表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
120/194

アズニールの災難

何故俺がこの様な事を引き受けねばならないのか。

最初はそう思ったが、クリオルというこの少年と共に行動し、俺は何となく納得した。


「アズニールさま。お待たせ致しました。この村も大丈夫そうです。花の種も植えてくれるそうなので、暫くはここの土地が荒れる心配もないでしょう」


メリルが名指しした、平民の少年医療官は蓋を開けてみると、とても優秀な少年だった。


恐らくあの宮廷内で一番メリル様の能力を引き継ぐ事が出来ている。私達にとって彼はとても重要な役割を担う人物になりうる。


だから、彼に危害が加えられない様に俺が護衛につけられたんだな。


「陛下の騎士様なのに僕の護衛などお願いしてしまい、本当に申し訳ありません。僕も、まさかアズニール様が来て下さるとは思ってもいなくて・・・」


「構わない。これは陛下の命でもある。君は気にせずに伝染病を治してくれればいい」


「はい! ありがとうございます」


何だろうな。

クリオルといると、なんだか弟が出来たようなそんな錯覚に陥るな。自分の部下ならこんな感情沸き上がったりしないんだけどな?


コイツ。素直過ぎるんだ。


「で? 今日はどうする?」


「このまま宮廷に戻ります。メリル様に色々報告もありますし、今からなら今日中に戻れますよね?」


そうだな。

そろそろ宮廷内の事も心配だから戻りたいとは思っていたが、もしやクリオル、気が付いていたのか? コイツ結構観察力あるからな。こんな気弱そうな顔してる癖に変に度胸もあるしな? 実は俺は結構クリオルを気に入っている。


「じゃあ馬車に・・・・・」


「アズニールさん!」


なんだ? 背後から、殺気?

いや、ん? アレは・・・向こう側から数人こちらに向かって駆けて来て・・・・げぇ!!


「ク、クリオル! 走れ!」


「え! は、はい?」


ええい! まどろっこしい! 担ぐぞ!

早く此処から離れなければ!!


「アーズーニィールー!!」


ぎゃあああああああああ!!やっぱりぃいいい!!

こっち来るんじゃねぇえええ!


ドゴスッ!!ズサーーー!!


「わわわわわ〜!!」


「げぶっ!」


ち、ちきしょう! 相変わらずの怪力め! なんでお前が此処に居るんだ! 悪夢か? これは悪夢なのか?


「アズニール? 何故私の姿を見て逃げ出すんです? 何かと勘違いでもしましたか?」


「勘違いするか! お前だと分かったからだろうが! お前とは二度と関わりたくない!!」


「ちょっとティファ〜? その人知り合い? いきなり人間とは思えない速度で走り出したから俺驚いた。心底驚いた〜」


なんだコイツら。

その格好は、サウジスカルの騎士だな? 何故コイツらがカスバールに? 俺は何も聞いていないぞ?


「あ、あの? アズニール様・・お知り合いですか?」


「いや、知らない。人違いだ。先を急ごう」


ガシッと俺の腕をねじり上げて引っ張るのは、やめろ!

お前本当に相変わらずだな! 暴力で全て解決しようとするの止めろ!


「ティファ、ティファ? どうしたの? 駄目だよ出会い頭にそんな事したら。話なんて聞いてもらえないよ?」


「ハッ! すみません。つい昔の癖で。アズニールが逃げ出したりするから・・・」


「人の所為か! お前本当に相変わらずだな! もう俺に関わるな! 迷惑だ!」


コイツには散々苦い思いをさせられた。

闘技大会でコイツに負けてから俺は騎士隊長と呼ばれながらも皆の笑いものだった。女に負けた騎士隊長としての汚名をずっと背負い続けた。


そしてティファの俺に対するこの対応。

本当に酷い。悪魔め。


「すみません。ちょっと俺達、今余裕が無くて。急いでカスバール宮廷に向かわなければならないんです。カスバールの皇帝陛下にはデズロ様からお話が通っている筈なのですが聞いてないですか?」


「陛下に? もしかして、メリル様に会いに来たのか?」


「はい! 早急にメリルに会わなければなりません! アズニール! 私達を宮廷に連れて行って下さい!」


俺はお前とは目を合わせない。

お前はマトモじゃないから話をしたくない。


「要件は? 俺はこの国の騎士なんでな。それに、俺達は別の任務で此処に居たから貴方達の事を知らされていない。話が通っているなら自分達で向かってくれ」


ガッと俺の首に腕を巻きつけて締め上げるの止めろ!

お前本当にいい加減にしやがれ! 俺もいい加減、剣を抜くぞ! この怪力女がぁあああ!!死ぬ!このままだと死ぬ!


「ティファ!!」


「あぅ!!」


「ゲホゲホ! き、さま・・・本当にふざけやがって」


ん? なんだ? ティファが急に大人しくなったぞ?

どうしたんだ一体。


「ティファ? 僕怒るよ? 時間、ないんだからね?」


「・・・はい。すみません。ハイトさん」


・・・・・え!! い、今ティファの奴謝った?

あのティファが? 自分の言う事を聞かない奴は片っ端から制裁を加えていたティファが? これは、やはり、夢?


「今回の事は全面的にティファの都合だよね? それに、カスバールを巻き込む形になる。それなのに、協力をお願いする相手に危害を加えてどうするの?」


皆、目が点になっているな。

もしかして、他の奴等も驚いているのか?


「・・・ご、ごめん、なさい」


あれぇ? ティファ泣きそうになってるのか?

コイツ、こんな弱々しい奴だっけ? ん? あの騎士そのまま・・・・ティファを抱きしめたぞ!


「うん。怒鳴ってゴメンね? 大丈夫、少し冷静になって欲しかっただけだから。怒ってないよ?」


なんだろう。これじゃまるでティファが普通のか弱い女性みたいだな? それは、有り得ないな?

アイツはか弱くない。化け物だ。


「はい。あの・・・ハイトさん? 離して下さい」


これは、俺達否応無く巻き込まれたくさい。

無視して馬車に乗り込むという選択もない事もないが。


「ティファ様はメリル様のお姉様ですよね?」


「あ、はい! あ、あの。ハイトさん? そろそろ離して・・」


「やだよ? 離したらティファまたあの騎士の人に絡みに行くでしょ? 他の男にベタベタしないで? 」


あのハイトとかいう奴が居れば俺の安全は守られそうだ!

それなら話は別だ。下手に断って後から制裁を加えられたら堪らないからな!


「じゃあもうそのままティファを捕獲しておいてくれ。荷馬車だから乗り心地は良くないが宮廷まで送って行こう」


「御助力感謝致します。私はサウジスカル帝国騎士団団長

ハイト・ゼクトリアムです。貴方は?」


おいおいおい。そんな大物がここに何の用だ?

俺もクリオルもビックリし過ぎて思わず顔を見合わせちまったぞ?


「お、俺はカスバール宮廷に仕える騎士隊長のアズニールだ。こちらは医療官のクリオル殿。俺は一応騎士達を纏める役目を与えられている」


「では、向かいがてら私達の事情をお話しさせて頂きます。時間が、ないものですから」


皆、真剣な顔だな。

だが、さっきからアンタがガッチリ捕まえて離さないティファの余りの有様に、その緊急性がイマイチ伝わって来ねぇな? 大丈夫なのか、それ?


「ハイトさん・・・お願いです。もう離して・・・」


「え? 嫌だよ? だってこれは暴走した罰だからね?」


あ。そうなの?

このハイトって奴凄えな。あのティファを黙らせただけじゃなくこんな方法で拘束するなんてよ。俺には考えられない。尊敬する!


「・・・・・あんまりジロジロ見ないで下さい。処しますよ? アズニール」


そうか。ちょっと可哀想とか思った俺が馬鹿だった。

お前、ずっとそうしてろ! 俺の身の安全の為にな!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ