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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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カスバールの精霊

「お久しぶりです。アトレイア様」


「元気そうで安心したぞ。体はもういいのか? 無理をして寝込んだと聞いていたのだが?」


「魔力を使いすぎて爆睡しただけです。大袈裟な」


あとアンシィの記憶に触れちゃったから、それが原因でもあるんだけどね。


他人の記憶を視るのって結構大変なんだよ?

中々のダメージを受ける。精神面でね。


「あー美味しい。ここのお茶本当に美味しい」


「そうか。それは良かった」


最近ここに来れなかったからアトレイア様の様子がわからなかったけど、元気そうで良かった。


チェシャの件があって殆ど顔を合わせてないって言ってたからなぁ。

一度はチェシャが精霊になる事を受け入れたんだもんね。


でも、まぁ。まだその件は解決してないんだけどさ。


「私に娘がいたらこんな感じだったのだろうか。私はどうも、息子二人とは上手く接する事が出来ないからな」


「あはは! 二人共面倒くさい性格してますもんね? しかもあの兄弟全然似てないから扱いに困りますよね〜。アトレイア様可哀想」


ん? あ、失礼な発言でした? つい本音、出ちゃったよ。

でも私は間違った事を言っていない。


「そんな事言われたのは初めてだな。二人と上手くいかないのは私の接し方が悪いのだと思っていた」


「え〜? そんな事無いと思う。アトレイア様は甘いなぁ。もっと厳しく育ててやればよかったのに」


チェシャもリディもアトレイアさまに対して疎んじてる所があるよね。

元皇帝様なのにアトレイア様に対する敬意が感じられない。この人一番大変な立場だったと思うんだけどなぁ。


まぁそれも今だから思える事なんだろうけど。


「人を窘められほど正しい行いが出来ていた訳ではないからな。それに私はあの二人を誇りに思っている」


この人多分、優しすぎたんだろうなぁ。

皇様になるには、不向きだったんだね。


「そうだアトレイア様。少し私と外に出ません? いつもこんな宮廷の奥で引きこもってたら気分が滅入っちゃう! 実は今日、精霊に会いに行こうかと思ってたんだ〜」


「いや。それは流石にまずいのではないか? 」


「ちゃんとリディの許可取るから大丈夫! 実はまだ精霊と会えてなくて。伯父さんが言うには見つけられる人と見つけられない人がいるんだって! もしかしたらアトレイア様見える人かも知れないし!」


気分転換は必要だもんね! ここの人達辛気臭いんだもん!

少し外に出てリフレッシュしよう!


「よし! 今から許可取って来るので着替えておいて下さいね! 」


「おい?メリル・・・」


シャミが空を飛んで連れて行ってくれるから危険もないでしょ? リディもテットも呆れた顔してたけど構わない。


「ナシェス。お前もついて来るのか?」


「貴方が外にお出になるのに、護衛がテットだけでは手薄で危険だろう? 」


「そうか」


ここも仲がいいのか悪いのか分かんないよね?

あ、チェシャは意気込んで出てったのに無事に帰って来ちゃったから合わす顔がないんだっけ?


その割に堂々としてるよね? 流石チェシャ。鋼の精神力の持ち主。図々しい事この上なし!


「お前今、心の中で私に暴言を吐かなかったか?」


「え? 今? 常にだけど? そしてそれはチェシャに限らないけど?」


「気持ちいい程の認めっぷりだな? 私はお前のそういう所割と気に入っているぞ」


そりゃどうも。

私もチェシャのそういう、裏表ない所結構気に入ってる。


「お前達。仲が良かったのだな? 」


「「仲が良いとは言ってません」」


そんな事言ってる間に到着したよ。

シャミお疲れ様〜! 頼りになるよね!


「ありがとうシャミ。疲れてない?」


「大丈夫だよメリル。メリルこそ大丈夫? 手、貸そうか?」


う〜ん。シャミのジェントルマン度が日に日に増している。自然と手を出しちゃうくらいの違和感のなさ。


恐るべき10歳。私の婚約者殿。


「相変わらず壮観だな。ここだけ別世界のようだ」


そうだよね。本当に綺麗だよねぇ。

立ち並ぶ水晶の柱がとても美しい。


「ここが・・・カスバールの精霊の生まれた場所」


アトレイア様は初めて見るもんね。


この国はずっと精霊が生まれなかったから大変だった。

これから、この国を私達と一緒に支えてくれる、精霊の住まう場所。感慨深いよね。


「メリル。なんか、変じゃない? やけに、温かい」


「確かに。いつもはこの中そんなに温かくないッス」


本当だ。私達が進むに連れて段々暖かくなってる?

もしかして、精霊が現れるのかも。

あれ? アトレイア様急に立ち止まってどうしたの?

周りには何もないけど?


「・・・・・・・そ、んな。まさ、か」


「父様? どうした?」


「アトレイア様? 何か居るッスか? え? どこ?」


何? アトレイア様の目線の先には何も見えないよ? まさか、アトレイア様だけに見えてる?

何故、アトレイア様だけに? チェシャにも見えないのに?


「そんな筈はない・・君は、こんな・・・事、信じられない」


「アトレイア様? 何が見えてるの? もしかして、知っている人なの?」


ずっと不思議に思ってた。

本当ならチェシャが精霊になる筈だったのに、チェシャは精霊になる瞬間、人間に戻されたと言っていた。


では、誰が精霊になったのだろうと。


「君は、あの時死んだ筈!何故ここにいる!」


[約束を果たす為。アトレイア・・・ベルシャナを探して]


やっぱり見えてなくてもそこに居たんだ? 声だけは聞こえるみたい。さて、どうしようかな。とりあえず様子を見たほうがいいよね? 相手は精霊だしね?


あと、なんだか雲行きが怪しいんだけど?

もしかしてまた新しい問題勃発なの?勘弁して。


[正しくはディムレム、貴方達の始まりを。そして救って。哀れな罪人を。彼を、ここに連れて来て。この世界が滅びる、その前に]


やっぱ本当の精霊ではなかったのかな?いや、それを言うならチェシャもそうだと思う。


本来なら人が精霊になる事など、ないのだと思う。


「申し訳ないけど、分かりやすく説明して欲しい。私達は、何をすればいいの? 世界が滅びるの? ベルシャナは死んだ筈よ。あなた誰?」


「メリル! 精霊に語りかけちゃ駄目!」


構わない。今聞かないといけない気がする。

私の第六感が警報を鳴らしてる。


[ベルシャナは死んだ。彼の中には彼の始祖がいた。それが、カスバールから精霊を奪った元凶であり、ディムレムが生まれた理由でもある。アトレイア。貴方達は元々人間ではなかった]


あのさ、誰がそんな事信じられる?

リディ達の先祖が人間ではないなんて。

まぁどの人間も最初はミジンコだったろうけどさ?


[貴方達は罪を償う為にこの地に落とされた。そして、未だ死ぬ事が許されず人の中で彷徨う彼を見つけ宿し、精霊になる事。それが、貴方達の使命]


「・・・・・・・なっ!」


つまり、それを宿していないチェシャが精霊になっては駄目だったって事? ちょっと意味が分からないんだけど?


「チェシャの中にいた寄生虫は? 彼がそうなの?」


[違うわ。アレはディムレムの元だった者と同じ生き物。ディムレムの始祖は別にいる。未だ彷徨い苦しんでいる。私が精霊になり、役目を終えたと思い込んだ彼は混乱している。解放される筈の自分に変化がみられないのだから。彼が救われる為には彼自身が精霊として芽ぶかなければならない]


また、無茶苦茶言ってくるわね?

これは、一難去ってまた一難ってやつ?


[時間はかかったけど、私は精霊になった。チェシャ、貴方の力を借りて。私はベルシャナから彼を一度引き離し私の体に引き込んだ。その一部は()()にある]


「「「は?」」」


待って・・・。

この人・・・嘘でしょ?まさか、その為に?


「・・・アトレイア様。この人まさか・・・」


「・・・ああ。信じられない。だからあんな姿に?」


ベルシャナ・ディムレムは気が狂い、かつての自分の騎士を惨殺した後、自らの命も絶ったそうだ。


だけど、真実はそうじゃない。


「貴方は・・・全て知ってたの?」


その時殺された女性騎士は体をバラバラにされ無残な姿で発見された。


彼女の名はテリアーゼ。


私の、お姉ちゃんの本当のお母さんだった。

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