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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 浅越ハルト編

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第3章 セピア色の手紙(浅越ハルト編)前編

秋。私は疑問を抱き数ヶ月。何も解決はしていなかった。私はそのことをなるべく考えずに、浅越さんと作曲の練習をしていた。


浅越ハルト

「………………よし。これで良いな。」


真瀬志奈

「はい。順調ですね。」


私は浅越さんとの作曲は順調に進んでいると思っている。…………けれど、やっぱり疑問が頭によぎる。


浅越ハルト

「……………………。」


真瀬志奈

「あ、浅越さん…………。」


私は舌が絡むも、思い切って疑問を投げかけることにした。


真瀬志奈

「あの獣と妹さんとかいやに何か関係があるんですか?」


浅越ハルト

「……………………!」


浅越さんはひどく動揺をしている。私はお構いなしに質問する。


真瀬志奈

「答えてください!あの獣は一体…………!?」


浅越ハルト

「…………あの獣は…………。」


浅越さんは声を詰まらせながら、答えた。


浅越ハルト

「あの獣は…………元は人間だ。」


真瀬志奈

「人間!?それってどう言うことですか?」


浅越ハルト

「見ればわかる。ちょっとついて来い。」


真瀬志奈

「は、はい…………。」


言われるがままに私はついていくことにした。



来川医療センター 隔離病棟



真瀬志奈

「ここは…………?」


私はなぜか隔離病棟に連れてこられた。


浅越ハルト

「着いたぞ…………。あれを見ろ。」


浅越さんが指す方を見る。そこには半分獣で半分人間のモノがいた。


真瀬志奈

「これって…………!!」


ガラス越しではあるが、そのモノの様子は恐ろしかった。


よく見ると…………女の子?


浅越ハルト

「あれが、妹のまりあだ。」


真瀬志奈

「妹さん…………!?どうしてあんな姿に!?」


浅越ハルト

「誘拐だ…………。」


真瀬志奈

「誘拐?」


浅越ハルト

「ああ、攫われた。研究の生け贄としてな。」


真瀬志奈

「研究って…………これのことですか?」


浅越ハルト

「ああ。警察に無事に保護はされたが、様子がおかしい。保護した警察がそれを察して、この病院に案内された。」


真瀬志奈

「そうだったんですか…………。」


浅越ハルト

「ここの先生はとても真剣に考えてくれてな…………俺はそれをサポートするために…………。」


真瀬志奈

「学者になろうとしたんですね。」


浅越ハルト

「ああ。学者になればサポートできる。そう思って俺は今日まで生きてきた。」


真瀬志奈

「浅越さん…………。」


浅越ハルト

「櫻井に関してもこれが関係している。」


真瀬志奈

「シオンが?」


浅越ハルト

「櫻井の弟も同じく誘拐され、こんな感じになっている。それを櫻井の両親は金を使って、まりあよりも優先的に助けさせようとした!」


真瀬志奈

「そんな…………!」


浅越ハルト

「櫻井は関係ないかもしれない…………けど、まりあは……!まりあは……!」


真瀬志奈

「……………………。」


私は何も言えず、隔離病棟を後にした。



六郭星学園寮 志奈・シオンの部屋



櫻井シオン

「おかえり。」


真瀬志奈

「ただいま。…………シオン。」


櫻井シオン

「…………その様子だと、ハルトは全部話したのね。」


真瀬志奈

「……………………ええ。」


櫻井シオン

「…………確かに私の親は、かいやを優先的に治してくれって先生に言ったのよ。」


真瀬志奈

「それじゃあ…………!」


櫻井シオン

「でも断られた。人に命はお金では変えられないって。」


真瀬志奈

「そう…………。」


櫻井シオン

「でもそれをハルトに見られてね…………ちょっとギクシャクしてる。」


真瀬志奈

「そうだったのね…………。」


櫻井シオン

「私…………こう見えて弱い人間なのよ。」


真瀬志奈

「弱い…………?」


櫻井シオン

「臆病者って言った方がわかりやすいのかもね。…………ダメなの。」


真瀬志奈

「シオン…………。」


櫻井シオン

「ごめん。外に出るわ。志奈。ハルトのことをよろしく。」


そう言うとシオンは、肩を落としながらドアを開けた。


シオンも相当落ち込んでいるみたい。浅越さんの妹さんもそうだがかいやのこともあるだろうから…………板挟みになっているんだろう。


私があの立場なら…………きっと苦しい立場になっているだろう。


シオン…………頑張って。



六郭星学園 Cクラス教室



風亥ノクア

「そうか…………ハルトのやつ、そんなことがあったのか……。」


小鳥遊カルマ

「ああ。浅越の本人の口から聞いた。信じてくれるんだな。」


風亥ノクア

「あんなことがあったんだ。信じる信じないは関係ないよ。」


教室に入ると風亥さんと小鳥遊さんがこんなことを話していた。浅越さんの妹さんのことだろうか。


真瀬志奈

「あの…………。」


小鳥遊カルマ

「ん……? 真瀬か。ちょうど良い、浅越の話だが…………。」


真瀬志奈

「ああ、それなあんですけれど…………。」


私は浅越さんから聞いたことを話した。


小鳥遊カルマ

「真瀬も聞いたのか。それなら話は早い。…………浅越のことを助けたい。」


真瀬志奈

「小鳥遊さん…………!」


風亥ノクア

「2人が言うなら、協力を惜しまないよ。」


真瀬志奈

「みなさん…………ありがとうございます!」


風亥ノクア

「友達だからね。助けないわけにはいかないよ。」


小鳥遊カルマ

「でもどうすれば良いのだろうか…………。」


真瀬志奈

「そうですね…………うーん…………。」


そう悩んでいると…………


ギギ……ガガ……


真瀬志奈

「えっ……!?」


何……この耳鳴りは……!?


ギギ……ガガ……


苦しい…………!


小鳥遊カルマ

「ま、真瀬!?」


風亥ノクア

「やばい…………!急いで先生を呼んで保健室に運ぶんだ!!」


耳鳴りと共にそう聞こえ、私の意識が遠のいていく…………。

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