表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/100

第64話

京の町中 昼七つ-


中條は九郎と約束した場所に、戻ってきた。

一旦、屯所へ戻って総司に饅頭を渡し、また戻ってきたのである。

中條は、九郎と会う事を総司に言った。

総司は「そんな時間に飲むのですか?」と一瞬眉を寄せたが、やがて「…頼みがあります」と中條に言った。

中條は、その総司の「頼み」を承諾した。


「ちゅうじょおおおおおっ」


という声がしたので、はっとそちらを見ると、九郎が走りよって来ていた。そして次の瞬間にはがしっと抱きつかれていた。


中條「!!」

九郎「本当に来てくれたんだなぁ!兄弟~っ!」

中條「きょ、兄弟?」

九郎「そうともよ。…さ、飲みに行こうぜ!時間もないことだしよ。」


中條は九郎に腕を掴まれて、すぐ傍にある居酒屋に引っ張り込まれた。



…時間の経過…



やがて2人はお互いの肩を支えながら、出て来た。

まだ暮六つの鐘もなっていないというのに、2人とも足元がおぼつかない。

九郎は上機嫌で、中條に言った。


九郎「いやぁ参ったっ!!おぬしにはぁ…参った!…一升をぺろりだもんなぁ!」

中條「私だけで飲んだんじゃないですよ。2人で一升です。」


中條もかなり酔っている風である。


九郎「あーーー…俺ぁ、嬉しいぞーっ!いい弟ができて!」

中條「勝手に決めないでください。」

九郎「なにーーーっ!?俺が兄だったら不満だとでもいうのかぁぁぁっ!?」

中條「大きな声を出さないでくださいよ!恥ずかしい…」

九郎「あはははは!すまんすまん!」


やがて2人は、人通りの少ない道まで来た。九郎の長屋が近くにあるという。中條は九郎を長屋まで送るつもりでいた。

その時、ふと2人の後に人の気配がした。一人ではない、それも何か殺気を感じる。


九郎「…おい…誰かいるか?」


九郎が振り向かないまま、中條に言った。


中條「ええ。ざっと5人ってとこでしょう。」

九郎「おめえかな?…俺かな…?」

中條「さあね。狙われるような事をしたんですか?」

九郎「もし俺だったら、道場破りの逆恨みよ。前に、道場主をたたきのめしたところだったからな。」

中條「…なかなか、やるんですね。」

九郎「…見せてやろうか?俺の腕を…。」

中條「独りで大丈夫ですか?」

九郎「さぁな。酒が入っちまってるし。おめえはどうだ?」

中條「仕方がないから、お手伝いしますよ。」


そう2人が話している間に、後から浪人風の男たちが走りよって来ていた。

2人はさっと離れると、一気に刀を抜いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ