表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
114/194

マリオーネは推測する

「テリアーゼ!?」


「やっと騎士になれた。お前に追いついたよ? マリオーネ!」


テリアーゼは私の幼馴染で私が勤めているカスバールの宮廷で軍を率いていらしたデガルド様の実の娘だ。


デガルド様がベルシャナに反発してここから去ってから随分経つけれど、もしその事が知られでもしたらこの子は大変な目に合う。


私は正直とても焦った。

彼女は、私を追って来たのだと思っていたからだ。


「私はもう少ししたらここを辞めるつもりよ。だから、貴女もこんな所で働くのはやめなさい」


「そうなの? でも、私はやめないよ? やっと騎士にまでなれたのに、辞めるわけないでしょ?」


冗談じゃない。

ここの皇帝は狂っている。


私も今、命があるのが不思議なくらいなのに、そんな所に置いていけない。そう思っていた。


けれど、その後私は結局そこから逃げなければならなくなった。しかも、テリアーゼの手によって逃がされた。


あの時、もっと上手くやれていれば、全ての歯車が狂うこともなかったのかしら。


私もテリアーゼも、テゼールやデズロと出会う事なく過ごしていたのかもしれないわね。





「メリルそれはまだ、テゼールには黙ってて。まだデズロの耳に入れたくないの」


「・・・・お姉ちゃんに知られるから?」


それもあるけれど、彼方には彼方の事情がある。

今、デズロに知らせたら飛んで来るかも知れない。


・・・・エルハドの事もあるし、今は言わない方がいいでしょうね。下手すると国同士の関係がまた悪くなる可能性もあるもの。


「・・・・ごめんメリル。私も、少し混乱しているみたい。信じていない訳じゃない。ただ、まだ受け入れられないのかもね」


「お母さんでもそんな事あるんだね?」


「そうね? 私にとってあの子は家族であり親友でもあった。あんな死に方をされて、私はその時、全てを憎んだわ。自分でも抑えられない気持ちをどうにも出来なくて、でも、私達には、ティファがいた」


テリアーゼが残していった、あの子の忘れ形見が。

それに私は、デズロが泣き叫びながら連れて行かれるところを、この目で見ている。


デズロのあの姿を見て私は冷静になれた。

誰が一番辛かったかなんて分かっている。


愛する人を失い、その子供とも引き離される。

彼以上に不幸な者がいるだろうか?


私は知っていた。

デズロが誰よりも、家族を欲していた事を。


「今精霊がいる場所にデズロさん、もしかしたらテリアーゼの体の一部を埋めたんじゃないかな? 寄生虫の一部を所持してたって言ってたの。そんなの無理だと思ってたんだけど・・・もし、お母さんがやり方を教えてたら可能だよね?」


ええ。可能ね? ただ、あの子に習得出来るなんて思いもしなかったけれど?


「あの子は私のすぐ近くで私が触診の方法を探っている所を見ているし、習得出来た後、魔法を使う所を見ている。可能性がないとは、言えない」


「だぁ!! 一難去ってまた一難! 一体どうやっていなくなった始祖とやらを探し出せと? 世界が滅びるとか、大袈裟!」


そうねぇ? 困ったわねぇ?

この国に精霊が生まれれば、あとは立て直すだけで良かった筈なのに。メリル貴女トコトンついてないわねぇ?


「そもそも、ディムレムの始祖の罪とは何かしら? この地に根付く精霊をサウジスカルに運んだのはゼクトリアムの先祖だと聞いているわ」


「これは、あくまで想像なんだけど、その精霊をゼクトリアムに落としたのがディムレムだったんじゃない? だって、何もない所から物が落ちて来る? 動物か何かに寄生して、その体から解放された時、間違ってそこまで運んじゃったとか」


「・・・・難儀ねぇ。そんな些細な事が原因で国一つが滅びるなんて・・・神様もとんだ世界を作り出したものね?正直迷惑だわ」


「同意!」


そうね。

つまり、テリアーゼはいち早くこの世界の成立ちに気が付いた。方法は分からないけれど。


そして、恐らくそれを成し遂げるようベルシャナを説得しに行って、殺されたのかしら?


いいえ。違う。


それなら、ベルシャナから始祖を引き離す必要はない。

ベルシャナは、自分が精霊になる事を拒んだのかも知れない。もしかしたら、彼も知っていたのでは?


自分の役割を・・・・。え? ちょっと待って?


「まさか。ディムレムはずっとその身に寄生虫を宿し続けて来たという事? 」


「お母さん?」


もし、そうだとすれば次に始祖を埋め込まれるのは、アトレイアだった筈。それなのに、何故ベルシャナは、それをしなかったのかしら? いや、まさかそんな・・・。


「あれ程、非道な行いを平然とやってのけた人間が、自分の息子可愛さに、とか・・・まさか、ねぇ?」


サウジスカルに精霊が囚われたままでは、どんなに望んでも精霊になる事など叶わない。ディムレムは、その時を待ち続けなければならなかった。


訳もわからず、その時が訪れるのを永遠に。


もしそれが自分だったらどんな気持ちになるだろう?


「・・・何か、分かったの?」


「あくまで推測なのだけど。それなら、まぁ間違いなく。この世界を恨むでしょうねぇ? 実行するかは、別にして」


だからって、私達が受けた仕打ちを許したりなんて、しないわよ? 私なら絶対許さない。


でも、恐らくテリアーゼは、全てを知ってベルシャナを救いに行ったのね。


「馬鹿な子」


今テリアーゼが目の前にいたら引っ叩いてやるのに。

本当アンタって、自分勝手だわ。腹立たしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ