表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/100

第83話

川辺-


総司がたたずんでいる。

中條が走り寄ってくる。


中條「沖田先生!」


総司は、驚いて振りかえった。


総司「中條君どうしたの?…何かありましたか?」


中條は、首を振って言った。


中條「違いますよ。お一人で出られてはいけないと、副長がおっしゃっていたではありませんか。」


総司は苦笑した。


総司「…ああ…私のことは構わないのに。」

中條「そうは行きませんよ。先生、お一人の体じゃないんですから。」

総司「たいそうだなぁ。私一人いなくなったって、新選組は変わりませんよ。」

中條「僕が言っているのは、可憐様が悲しむということです…」


総司は驚いて中條を見た。


中條「新選組にだって大切ですが…先生の身に何かあったら、一番に悲しまれるのは可憐様です。」


総司は黙ってしゃがみこみ、川を見つめた。


中條「今日もお会いにならなかったんですか?」


総司は、川を見つめたままうなずいた。


中條「ほんの少しの時間でもお会いになったらいいのに。…約束をしていなくてもいいではありませんか。可憐様は、きっとお喜びになります。」

総司「あの人にはあの人の生活がある。私のために振り回すわけにはいかないでしょう。」

中條「…先生…」

総司「土方さんは、いつか休みを下さるとおっしゃったけれど、それもいつになるか。」

中條「……」

総司「会えないから、せめて…と、文をやりとりしているけれど…よけいに心苦しくなるんです。…あの人を縛り付けているようで…」


中條は、何も答えることができずに、総司の後姿を見つめた。

総司はふと立ち上がって、中條に振りかえって微笑んだ。


総司「…もうすぐ、巡察の時間ですね。戻りましょうか。」

中條「…はい…」


中條は、何か辛い思いで総司の後をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ