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第73話

町中の居酒屋--


中條と九郎が一緒に酒を飲んでいる。

先日、総司が石を当てられたことを話している。


九郎「…そりゃぁ…いい話だけどよ…」

中條「だけど?」

九郎「…そうやって金をやったりしちゃぁ、他の奴が石をわざと投げたりしねぇか?」


中條は苦笑した。


中條「まぁ、それもあるかもしれませんが、あそこの集落の人たちを見た限りでは、そんなことをしそうな子供はいませんでしたよ。皆、素直で…目が澄んでいて…」


中條、さえのことを思い出している。


九郎「あっ!今、女のことを思ったなっ!?」

中條「えっ!?(*--*)ちちがいますよ!」

九郎「ごまかすな!…目が語ってるんだよ(笑)」


中條、ごまかすように、湯のみの酒を飲む。


九郎「…おめえ…相変わらずひでえ飲み方をするなぁ。よく悪酔いしねえこった!」

中條「人のこと言えないでしょう?(笑)」


二人は笑いあって、しばらく黙って飲んでいる。

九郎、しばらく黙って飲んでいる。


中條「…九郎さんも、今誰かを思っていますね?」

九郎「えっ!?」


少し赤くなっていた九郎の顔がいっそう赤くなった。


九郎「い、いいじゃねぇか…」

中條「この京に、好いた人がいるんですか?」

九郎「…まぁな…(*--*)」

中條「たまに会ってるんですか?」

九郎「たまにどころか…毎日会ってるよ…」

中條「えっ!?」


中條は目を丸くした。


中條「毎日?…九郎さん、マメなんですね。」

九郎「いや…仕事にかこつけて会うんだよ。」

中條「九郎さん、仕事をなさってましたっけ?…礼庵先生の診療所に行く以外で…?」


九郎の顔が、真っ赤になった。


中條「あっ!?もしかして!」

九郎「ばかっ!大声出すなっ!」

中條「ええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」

九郎「声がでかいって、言ってんだろうがっ!!」


九郎が中條の口を塞いだ。


中條「はんはほうはっはんへふかー(なんだ、そうだったんですかー)!」

九郎「(手を離して)…本人には黙ってろよ…」

中條「どうしてです?」

九郎「ばれちまったら、顔を見ることもできなくなっちまう。」


九郎は自分で酌をすると、立て続けに飲み始めた。


中條「だめですよ!そんな飲み方しちゃ!」

九郎「いいじゃねぇか。どうせおまえのおごりなんだから…」

中條「だから、なんで僕のおごりなんです!?」

九郎「…だって…あの人からもらった金を飲み代なんかに使えねぇよ…」

中條「僕のなら、いいんですね(--;)」


中條は何か府に落ちなかったが、九郎の赤い顔を見て許す気になった。


中條「(思わず)…ふふふ…」

九郎「何笑ってやがる!…気持ち悪い・・(*--*)」


九郎は、赤い顔のまま飲み続けている。

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