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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第6部 浦川アイク編

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第3章 柑子色の落ち葉を踏みながら(浦川アイク編)中編

春井リカコ

「目覚めたみたいね。」


真瀬志奈

「春井さん…………。すみません。」


春井リカコ

「…………このあとは彼女に任せるわ。じゃあ、わたしはもう行くから。」


真瀬志奈

「あっ、はい…………。」


春井さんはどこかへ行ってしまう。代わりに、笹野さんがやって来た。


笹野ユリ

「大丈夫ですか?彼女に呼ばれて、ここに来たんですが…………。」


真瀬志奈

「すみません…………こんなことになってしまって…………。」


笹野ユリ

「構いません…………ただ…………。」


真瀬志奈

「何ですか…………?」


笹野ユリ

「どこかで…………お会いしませんでしたか?食堂以外にも色々とお話をした記憶があります。」


真瀬志奈

「そうですか…………?でも…………そんなことは…………。」


ギギ……ガガ……


真瀬志奈

「えっ……!?」


ギギ……ガガ……


苦しい…………!


笹野ユリ

「だ、大丈夫ですか!?」


真瀬志奈

「うっ…………うう…………。」


笹野ユリ

「とりあえず。横になりましょう。今日はここで安静にしてください。」


真瀬志奈

「わ…………わかりました。」


今日の私は保健室で一夜を過ごすことになった。



その日の夜、目を覚ますと夜の3時だった。


真瀬志奈

「うーん…………。まだこんな時間か…………。」


ベッドの上で、ボーっとする。もう一度、眠りに着こうとするとなかなか寝付けない。


真瀬志奈

「…………外に出ても良いよね。」


怒られるのを覚悟して、夜の散歩に出かける。



六郭星学園 中庭



秋風がとても心地よく、私はオレンジの葉っぱを踏み歩きながら散歩をする。


真瀬志奈

「怒られたら、それで良いよね…………。」


すると、懐中電灯の灯りが私を照らす。


真瀬志奈

「きゃっ…………!」


浦川アイク

「真瀬…………?」


懐中電灯を照らしたのは浦川さんだった。私は少し安堵する。


真瀬志奈

「こんなところで何を…………?」


浦川アイク

「それはこっちのセリフだ。とりあえず、ベンチで話そう。」


私たちは中庭のベンチで話し合うことにした。


真瀬志奈

「浦川さん…………すみません。ご心配をおかけして。」


浦川アイク

「ああ。心配したぞ。でも、元気そうで良かったよ。」


真瀬志奈

「でも、大丈夫ですか?こんな時間にこんなところにいたら怒られますよ。」


浦川アイク

「そうだな…………部屋に戻りたいところだが…………。」


浦川さんは私を見つめる。何かあったのだろうか?


真瀬志奈

「浦川さん…………?」


浦川アイク

「こんなところに1人にさせるわけにはいかない。真瀬の気が済むまで、ここにいさせてくれないか?」


真瀬志奈

「浦川さん…………わかりました。」


浦川アイク

「ありがとう…………。」


真瀬志奈

「でも…………どうして私なんかに?」


浦川アイク

「…………わからない。けど…………パートナーだからっていう訳でもないな。」


そう言って、浦川さんは口ごもる。


真瀬志奈

「……………………。」


浦川アイク

「ふぅ…………。」


浦川さんは落ち葉を踏みながら、鼻歌を歌いだした。


鼻歌は私たちが書いている曲だ。思えば、よくここまで完成できたものだ。


私も浦川さんの鼻歌に連れて、鼻歌を歌う。


2人の鼻歌が交じり、私たちの曲に新しい案が浮かび上がる。それは浦川さんも同じだったみたいだ。


真瀬志奈

「浦川さん。」


浦川アイク

「ああ。明日は休みだ。朝から音楽室で、アレンジを加えよう。」


真瀬志奈

「はい。きっと、良い曲になります。」


浦川アイク

「そうだな。…………そろそろ、先生に見つかるとまずい。真瀬は保健室に戻るんだ。」


真瀬志奈

「はい。…………おやすみなさい。」


浦川アイク

「おやすみ…………真瀬。」


私は先生に気づかれないように、保健室に戻った。


そして、翌日の朝…………。



六郭星学園 音楽室



真瀬志奈

「さて…………。では、早速アレンジを聞かせてください。」


浦川アイク

「ああ。じゃあ…………。」


そのときだった。あの忌まわしき、サイレンが鳴る。


真瀬志奈

「これは…………!」


浦川アイク

「くそっ…………こんなときに…………!とにかく屋上に避難だ!」


真瀬志奈

「は…………はいっ!!」


私たちは屋上へ避難するために向かう。



六郭星学園 屋上



真瀬志奈

「ふぅ…………着いた…………。」


屋上に着くと、薮本さんたちが心配そうにやって来る。


薮本マサキ

「2人とも…………生徒会の書記が呼んでる。少し、身を引き締めて話を聞いた方が良いかもしれないよ。」


浦川アイク

「あいつか…………。」


すると、中神さんがものすごい剣幕でやって来る。


中神シンジ

「おい!お前の仕業だろ!この騒動も、この事件の犯人も…………!」


中神さんは浦川さんに殴りかかるように詰問する。それを見た私は怖さが勝った。


浦川アイク

「何を言っている…………。くだらない。」


中神シンジ

「き、貴様…………!!」


中神さんは今度は本当に殴りかかろうとした。


真瀬志奈

「きゃっ…………!!」


私は思わず声を出した。しかし、殴る音は聞こえなかった。


真瀬志奈

「えっ…………?」


止めていたのは、初杉さんだった。中神さんの腕を掴んでいた。


真瀬志奈

「初杉さん!」


中神シンジ

「なっ…………お前は…………!」


初杉ジロウ

「やめろよ。アイクは何も知らないんだ。これ以上、アイクを責め立てるなら会長に報告するぞ。」


中神シンジ

「くっ…………。」


中神さんはその場を離れて行った。


真瀬志奈

「浦川さん!初杉さん!」


薮本マサキ

「2人とも大丈夫かい?…………ごめん。何もできなくて。」


浦川アイク

「良いんだ。…………それよりも、真瀬にはそろそろ話した方が良いな。」


真瀬志奈

「えっ…………?」


浦川アイク

「避難が解除されたら、音楽室で話がある。獣の件で色々と。」


真瀬志奈

「話してくれるんですね。わかりました。音楽室で待っています。」


浦川アイク

「ああ。」


そして…………避難は解除され、私たちは音楽室に向かう。

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