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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第6部 夏目ホノカ編

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第3章 菜の花色の夕暮れ(夏目ホノカ編)中編

綺羅星メルマ

「星々のみんな~!みんなのアース。綺羅星メルマでーす!!」


ああ…………メルマ…………やっぱり至福の時間だな。


綺羅星メルマ

「ではでは~!早速、この曲から!「くるくるメリーゴーランド!」です!」


夏目ホノカ

「この曲は聞いたことがあります。良い曲ですよね。」


夏目さんはメルマの曲を聞く。


夏目ホノカ

「この方…………歌は上手いですけど…………どこか辛そうな印象があります。」


真瀬莉緒

「辛そう…………?そんなイメージですか?……………………。」


夢中になって聞いているからか、冷静になって聞くと、どこか寂しそうな歌声なのは確かだ。


真瀬莉緒

「メルマ…………。」


歌が終わり、今度はゲームコーナーが始まる。


真瀬莉緒

「切り替えよう…………。」


そう思ったとき…………。


ギギ……ガガ…………。


真瀬莉緒

「えっ…………。」


ギギ……ガガ…………。


また耳鳴り……?くっ……苦しい……!


ギギ……ガガ…………。


真瀬莉緒

「ぐっ……ああああ…………!」


夏目ホノカ

「大丈夫ですか!?」


その一言で目が覚める。


真瀬莉緒

「はぁ…………はぁ…………。」


夏目ホノカ

「…………息を吸って…………吐いて…………。そうです…………その調子。」


夏目さんは僕の胸に手をやり、深呼吸をさせる。


夏目ホノカ

「落ち着きましたか?…………今日はもうおやすみになられますか?」


真瀬莉緒

「…………いえ。最後まで配信を見ましょう。これがファンとしての礼儀です。」


夏目ホノカ

「…………はい。そうですね。最後まで見ましょう。」


僕たちはメルマの配信を引き続き見ることにした。


綺羅星メルマ

「それじゃあ…………次はこのコーナー!!」


メルマの配信はまだまだ続く。



どれくらい経ったのだろうか。1時間は経過しており、楽しい時間が長く感じる。


真瀬莉緒

「ふぅ…………メルマのスタミナもすごいな。…………夏目さん?」


夏目ホノカ

「…………すぅ…………。」


真瀬莉緒

「眠っちゃったか…………。」


僕は、夏目さんが脱いでいた上着を、布団代わりにかける。


そのときに写真が1枚、床に落ちる。


真瀬莉緒

「これは…………?」


拾い上げようとすると、初杉さんが帰って来る。


初杉ジロウ

「はぁ…………疲れた。…………ああ。…………ただいま。夏目さんも来ているんだね。」


真瀬莉緒

「はい。あの…………。」


初杉ジロウ

「あっ…………。」


初杉さんは拾い上げた写真を奪い取った。


真瀬莉緒

「えっ…………?初杉さん?」


初杉ジロウ

「…………ごめん。見た?」


真瀬莉緒

「…………はい。見ました。」


初杉ジロウ

「そっか…………。」


そう言うと、夏目さんが起きた。


夏目ホノカ

「うーん…………あら…………寝ちゃいましたね。」


初杉ジロウ

「夏目さん。おはよう。」


夏目ホノカ

「ああ。ジロウくん。おはようございます。…………あら?その写真は…………?」


真瀬莉緒

「あっ…………すみません。上着から落ちたみたいです。」


夏目ホノカ

「あっ…………。……………………。」


夏目さんは黙り込んでしまう。


真瀬莉緒

「すみません…………余計なことをしました。」


夏目ホノカ

「良いんです。…………ただ…………。真瀬さんにはこのことを言うべきかと…………前から思っていました。」


初杉ジロウ

「良いのかい?…………僕は反対だけど。」


夏目ホノカ

「では…………真瀬さんとジロウくん。勝負してみてはいかがでしょうか?今回の勝負でジロウくんが勝ったら、このことを話すのはやめます。ただ、真瀬さんが勝ったら話します。」


初杉ジロウ

「……………………わかったよ。莉緒…………勝負だ。」


真瀬莉緒

「わかりました。…………陣上に。」


僕と初杉さんは勝負をすることにした。



勝負の結果は僕の勝ちだった。


真瀬莉緒

「では…………お話を聞いてもよろしいですね。」


夏目ホノカ

「はい…………ジロウくんも良いですね。」


初杉ジロウ

「わかったよ。…………僕はここを離れるよ。終わったら呼んで欲しい。」


夏目ホノカ

「はい。必ず。」


初杉さんは頷くと、部屋から出て行った。


夏目ホノカ

「真瀬さん…………私は、あなたに黙っていたことがあります。」


夏目さんは初杉さんが出て行った瞬間、そう言った。


真瀬莉緒

「それは…………一体…………?」


夏目ホノカ

「……………………。」


夏目さんは黙り込んでしまう。


真瀬莉緒

「夏目さん…………。」


僕は声をかける。


真瀬莉緒

「夏目さん。僕は…………どんなことでも受け止めます。おつらいかもしれませんが…………どうかその口で話してほしいです。」


夏目ホノカ

「真瀬さん…………。すみません。どうかしてました。」


夏目さんはそう言うと、意を決して話す。


夏目ホノカ

「私は…………本当は生徒会長になるはずでした。」


真瀬莉緒

「生徒会長に?…………それはすごいことじゃないですか!」


夏目ホノカ

「はい…………でも。今は生徒会にも属しておりません。」


真瀬莉緒

「どうしてですか…………?」


夏目ホノカ

「私は…………臆病者なのです。」


真瀬莉緒

「臆病者…………?それは一体、どういうことですか?」


疑問に答えてほしいと思ったとき、あのときのサイレンがまた鳴る。


真瀬莉緒

「このサイレンは…………!!」


夏目ホノカ

「はぁ…………はぁ…………。」


夏目さんは震えだした。


真瀬莉緒

「夏目さん…………!?」


夏目ホノカ

「真瀬さん…………。急いで、屋上に…………!私のことは放っておいて…………。」


真瀬莉緒

「…………くっ。」


夏目ホノカ

「真瀬さん!?」


僕は夏目さんをお姫様抱っこのように持ち上げて、屋上に向かう。

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