第2章 白く咲く花(名雲メイ編)後編
翌日。学園の方に行くと、カメラクルーがたくさん来ていた。メイクさんやディレクターさんもいろんな人がやってきたため、学園は大騒ぎだ。
遊馬雄三先生が、テレビクルーに挨拶をする。こういうのに挨拶するのは意外だ。
遊馬雄三
「本日は我が学園の生徒のためにありがとうございます。…………ですが、あまり撮影に映りたくない生徒もいるので可能な限り配慮をお願いいたします。」
遊馬先生はやんわりと、断りを入れる。こういうところはさすがだな。
霧宮ナツハ
「では…………よろしくお願いいたします…………。」
霧宮さんはどこか気が重たそうだが、体調が悪いのかな?
名雲メイ
「楽しみね…………。どんな撮影になるのか…………。」
学園の生徒はほぼ野次馬状態だ。
神谷乙音先生が学生にいつもどおりの生活を送ってほしいと言う。
神谷乙音
「みんな!いつものように生活して!大丈夫だから!!」
そう言うと、野次馬の学生が現場を離れて行った。
隣にいた、内野タスク(うちの たすく)さんも現場を離れようとすると…………。
霧宮ナツハ
「あっ、そこのきみ。莉緒も。メイも。」
内野タスク
「あっ…………僕ですか?何かありましたか?」
霧宮ナツハ
「スタッフの人に初めての人とのコミュニケーションはどうしているのかって言われてね。食堂でお話しできればと思うんだけど…………。」
名雲メイ
「私たちがですか…………!ぜひ!」
真瀬莉緒
「本当に僕たちで良いんですか?」
霧宮ナツハ
「ええ。行きましょう。少し撮影してから行くから待っていてね。」
真瀬莉緒
「はい!…………待ってますね。」
僕と名雲さんと内野さんは食堂で待つことにした。
六郭星学園 食堂
真瀬莉緒
「しかし…………モデルさんとご飯を食べれるとは。」
内野タスク
「僕も驚いています。…………名雲さんって言いましたね。緊張しませんか?」
名雲メイ
「緊張ですよ…………。ドキドキです。」
すると、そこにスタッフらしき人がやって来る。
??
「ああ…………きみたちかね。ナツハの撮影を手伝ってくれるのは。」
真瀬莉緒
「はい…………そうですけど…………。」
話を聞くとどうやら霧宮さんのチーフマネージャーらしい。高圧的な態度がすごい。
チーフマネージャー
「困るんだよね…………。ナツハに男の影がいると…………。そこの女の子は…………ん?」
チーフマネージャーは名雲さんを凝視する。
名雲メイ
「あの…………何か?」
チーフマネージャー
「きみは…………ナツハと話をしてみようか。ほかの2人は帰った帰った。」
内野タスク
「仕方ありませんね…………。真瀬さん。行きましょう。」
真瀬莉緒
「……………………はい。」
僕たちは追い返され、離れたところから名雲さんと霧宮さんの2人で食事をするところを見ることにした。
途中でシオンと夏目さん。春井さんも来て、5人で同じテーブルで2人を見ることにした。
春井リカコ
「…………話を聞く限り、そのチーフマネージャー、威圧的ね。」
真瀬莉緒
「はい…………。少しムッとします。」
夏目ホノカ
「仕方ありません。こちらで様子を見ましょう。」
櫻井シオン
「莉緒のパートナー大丈夫かな…………?」
そうこうしているうちに霧宮さんがやって来た。
霧宮さんは僕たちがいないことを不思議そうに思ったが、話を聞いて名雲さんと会話を始める。
遠くから見ているのでどんな会話をしているのかわからないが、霧宮さんと名雲さんは楽しそうだ。
内野タスク
「楽しそうですね。…………良かったです。」
春井リカコ
「…………大丈夫そうね。」
しばらくして、僕たちの隣のテーブルに初杉さんと薮本さんもやって来て、僕たちと一緒に名雲さんたちの様子を見ていた。
初杉ジロウ
「なんだか、メイも楽しそうだね。嬉しいのかな?」
薮本マサキ
「……………………。」
真瀬莉緒
「薮本さん…………?」
薮本マサキ
「…………ああ。気にしないで。ほら、撮影が終わったみたいだ。」
霧宮さんは名雲さんにお礼を言い、食堂を離れる。
1人になった名雲さんにチーフマネージャーが名刺を渡す。
名雲さんは驚いた様子で名刺を受け取る。
チーフマネージャーは霧宮さんのあとを追いかける。
名雲メイ
「莉緒くん!」
真瀬莉緒
「名雲さん!今のって…………!」
名雲メイ
「ええ。名刺!もしかしたら…………。」
真瀬莉緒
「はい。きっと…………そうですよね。モデルのお誘いがあるかもしれませんね。」
名雲メイ
「うん!…………霧宮さんに一歩でも近づけたかな…………?」
真瀬莉緒
「近づいたと思います。良い結果になりますよ!」
名雲メイ
「ありがとう!…………みんなもね!」
薮本マサキ
「……………………。」
薮本さんは何かを考えている様子だけど…………あまり嬉しくないのかな?
名雲メイ
「じゃあ、中庭に行きましょう。夕涼みもしたいし。」
真瀬莉緒
「良いですね。行きましょう…………。」
夏目ホノカ
「では、お気をつけて。私たちはまだ食堂にいますので…………。」
真瀬莉緒
「はい。…………では。」
六郭星学園 中庭
名雲メイ
「ふぅ…………この時間帯は涼しいわね。」
真瀬莉緒
「はい。…………あっ。ユウガオが咲いていますね。」
名雲メイ
「そうだね。…………白くて素敵な花ね。」
ユウガオをじっと見つめる。しばらくすると、名雲さんが楽曲の話をする。
名雲メイ
「莉緒くん。楽曲のことで話があるんだけど…………。」
真瀬莉緒
「あっ、何かアレンジでも思いつきましたか?」
名雲メイ
「はい。聞いてくれる?録音したんで…………。」
真瀬莉緒
「ぜひ聞かせてください。お願いします。」
名雲メイ
「じゃあ…………。」
僕は名雲さんのアレンジを聴く。とても良い演奏だ。
真瀬莉緒
「良いですね…………。このアレンジは素敵です。」
名雲メイ
「ありがとう。色々と本当に…………。」
真瀬莉緒
「パートナーですから。これくらい当然です!」
名雲メイ
「うん!そう言ってくれると嬉しい。じゃあ、寮に戻りましょう。」
真瀬莉緒
「そうですね。」
僕たちは寮に戻る。僕は寮に戻ったら、さっきのアレンジを演奏することにした。
六郭星学園寮 莉緒・マサキの部屋
真瀬莉緒
「よし…………。」
さっきのアレンジを演奏する。
真瀬莉緒
「よし…………!なかなか…………!」
名雲さんのアレンジを上手く演奏できた。僕は安堵して、メルマの動画を見ることにした。




