。いつまでぶら下げたまま固まっている? 痴話喧嘩は他所でやれ」


「「痴話喧嘩じゃない!!」」


そうなのか?


あと、ティファが否定するのは良しとして、メリルまで否定するのは何故なんだ? その辺りも引っくるめて解決してから帰ってきて欲しい。

いい加減拗らせた重度のシスコンをなんとかして来い。

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