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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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214/216

行って帰って、

 

 














 水音がする……。












 なんだろう。どこか水道きちんと閉めてなかったのかなあ。









 あ~閉めに行くかぁ。喉も乾いたし起きるか……。




「んーっ……」



 しっかり伸びをして、ごろりと寝返りを打って目を開ける。

 何時だろうと枕元の携帯を手探りで探す。あれ? 携帯はどこだ。



「めがねめがね……」



 次は眼鏡を探す。



「え!? なにこの手!?」



 顔をベッドに近付けて眼鏡を探していると、皺だらけの自分の手が目に入った。



「おばあちゃん!? ……え? 何これなんかの病気……? か、鏡!」



 慌ててベッドから降り……れない……?

 慌てて足が触れたところを触って確かめていると、視界がさあっとクリアになった。



「お? 良く見えるようになった……なんだあ?」



 辺りを見回すと大きな窓。隣の部屋はキッチンのようだった。

 あの先は……何で光ってるんだ? 通路? こんな床で今まで寝てたのか?



 ……夢かな? 



 しかしなんとなく懐かしい感じがして、特に警戒心も起こらずふらふらと隣のキッチンに入ってみる。

 歩くと腰が痛い。寝すぎたのかなあ。



 キッチンの壁に埋め込まれている棚にはレインボーな食器が並んでいた。



「……鍋までレインボー」



 そっと調理器具を触ってみる。まだ20代なのにいつの間にか手が皺くちゃなのが切ない。

 よく見ると素材は鉱石……? こんな虹色のものがあるんだ……。


 とその時、水音の正体が判明した。

 壁と一体化して見事な彫刻が施された――



「うわっ!」



 それに手を伸ばそうとした途端に壁全体がレインボーに輝いた。何このレインボー押し……。

 そして電気のスイッチを高速で切り替えたようにチカチカッと部屋全体が点滅した後、電光掲示板の様に流れる矢印が壁に表示された。



「……なんだこれ」



 どう考えても矢印で2階に誘導しようとしているように見える。



「…………」



 こんなあからさまな罠に引っかかりたくない。危険な感じはしないけど。

 しばらく考えて先に通路に見える場所を確認する事にする。面倒な事は後回し。

 が、光っている方に足を向けると急に体が浮いた。



「ひえっ……!」



 急な浮遊感に体が固まっていると、そのままひゅんと階段をのぼり、ある扉の前でおろされた。

 その扉には『HARU’S ROOM ♡』と書かれてあり――





「はる……?」



 はるは私の名前だ。なにこの偶然? 語尾だけではなく他にもハートの模様がちりばめられてるし。


 しかも隣の扉には様々な動物のものらしき足跡が、これまたレインボーな塗料で。

 しかしその中に人の手形らしきものが紛れ込んでいるのがわかった。

 何となくそっと手を合わせてみるが、節くれだったおばあちゃんのような今の私の手ではもちろんぴったりとはいかなかった。



「んん~? ほんとにここ何……」



 扉の前で考え込んでいると急に扉が勢いよく開き、室内のソファーの上にぽいっと放り投げられた。

 なんか雑じゃない……?


 しかし意識はすぐにキングサイズのベッドに目が行き、そして近くに設置されている鏡を見て愕然とした。



「え……これ私……?」



 そこには、皺くちゃのおばあちゃんが映っていた。



「え!? まじ、え!?」



 べたべたと顔を触ってみるが、どう考えても私だ。全身おばあちゃんなんですけど。

 しかも服装だけは寝る時に着ていたものなので違和感がとんでもない。何これ。


 慌てて立ち上がり鏡に向かおうとするも体が思ったように動いてくれない。



「ええ~まじ何これ……」



 めそめそしながらソファーに倒れ込む。

 その時――



「あ~もう待ちきれない!」

「あんたのせいじゃないですか」



 声が聞こえたと思った次の瞬間、私はうっそうと茂っている森の中に立っていた。



「ええ……誰よ……次から次へと。しかもなにこの大自然…………でかっ!」



 ふと振り返り背後に存在している巨木を見て思わずそう口に出すと、頭の中に何かがすうっと入り込んできた気がした。



「……あれ? 前にもこんな事があったような……?」


「ぴちゅ!」

「ぎゃあ!」



 いきなりカラフルな鳥がこちらに突っ込んできた。か、肩に……!



「ひいい……私は食料じゃな――え? お帰り?」



 鳥の言葉がわかる。



「…………キイロ?」



 ふと頭にその言葉が浮かんだ。

 その瞬間鳥の胸元と私の左手が光った。


 咄嗟に閉じていた目を開けると、私の左手が皺くちゃから元に戻り、更に紋様が刻まれていた。



「これ……知ってる……」



 覚えがある。この紋様は確か――



「クー」


「わっ……」



 必死に頭を整理していると、「おかえり」とえんじ色の馬のような鹿のようなアルパカのような生き物も。


 ……この子も知ってる。なんで……?



「エン?」



 そして再度光る左手。



「キャキャンッ!」

「フォーン」


「え?」



 なんか一瞬ミニチュアダックスのような犬と緑のオランウータンみたいなのが見えたんですけど。

 オランウータンがダックスに「まだ早い」って言ってたんですけど。

 ダックスがセカンドバック持ちされてそこの木の後ろに連れて行かれたんですけど。

 ダックスの尻尾が丸見えなんですけど。



「…………ダクスに……そう、マッチャだ」



 今度は右手と足元が光った。

 足元を確認すると、左足首に紋様が。右手も同様だ。


 しゃがんで確認すると、今まで見慣れていた年相応の足に戻っている。

 これ何システム?



「キャン!」



 ちょ、このダクスという名のダックスすごいぐいぐい来るな。もう隠れなくてもいいの? でも可愛いからむしろもっと来い。


 この動物達を撫でるのが私の使命だったような気がしてそちらに近付くと、ガサリと音がした。




「コフッ」

「キュッ!」



「……わお」




 現れたのはレインボーなリクガメさんと羽の生えたペンギンさん、そして巨大なドラゴンさん。







 なんかいっぱい来た。







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