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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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チェシャはこう見えて色々考えている

「それで。リディには誰が話す?」


「う〜ん。まぁ私だよね? 」


「でも、なんでアトレイア様にしか見えなかったんだろ。俺にもチェシャにも見えなかったよね? どうして?」


精霊が、それを望んだからだろうな。


そして、本来ならそれが父様の役割なのではないだろうか。そんな気がしてならない。


だが、納得いかない事もある。

辻褄が、合わないんだ。


あの後メリル達の推測を聞き、私もその考えが間違っていないのではと思っていた。


しかし、やはりそれだとおかしい。


「私を、お呼びになりましたか? ナシェス様」


「ああ。お前に聞きたい事があってな」


実は最初の時を除いてメリルの首輪が解除されたままなのだ。だから私は割と自由に動く事が出来る。メリルが私の側を離れる度、動けなくなれば不便だからな。かといって宮廷内で私を連れ回すのは問題だ。つまり、私は割と今自由だ。その隙にここに来ている。


私は、奴にずっと聞きたい事があった。


「お前、ベルシャナに命令されて私の監視をしていたな? 一体何を命令された? 私は、何者だ?」


待ちくたびれたという顔だな?

そうか。やはり、私の考えは間違っていないのだな?


「やっと、お気付きになられたか。もう、気付かぬまま死んでしまうかと思っておりましたのに」


そうだな。私もまだ生き残っている事を不思議に思うぞ。

それも、ティファの本当の母親に助けられたなどと。

お前でも、それを知ったら流石に驚くだろうな?


「母は、いつ? 父様は、全く気付いておられないのだろう?」


「アトレイア様に嫁がれ直ぐに。貴方はベルシャナ様の実の御子息で御座います。彼女は死ぬまで隠し通されましたね? アトレイア様をさぞ愛しておられたのでしょう。健気な事です」


皮肉なものだな。

だから、ベルシャナは、私にあんな事をしたのだな。


私に別の物を寄生させてしまえば私の体を奪われる事はないからな? あの方は、本当にこの国を滅ぼしてしまうつもりだったんだろう。


「それで、お前は私がリディに接触しないよう見張っていたのだろう? それで? お前は私に何を望んでいる? 」


「・・・・そうですね。ナシェス様・・・私の妻も子も、もうおりません。ベルシャナ様に殺されましたので」


私の罪は、恐らく何も知らなかった事だろう。


当たり前だが私に仕えている者達にも大切な家族があり、守るべきものがあり、愛する者がいた。


私が何も知らずに守られ、もてはやされ暮らしていた数年の間に、その大切な命は簡単に奪われた。


その事を私は知ろうともしなかった。


「最初は余りに苦しくて、何度も自分も終わりたいと、そう願っておりました。しかし、叶うことはなく、やがて私は理解しました」


やはり、私は許されては、ならないのだろうな。


「壊されるのが苦しいのなら壊せばいいのです。私はそうしているうちに、そういう風にしか生きられなくなったのです。ナシェス様・・・貴方なら理解して下さるでしょう?」


「・・・・いや。わからん。分かっていたら、きっと私はここに居なかっただろうからな」


私は自分が人間でない者になって、この国の精霊になれば許されると思っていたのかもしれない。


では私は、助けられたのではないな。

罰を、受けているのだろう。


「アニラ。私はお前の本当の望みを知っている。だが、まだ叶えられない。お前が気付いてないからな」


「何を? 私の望みは・・・・」


「私は、お前を殺したりはしない。その、資格もない」


驚いた顔をしているな? 私がこんな事を口にするのが信じられないのだろうな。


「何故、笑っておられるのです? ナシェス様?」


「いや。なんだかスッキリした。アニラ、私はお前を恨んではいない。お前は、私達を壊したい程憎んでいるだろうがな」


「・・・ナシェス様?」


私もアニラも余りにも多くの人間を傷つけた。

だから、簡単に死ぬ事は許されない。

だが、私だけはアニラ、お前を許そうと思う。


「私の中にいた寄生虫はもう居ない。知っていたのだろう? あの日私をベルシャナの部屋から連れ帰ったのはお前だったのを思い出した。あと、私にベルシャナを求めても無駄だぞ? そもそも私はあの人に全く似ていない。そして私は快楽で人を殺す程、他人に興味がない。諦めろ」


「・・・そんな言葉で私が止められるとでも?」


いや? そんな事は思っていないぞ?

だが、これでお前は自由に動けなくなったがな?


「もし、ベルシャナに会いたいのならもう少し生きてみるがいい、運が良ければ会えるかも知れないぞ?奴にも私の中にいた物と同種の生き物が寄生していたらしいからな?」


「後悔されますよ。私を、殺さなかった事を」


そうだな。

だが、私もそうやって生かされている。


「私は、私の近くにいた者の名を覚えていない。お前以外の名前をな。だから、私はお前の元主人として、お前の罪を背負ってやろう。お前が今日まで犯した罪は全て私の責任だ。だが、ここから先は知らん。自分で責任を取れ」


さて、これを父様にどう話すか。

あの人ショックで寝込んだりしないだろうな?


そんな事になったらメリルに叱られそうだから、一応メリルに伺いを立ててからにするか。


「私が、貴方の愛する者を殺しても、貴方は同じ事が言えるのですか?」


「・・・私が愛したのは、ティファだけだ。お前にティファを殺せるというのなら、殺してみろ」


「・・・・・ハハッ・・・そうですか」


本当に。

生きていて良い事などありはしないな。

父だと思っていた者は父ではなく、本当の父には精神を壊された。愛する者には、愛し方を間違え嫌悪され、挙句人ではないものになるのが定めだと言われる始末。


碌な人生ではないな?


だが私は細かい事は気にしないタイプだ。

いちいち落ち込まないし過去を悔やんだりなどしない。

少なくとも過去の自分より今の自分の方が私は好ましく思う。


だから精々死ぬまで自分らしく生きてやろうと思っている。もし、生きている事を責められたなら、そうだな。


メリルが私を生かした所為だとでも言っておこう!

そうしよう!

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