第4章 ラベンダー色の花束(夢野マナカ編)後編
真瀬莉緒
「それって…………!」
声優さんは言った。「実力は本物」と、認めてくれた。そして…………この曲を歌ってもらうことになった。
夢野マナカ
「ありがとうございます…………!」
夢野さんが頭を下げると、声優さんは夢野さんの頭をなでる。
夢野マナカ
「ありがとうございます…………嬉しい…………です。本当に…………ありがとうございます。」
夢野さんの目からは光るものがあった。
そして…………夢野さんは声優さんに歌詞を渡して、声優さんは学園をあとにした。
夢野マナカ
「真瀬さん!ありがとうございます…………!!」
真瀬莉緒
「いえ、これは夢野さんがいなかったら作れなかった曲ですよ。感謝するのはこちらです。」
夢野マナカ
「そう言っていただけると…………嬉しいです。」
真瀬莉緒
「夢野さんが書いた歌詞…………楽しみにしています。」
夢野マナカ
「ふふ…………期待していてください。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
緊張した、課題の発表は閉幕し、数週間後…………重大な行事を迎える。
六郭星学園 大講堂
SクラスからKクラスまで全クラスの生徒がずらりと並ぶ。
間宮舞来
「ただいまより、六郭星学園卒業式を行います。」
卒業式が始まる。1年間ではあるが、このクラスに出会えてよかったと実感する。
1人1人名前が呼ばれていく。
間宮舞来
「真瀬莉緒。」
真瀬莉緒
「はい。」
始めに男子が呼ばれる……そして、みんなの名前もそれぞれ呼ばれる。
間宮舞来
「木沢アカリ。」
木沢アカリ
「はい!」
間宮舞来
「冬原マイカ。」
冬原マイカ
「はい。」
間宮舞来
「夢野マナカ。」
夢野マナカ
「はい…………。」
そうか……卒業するんだ……。そう思うと悲しみに溢れていく……
間宮舞来
「以上で卒業式を終了いたします。」
そして、あっという間に卒業式が終わる。
本当にあっという間だった。卒業式も学校生活も。
ただ……唯一の救いは……。
冬原マイカ
「みんな同じ大学に進学するのねぇ。」
夢野マナカ
「はい…………しかも期末テストの上位50人が同じ大学なんて…………。」
木沢アカリ
「本当に不思議だよねー!!」
みなさん同じ大学に進学することになった。これからもみなさんと関係を築くことができるということだ。これからもよろしくお願いします。
夢野マナカ
「いよいよですね。…………今日の夜に曲が披露されるんですよね。」
真瀬莉緒
「はい。いよいよです…………。」
僕はドキドキしている。夢野さんの書いた歌詞がどんな歌詞なのか…………。
冬原マイカ
「イベントで歌われるんでしょ?私たちも良いのかい?」
夢野マナカ
「はい…………。ぜひ聞いてください。」
僕たちはまず、部屋に戻り、準備をする。そして、イベント会場に向かう。
イベント会場
イベント会場にはいろんな人がたくさん来ていた。
僕たちと姉さんたちの8人で会場の関係者席に座る。
不知火カイル
「声優さんのイベントなんて久しぶりだよ。ワクワクするね。」
内野タスク
「今回の声優さんの担当の色はラベンダー色ですよね。」
夢野マナカ
「はい…………。私の好きな色です…………。偶然ではありますが。」
木沢アカリ
「そうなんだねー!あっ。始まるみたいだよ!」
冬原マイカ
「楽しみだねぇ。ドキドキだよ。」
根村ユウタ
「……………………。」
声優さんたちが登壇する。
会場はボルテージが上がる。大盛り上がりだ。
まずはトークショーから始まり、ゲームコーナーに進む。
内容が入ってこない。それだけ、夢野さんの歌詞が気になっているんだろう。
そして、そのときが訪れる…………。
司会
「次は歌のコーナーです。それでは…………お願いいたします!」
女性声優
「聞いてください!彼女の想いを込めた…………歌。その想いをきみに!!」
そして、声優さんは歌いだす…………。
歌が終わる…………僕の目に涙がこぼれた…………。
夢野さんのいる方向を見る。夢野さんはいなかった。
すると隣にいた根村さんが声をかける。
根村ユウタ
「マナカなら…………外にいる…………行って…………あげてほしい…………。」
真瀬莉緒
「はい…………。はい…………!」
会場のボルテージが上がる中、僕は夢野さんのところへ向かう。
会場の外に行くと、夢野さんはラベンダー色の花束を持っていた。
真瀬莉緒
「夢野さん…………。」
夢野マナカ
「真瀬さん…………。いえ…………莉緒くん…………。」
真瀬莉緒
「夢野さん…………!」
夢野マナカ
「私は…………莉緒くんのことが好きです。夢野マナカとして…………私のことを見てくれませんか…………?」
真瀬莉緒
「……………………。」
僕の答え…………そんな答え決まっている。
真瀬莉緒
「もちろんです…………僕で良ければ…………よろしくお願いいたします。」
夢野マナカ
「莉緒くん…………!」
真瀬莉緒
「よろしく…………マナカ。」
夢野マナカ
「ありがとう…………莉緒くん。」
僕はラベンダー色の花束を受け取り、マナカを抱きしめた。
これからは配信者とファンではなく、恋人として…………幸せになるんだ。
虹谷アヤ
「まだ見つからないの…………?まだいるけどそろそろまずいわね…………。急いで他を当たりましょう。」
夢野マナカ編 完




