第４章 桃色のクッキーを（内野タスク編）後編

六郭星学園 大講堂

いよいよ、課題発表当日になった。課題はＫクラスから１ペアずつ発表していき、そこからＪクラス、Ｉクラスといき、Ｓクラスと回っていく。１ペアずつなので３日間に分けて発表をしていく。

そして今日はＤクラスが発表していく。

Ｄクラスのトップを飾ったのは根村さんのペアだ。

根村さんのペアは戦国武将の甲冑を再現した模型を作った。

夢野マナカ

「なかなかやるじゃない。…………変わったわね。」

少しだけ夢野さんから驚いた様子が見れた。

中盤に入ると次は不知火さんのペアが発表の時間になった。

不知火さんのペアはマジックショーを披露した。

冬原マイカ

「……………………やるじゃないか。」

冬原さんも素直に褒めている。

そして終盤に入る……そしてＤクラスのトリを飾ったのは私たちだ。

ステージ裏で私たちは準備をする。

真瀬志奈

「いよいよですね…………。」

内野タスク

「そうですね。緊張してますか？」

真瀬志奈

「はい…………でも大丈夫です。きっと、良い曲を演奏できますよ。」

内野タスク

「その調子です。…………この曲には僕の大切な想いがあります。２人の曲ではありますが、僕にとっては初めて作った曲でもあります。この曲に歌詞を書かせていただきありがとうございます。」

真瀬志奈

「内野さん…………まだ、私は教えてもらえないんですね。歌詞はもうお任せします。きっと素晴らしい歌詞になると思います。内野さんですから…………。私は信じます。」

内野タスク

「ありがとうございます。では…………行きましょう。」

真瀬志奈

「はい。」

私たちはステージに上がる。

そして…………私たちは演奏を始める。

演奏を終える、他の人の反応は…………？

男子生徒Ａ

「とても良い曲だ…………！」

女子生徒Ｂ

「良かった……！心に響きました！」

私たちは拍手喝采に包まれる。そうか……やったんだ……！

成瀬実

「良かったです…………。」

間宮舞来

「素晴らしい演奏…………でした。さすが、真瀬さんたちですね…………。」

成瀬実

「はい…………本当に。」

ステージ上から私たちはみんなにお礼をして、ステージから降りて行った。

真瀬志奈

「やった…………！やりましたね！」

内野タスク

「はい！音楽はこれで認められました。あとは…………歌詞です。」

真瀬志奈

「信じていますからね。どんな歌詞なのか…………。楽しみでもあります。」

内野タスク

「そう思っていただけると幸いです。ありがとうございます。そして、これからも…………。」

真瀬志奈

「…………はい！」

こうして、無事に課題発表は終わった。声優さんにも歌ってもらうことも決まっており、あとは楽しく学制生活を過ごすだけ…………。そして、その学生生活も終わりに近づいた。

六郭星学園 大講堂

ＳクラスからＫクラスまで全クラスの生徒がずらりと並ぶ。

成瀬実

「ただいまより、六郭星学園卒業式を行います。」

卒業式が始まる。１年間ではあるが、このクラスに出会えてよかったと実感する。

１人１人名前が呼ばれていく。

成瀬実

「内野タスク。」

内野タスク

「はい。」

成瀬実

「不知火カイル。」

不知火カイル

「はい。」

成瀬実

「根村ユウタ。」

根村ユウタ

「…………はい。」

仲の良かったみんなが呼ばれていく。

そして私も呼ばれる。

成瀬実

「真瀬志奈。」

真瀬志奈

「はい。」

そうか……卒業するんだ……。そう思うと悲しみに溢れていく……

成瀬実

「以上で卒業式を終了いたします。」

そして、あっという間に卒業式が終わる。

本当にあっという間だった。卒業式も学校生活も。

ただ……唯一の救いは……。

不知火カイル

「みんな同じ大学に進学するんだね。」

内野タスク

「はい…………しかも期末テストの上位５０人が同じ大学なんて…………。」

根村ユウタ

「不思議だ…………」

みなさん同じ大学に進学することになった。これからもみなさんと関係を築くことができるということだ。これからもよろしくお願いします。

不知火カイル

「いよいよだね。２人の曲が発表されるの。」

真瀬莉緒

「はい。楽しみにしていてください。」

根村ユウタ

「ああ…………楽しみに…………している。」

私たちの曲はラジオで放送される。しかも今日だ。私は内野さんの部屋でラジオを聞くことになっている。

そして、そのときがやって来る。

六郭星学園寮 莉緒・タスクの部屋

ラジオの時間。私は莉緒と内野さんの部屋にいた。

真瀬莉緒

「いよいよだね。姉さんとタスクの曲。」

内野タスク

「はい。良い曲にはなったとは思います。楽しんでください！」

真瀬志奈

「莉緒は木沢さんが迎えに来てくれるんでしょ？」

真瀬莉緒

「うん。アカリと一緒に聴くことになったんだ。だから２人の時間を邪魔することはないよ。」

ちょうどその話をしていると、木沢さんがやって来た。

木沢アカリ

「莉緒くん。お待たせ！早速行こう！」

真瀬莉緒

「ああ。アカリ。今すぐ行くよ！」

木沢アカリ

「ああ、それとタスク。…………応援しているから！きっと…………ね！」

内野タスク

「木沢さん…………。ありがとうございます。あとは…………。」

木沢アカリ

「おっと、時間ね。タスク、楽しんで…………！」

木沢さんと莉緒は部屋をあとにした。

真瀬志奈

「いよいよですね…………。どんな歌詞になっているのか、楽しみです。」

内野タスク

「真瀬さん…………。あの…………僕は…………！」

内野さんが何かを言いかける。そのとき、ラジオから聞き覚えのある音楽が流れる。

真瀬志奈

「は、始まりました！」

内野タスク

「……………………。」

ラジオパーソナリティー

「さあ！今日の１曲です！挨拶をどうぞ！」

男性声優

「みなさん聞いてください！この曲に秘めた思い。この曲に込められた…………愛。彼の気持ちを！」

私はどんな歌詞になったのかじっくりと堪能する…………！

曲が終わった。…………内野さん。

真瀬志奈

「内野さん…………。この歌詞…………もしかして。」

内野タスク

「真瀬さん…………いえ…………志奈さん。」

初めて、名前で呼んでくれた。それにドキッとする。

内野タスク

「僕は…………なんて言えば良いのか…………。」

真瀬志奈

「…………良いんですよ。タスクのありのままの言葉を伝えてくれれば。私は満足です。」

内野タスク

「志奈さん…………。」

内野さんは少し、無言になるも、しばらくすると口を開いた。

内野タスク

「僕は…………志奈さん。真瀬志奈のことが好きです。どんなことがあっても、僕は志奈さんを守ります。これからも…………この先も…………ずっと。」

真瀬志奈

「その言葉を聞けて満足です。タスク…………。これからもよろしくお願いします。」

内野タスク

「志奈さん！」

内野さんは私を抱きしめた。

内野タスク

「ありがとう…………ありがとう…………！」

内野さんは頬から涙を浮かべて、喜んでいた。

虹谷サイ

「くそ…………！彼も違うのか！だいぶ人数が絞られてきた…………もう外すわけにはいかない。急いで他をあたろう。」

内野タスク編 完