第3章 浅葱色のパジャマ(内野タスク編)中編
虹谷サイ
「決まっている。内野タスク。彼以外にいない。」
真瀬志奈
「内野さん…………!?」
虹谷サイ
「という訳だ。彼を連れて行くよ。」
真瀬志奈
「待ってください!!そんな…………内野さんが悪行を行うなんて信じられません!」
虹谷サイ
「……………………。」
真瀬志奈
「どうかお引き取りください。私が保証します。」
虹谷サイ
「またか…………もう人数が限られている。無駄だよ。」
真瀬志奈
「えっ…………。」
虹谷サイ
「きみが後悔するだけだよ。それでも良いのかい?」
真瀬志奈
「…………構いません。私は内野さんを信じています。そう簡単に裏切る行為はしません。」
虹谷サイ
「…………仕方ない。今回も引き下がるとしよう。」
すると再び、辺り一面が光に包まれる。
光が収まると、虹谷と言う人はいなくなっていた。
真瀬志奈
「一体…………何が行われているというの…………?」
思考が止まる。そんなとき…………。
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……!?」
この耳鳴りは……!?
ギギ……ガガ……
苦しい…………!
しばらくすると、耳鳴りは治まった。
真瀬志奈
「もう…………さっきから、何なの…………?」
不思議な体験に謎の耳鳴り。私は首をかしげる。
真瀬志奈
「あっ…………いかなきゃ…………。」
私は重たかった足取りが早くなり、自分の教室に向かう。
六郭星学園 Dクラス教室
Dクラス教室の窓を見ると、人影が見える。内野さんっぽい。
真瀬志奈
「内野さん!」
私は、内野さんを呼びながら、教室に入る。
内野タスク
「ああ。真瀬さん…………。」
内野さんはやけに冷静だった。そして、中井さんがいる。
真瀬志奈
「中井さん…………。」
中井雄也
「ああ。真瀬さん。どうも。その様子だと、2人のことを知ったみたいだね。」
真瀬志奈
「はい。色々と知りました。中井さんが今、親代わりで木沢さんと内野さんを支えていること…………。」
内野タスク
「真瀬さん…………。」
真瀬志奈
「ご両親…………警察官なんですね。」
内野タスク
「はい。…………尊敬できる親です。」
真瀬志奈
「そのご両親…………失踪したんですね。」
内野タスク
「……………………。」
真瀬志奈
「内野さん。…………あの。私は…………。」
内野タスク
「僕は…………親に会いたい。その気持ちは変わらないです。今、中井さんが探してくれています。きっと見つかるはずです。」
真瀬志奈
「内野さん。その調子です!」
内野タスク
「真瀬さん…………。僕は頑張ります!」
真瀬志奈
「内野さん…………!」
中井雄也
「そのことだが…………実は…………。」
中井さんが何かを言いかけると、学園中に聞いたことのないサイレンが鳴る。
真瀬志奈
「な…………何!?」
内野タスク
「これは…………!?」
中井雄也
「これは緊急のサイレンだ!屋上に避難するんだ!」
すると、放送で成瀬先生のアナウンスが流れる。
成瀬実
「緊急避難指示です!みなさんは屋上に避難してください!」
いつになく成瀬先生も焦っているのが声で分かる。相当な緊急事態なのだろう。
私たちは急いで屋上に避難する。
六郭星学園 屋上
屋上に行くと、学生たちがすでに避難をしていた。
屋上から、校庭を見ると先生方が何かを取り押さえていた。
真瀬志奈
「あれは一体…………?」
不思議に思っていると、内野さんが辺りを見渡す。
内野タスク
「あれ…………中井さんは?」
確かに中井さんがいない。校庭に目をやると、中井さんの姿があった。どうやら、先生方の手伝いをしているみたい。
どのくらいの時間が経ったんだろうか、退屈になってきた。
近くに薮本さんがおり、薮本さんは携帯ゲームを持っており、待機には苦労していないんだろう。
薮本マサキ
「あの…………何か?」
どうやら薮本さんに気づかれたみたいだ。
真瀬志奈
「いえ…………ゲーム好きなんですね。」
薮本マサキ
「ええ。色々と、アクションやアドベンチャーはもちろん。RPGやホラー、恋愛まで多種多様には。」
真瀬志奈
「へえ…………すごいですね。」
内野タスク
「……………………ちょっと真瀬さん…………あの…………。」
真瀬志奈
「あっ、あの…………その…………。」
内野タスク
「いや…………その…………。」
内野さんはタジタジになっている。そのせいか私もタジタジになっている。
名雲メイ
「あっ、マサキ。誰かと話すなんて珍しいわね。」
薮本マサキ
「そうだね…………。確かに話しかけるのはあんまりないかもね。」
名雲さんがやって来た。そして、初杉さんもこちらにやって来る。
初杉ジロウ
「2人ともここでもゲームをしているのかい?」
名雲メイ
「私はマサキのゲームを見ていただけよ。ジロウも見る?」
初杉ジロウ
「退屈でもあるし…………どんなゲームなんだい?」
薮本マサキ
「最近の配信者が作ったゲームさ。綺羅星メルマ。有名みたいだよ。」
初杉ジロウ
「へえ…………。」
みなさん仲が良いみたい。私は少し安らぎを感じる。
真瀬志奈
「ところで、内野さん。何か言いたげですけれど…………?」
内野タスク
「えっ…………いえいえ!なんでもないですよ。あの、避難解除もされたみたいですし、僕らも寮の方へ戻りましょう!」
真瀬志奈
「そうですね。……………………戻りましょうか。」
私たちはそれぞれの寮の部屋に戻ることにした。
六郭星学園寮 志奈・アカリの部屋
寮に戻ると、私たちは備え付けのソファーに座り込んだ。
真瀬志奈
「はぁ…………疲れましたね…………。」
木沢アカリ
「そうだね…………。でも、タスクには色々と話せたんでしょ?」
真瀬志奈
「そうですね。でもあんな過去があったみたいなんて…………。」
木沢アカリ
「うん。暗いかもしれないけど、今は前を向いて頑張っているよ!ウチもタスクも!」
真瀬志奈
「それなら良かったです…………。」
木沢アカリ
「さて…………。シャワーでも浴びて寝ようと!」
木沢さんはソファーから立ち上がり、浴室へ入って行った。
真瀬志奈
「さて…………私も明日に備えて寝ようかな…………?…………あっ。でもその前に曲のアレンジを見直そうかな?」
私はそう思ってアレンジを見直した。内野さんのことを考えて、とても素敵なアレンジになりそう。
真瀬志奈
「できた…………あとは内野さんが演奏できるかどうか…………?」
内野さんを信じよう。そう思い。寝床に就いた。




