第2章 空色わたあめ口にして(夏目ホノカ編)後編
六郭星学園寮 莉緒・ジロウの部屋
真瀬莉緒
「それにしても…………あの獣は一体…………?」
初杉さんも帰って来た。初杉さんは不思議そうな顔を浮かべる。
初杉ジロウ
「あれは…………一体、何だったんだろう?」
真瀬莉緒
「初杉さんも知らないんですね…………。」
初杉ジロウ
「うん…………。」
真瀬莉緒
「そうですか…………。」
初杉ジロウ
「夏目さんなら何かを知っているんじゃないかな?…………夏目さんは…………。」
真瀬莉緒
「何かあるんですか…………?」
初杉ジロウ
「あっ…………ごめん。聞かなかったことにして。」
真瀬莉緒
「えっ…………!?」
初杉ジロウ
「ごめん。」
真瀬莉緒
「…………仕方ないですね。」
ここは我慢して、初杉さんの言うとおりに従うことにした。
初杉ジロウ
「…………ありがとう。」
真瀬莉緒
「はい。…………では、先に寝ます。おやすみなさい。」
初杉ジロウ
「おやすみ。」
僕はベッドに潜り込む。
真瀬莉緒
「…………この学園。何があるんだ…………?」
そのまま眠りにつく。
六郭星学園 Gクラス教室
朝早く、教室に向かうと夏目さんがいた。
真瀬莉緒
「ああ…………夏目さん…………。」
声をかけようとすると、夏目さんは何かに集中していた。
夏目ホノカ
「……………………。」
真瀬莉緒
「……………………夏目さん?」
夏目ホノカ
「…………え?…………ああ。真瀬さん。おはようございます。」
真瀬莉緒
「おはようございます。…………何かしていましたか?」
夏目ホノカ
「いえ…………何も。」
夏目さんは写真を胸ポケットに入れた。
夏目ホノカ
「今日はどういたしますか?…………練習しますか?」
真瀬莉緒
「そうですね…………。」
名雲メイ
「おはよう!」
名雲さんが教室に入って来た。普段は遅めにやって来るのに…………?
真瀬莉緒
「今日、早いですね。何かありましたか?」
名雲メイ
「うん。今日はリカコも連れてどこかに行こうかなって。」
真瀬莉緒
「おお。どこに行きますか?」
名雲メイ
「そうね…………どこがいい?」
夏目ホノカ
「私はどこでも大丈夫です。みなさんが行きたいところについていきます。」
名雲メイ
「そうね…………リカコの話も聞かないと。」
すると、ちょうど春井さんもやって来る。
春井リカコ
「あら?…………こんな集まって何やっているの?」
名雲メイ
「リカコ。今日はみんなで出かけるわよ。行くわよね?」
春井リカコ
「…………仕方ないわね。どこでもいいわよ。」
名雲メイ
「じゃあ、莉緒くん次第だね。どこがいい?」
真瀬莉緒
「そうですね…………。あっ。今日は確か、夏祭りが神社でやってましたね。行きますか?」
名雲メイ
「良いわね!じゃあ、浴衣を着て行きましょう!せっかくだから志奈たちも連れて行くわよ!」
真瀬莉緒
「わかりました。では、放課後。楽しみにしています。」
僕たちは放課後まで授業を受け、神社へ向かった。
夏祭り会場
夏祭りの会場になっている、神社に着いた。人混みがすごい。
真瀬莉緒
「すごい…………人がいっぱいだ。」
浦川アイク
「この地域では比較的大きい神社だからな。…………人が多いのも無理はない。」
薮本マサキ
「せっかく来たんだ。今日はゲームを忘れて、射的や輪投げをするよ。」
名雲メイ
「ゲームじゃない。それ。」
名雲さんは微笑みながらツッコミを入れる。
真瀬志奈
「でも、みんな素敵な浴衣ね。私なんか灰色よ。」
夏目ホノカ
「でも、似合っていますよ。どんな色も似合う人は羨ましいです。」
夏目さんは藍色の浴衣。春井さんは紫色。名雲さんは青色だった。
浦川アイク
「寒色系でも華やかだな。」
春井リカコ
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。」
浦川アイク
「これくらいは言うさ。」
初杉ジロウ
「……………………。」
初杉さんは黙り込んで何かを考えている。
真瀬莉緒
「初杉さん…………?」
初杉ジロウ
「あっ、うん…………なんでもない。」
真瀬莉緒
「……………………。」
真瀬志奈
「さて、行きましょうか!金魚すくいでもしましょう!」
名雲メイ
「良いわね!行きましょう!」
姉さんと名雲さんは金魚すくいの屋台に向かう。
浦川アイク
「カステラでも食うか。」
薮本マサキ
「良いね。行こうか。」
浦川さんと薮本さんはカステラの屋台に。
春井リカコ
「仕方ないわね。あなた、ついてきて。」
初杉ジロウ
「え…………?…………はい。」
春井さんと初杉さんはどこかへ向かう。
真瀬莉緒
「2人になりましたね…………。」
夏目ホノカ
「…………わたあめでも食べますか?」
真瀬莉緒
「良いですね。久しぶりに食べますか。」
僕たちはわたあめの屋台に行き、わたあめを買う。そして、神社のベンチに腰を掛ける。
真瀬莉緒
「おお…………大きい。」
僕は桃色のわたあめを買って食べる。夏目さんのわたあめは…………。
夏目ホノカ
「素敵な、青色のわたあめですね。いただきます。」
水色に近い青色のわたあめを口にする。
夏目ホノカ
「甘い…………。」
夏目さんは今までになく、嬉しそうに食べる。とても美味しいみたいだ。
僕が夏目さんの顔を見ると、夏目さんは微笑みを返してくれる。僕の方が恥ずかしくなってきた。
気を紛らわすかのように、僕は楽曲の音源を聞く。
夏目ホノカ
「あっ、そうでした。真瀬さん。曲のアレンジを端末につけてほしいです。」
真瀬莉緒
「アレンジですか?もちろん良いですよ。」
夏目ホノカ
「では、お願いいたします。」
夏目さんは紙切れを渡す。紙切れにはアレンジが書いてあった。
真瀬莉緒
「なるほど…………。」
僕はそれを端末にインプットして流す…………。
アレンジを聴いた僕は嬉しくなった。前よりも良くなっている。
真瀬莉緒
「夏目さん。ありがとうございます。」
夏目ホノカ
「こちらこそです。私の案を受け入れてくれて、とても嬉しいです。」
真瀬莉緒
「はは…………。」
すると、そこに春井さんたちが合流する。
春井リカコ
「ここにいたのね。全く…………手間をかけさせないでよね。」
名雲メイ
「そろそろ花火が始まるわ。花火を見て帰りましょう。」
真瀬莉緒
「そうですね。では…………。」
僕がそう言うと、花火が上がる。僕たちは花火を見上げる。
真瀬志奈
「綺麗…………。」
浦川アイク
「ああ。」
花火に見惚れる時間はあっという間だった。僕たちは学園に戻ることにした。




