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36話 『攻略の道』


 アルフレッドの魔法『波道』。自らへと襲いかかる魔法の刃をものともせず、打ち破る強力な魔法である。そして、その対象は決して魔法相手だけではない。人間相手すら跳ね返してしまうのだ。近接戦闘を得意とするファロンや、カシンの攻撃からも身を守るあのアルフレッドの魔法は、まさに絶対防御と言っても過言ではないだろう。


 だが、そうは言っても、リア達とてこのまま黙ってアルフレッドの1人にやられるというわけにも行かない。何とかして、突破口を開く必要がある。ずっと間近で見ていたリアは一つのアイディアを思いついていた。


 アルフレッドが、魔法から自らの身を守るとき、すなわちリア達が発動した魔法を打ち消すために『波道:防』を使うときには、必ずその魔法の方に手を向けて術式を発動していた。つまり、リアが考えたのは、あの『波道』はアルフレッドの正面、手を向けた先に対してしか防げないのではないかと言うことである。


 もしリアのその仮説が正しければ、アルフレッドが反応するよりも早く、アルフレッドに接近することが出来れば、チャンスはある。


――だったら……! 


 リアには、それを可能にする魔法がひとつあった。初めてルカと出会ったとき、ルカが堕魔を一瞬で仕留めたあの素早く移動する技。アレならば、アルフレッドの隙を突くことが出来る可能性はある。


 ただ、リア、ソール、そしてルウの3人の魔法をいとも簡単に捌くアルフレッドを相手に、隙をつくと言うことは口で言うほど簡単なことではない。極めて正確な魔力のコントロール、そして速さが重要になる。


 やってみて、上手く行く保証はない。でも、やらなければこのままじり貧でアルフレッドに負けることは目に見えている以上、他の選択肢はリアには考えられなかった。


 魔力を脚に溜めつつ、魔法を発動する準備をするリア。そして、リアはそのままソールとルウ、2人に向かって声を上げる。


「ソール、ルウ援護して!」


「わかった!」


 ソールもルウも、リアが何を考えているのか完全に理解は出来ていなかった。だが、力強く頷き、そして再び魔法を発動したのだ。きっとリアなら何かしてくれる、そうリアのことを信じて。


「水の術式! 水竜!」


「氷の術式! 雪月花!」


 再び自らへと襲いかかる魔法を前に、アルフレッドはあきれたような様子で小さく口を動かした。


「またこの魔法か…… 無駄だ。 波道……」


 チャンスは今しか無い! アルフレッドが手を上げ魔法を発動させた瞬間、リアは足元に溜めていた魔力を一気に開放させた。さきほどまで、そこにいたはずのリアの姿が残り火を残して消える。


「っ!? 消えた……」


 一瞬の動揺を見せたアルフレッド。その隙にリアは一気にアルフレッドとの距離を詰める。気が付けばアルフレッドの姿はもうリアの直前へと迫っていた。いける……! そのまま勢いに任せ、拳に炎の魔力を乗せたリア。

 

 それでもなお、アルフレッドは遅れながらも、リアの攻撃に反応したようで、すぐにリアに向けて手を伸ばす。リアの拳が届くのが先か、アルフレッドの防御が間に合うのが先か…… そんな絶妙のタイミングの中、2人の声が重なる。


「炎の術式:豪炎!」


「波道:防!」


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