テゼールはティファを叱りたい
「テゼール。テゼーーール!!」
なんだこんな夜中に・・・聞き覚えのある声だな。
不吉な予感しかしないのだが?
「・・・・おい。今何時だと思っているんだ? 安定の無職者め!」
「ごめんごめん、ちょっと緊急事態でさぁ。明日ティファがカスバールに向かうんだけどテゼール達こちらに来れないかな?」
デズロ。お前急になんなんだ。
要求だけを突きつけるの止めろ。理由を説明して欲しい。
じゃないと今隣で寝ているマリオーネがキレそうだ。
彼女は寝起きが悪いんだぞ?
[実はさぁ・・・こっちの事情なんだけど、穢れを纏った植物を体に突き刺されて死にそうだった騎士を助ける為に、ティファあの秘薬をまた使っちゃったみたいなんだ。それで、今回は時間がなくてティファが直接メリルを連れて来るって言ってるんだけど〜、メリルがそこからこちらに来るのは難しいでしょ?だから、テゼール達に先にこちらに来てその騎士の様子を見て欲しいんだよね。今回は完全にこちらの事情だから勿論ちゃんとリディに話は通すつもりだし、協力してくれるならその対価を払うつもりだよ?]
「・・・・・・・別に構わないが。ティファに会ったら容赦なく説教するぞ? 兄さんが止めても私はやめないぞ?」
「うん。そうだね。これはもう、しょうがないよね?」
あの・・・・・・・馬鹿娘がぁあああああああ!!
何故二度も同じ過ちを繰り返す? お前には学習能力がないのか!鳥脳なんだな? 1分で大事な事を忘れるんだな?
「マリオーネもここを離れなれないだろうから、私が一人で行くが、それで構わないな?」
「何勝手に決めてるの? 私も行くけど?」
おい、マリオーネ。君起きてたのか? ん? 何故引っ付いてくるんだ? マリオーネ?
「酷いテゼール。私を置いて行くなんて・・・貴方が居なくなったら誰が私の面倒見るって言うの?」
「マリオーネ。寝ぼけてるな? デズロが見ているから今は・・・」
「死ぬまで一緒だって言ったでしょ? テゼール」
ま、待て待て待て。
マリオーネ。本当に今はやめて欲しい。デズロがジッとこっちを見ている! とても恥ずかしいぞ!
[・・・・相変わらず、ラブラブだねぇ? 羨ましいなぁ?流石僕から弟を奪っただけあってテゼールのツボを押さえてるよね〜? 因みに僕の背後でエルハドもコレ見てるからね? なんならササラも控えてる]
「冗談はさておき。一応ベロニカを治した過程は私も知っているけれど、多分今回も秘薬の効果は書き換えられてる筈。残っている量だって僅かだったんでしょ? どんな状態なの?」
おい。お前達本当に性悪だな。
私の家族はこんな奴等ばかりなのか。
「今回は目を覚まさない。心臓は止まっているのに、体の腐敗が始まらないんだ。時間が、止まっているような感じかな?」
メリルもとんでもない薬を作り出すな。
少量で人間を完全な仮死状態にするなど聞いた事ないぞ。
「成る程。今すぐ支度して出るわ。メリルに話している時間ないから、デズロからリディにこの事伝えてね」
「勝手に決めて大丈夫なのか?」
「大丈夫でしょ? 私とテゼールはここの居候よ? ここから出るのは自由でしょ?」
それはそうだが、明日突然私達が居なくなったら皆驚くだろう? 少しは周りにも気を使って欲しい。
「それにこんな機会中々無いもの。メリルの秘薬がまたどんな効果を発揮するのか、是非確かめたい」
つまり単純に興味があるんだな? 納得だ。
「しかし、時間がないんだろう? ティファがここに来てメリルをそちらに連れて行っている間早くとも1週間はかかるぞ? 私達は今から出れば三日で着くが」
魔法を使えばもう少し短縮出来るだろうが、私が魔法を使える事をここの者は知らないからな。少し離れてからでないと。見つかったら面倒だ。
[半日でそちらに送るつもり。僕とササラでティファ達を一気に近くの村まで飛ばすから、そこからなら全速力で走れば半日で辿り着く。メリルとリディを説得して、メリルの魔法を使えば恐らく二日でこちらに着くでしょ? ティファが起こした問題だから、ティファが自分でメリルを説得して連れて来ないとね? お手並み拝見といこうか?]
お前。
人の命が関わっているのに、楽しんでるだろ?
ティファもそうだったが、メリルもかなり拗らせているぞ? あの子を此処から連れ出すなど、本当に出来るのか?
「全くしょうがない子だ。その調子だと落ち着くのはまだまだ先だな」
以前騎士のハイトと結婚すると手紙を寄越したから慌てて駆けつけたら全然話が進んでいなかったからな?
その調子だとハイトに呆れられてしまうのではないのか?
そんな事していると嫁の貰い手、無くなってしまうぞ?
[あ、そうそう。今回ハイトもティファとそちらに行くからね? 体面上はティファの婚約者をメリルに紹介する事になってるから。リディにはティファをそちらに送った後、僕から説明する]
「なんだと! ちょっと待て? それでは皆にティファが婚約していると知られてしまうじゃないか!」
「え? 駄目なの?」
駄目だ! 万が一、万が一にもその婚約が駄目になったらどうする? ティファが可哀想だろう?
「・・・テゼール? 無駄な希望は抱かない方がいいよ? お前ハイトの執念深さを全然理解してないね? ハイト、ティファの為ならカスバール滅ぼせると思うよ? 僕が諦めた時点で察しなよ。アイツはとんでもないよ?」
「よくそんな危険な奴とティファを夫婦にする事を了承したな? お前これ以上問題の種増やす気なのか! そうなのか?」
いや、私も理解はしている。
前々から思ってはいたが、ハイトのティファを見る目は普通じゃない。並々ならぬ執着心が垣間見える。
私は心配が尽きない。大丈夫なのか? あの二人。
「ティファが選んだ相手だからね。どうにもならないよ」
そうなんだ! それが一番私の頭を悩ませている!
ティファ。贅沢は言わない。せめて普通の人間と結婚して欲しい! 切実に!




