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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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209/216

真実

 




「ちょ、ねえ! ちょっとチカチカさん! 雷で充電出来るんじゃないんですか!? 爆発四散したんですけど!?」



 ちょ、ほんとにこれなに……!?



「はる、落ち着いて」


「いやいやいや!」



 こんなに人を揺さぶりたくなった事って無い。人じゃなくて惑星だけど。



「あれは脱皮」


「だっ脱皮!?」



 なにそれ!

 岩のような塊なんじゃないの……?



「長年の汚れを落としただけ」


「汚れ」



 ほんとまじ最古の魔物どうなってんだ……。



「え? え? じゃあゴーレムさんは?」


「身軽になって家に戻ってる」


「…………そっか……あっ魔物達は?」


「さっきので逃げ帰った」


「……へえ……おつかれっした」



 魔物って……。それにしても結局どんな魔物がいるのかわからなかったな。

 しかも最古の魔物は身軽って言葉で片付けていいのかこれ? 

 こんなあっさりイベント終わる……? 





 いつの間にか流星群雷も終わっていたので、ボスのウロコをカリカリ噛みながらお礼を言う。



「ありがと~。ボスはやっぱりボスだったねえ。すごいねえ」


「キャン」


「みんなもありがと~」



 私もそうだが、特に何もしていないダクスも「どういたしまして」的な事を言ってきたのでついでとばかりにみんなのモフモフをもふもふしておいた。

 透明なので闇鍋ならぬ闇モフモフ。



「さて、街の様子を見て家に帰りましょうか」


 そう言いながら振り向くと、街から煙が上がっていた。



「あれ? 火事……? でも色が……」


「のろし」


「のろし?」


「危機は去った合図」


「へえ~」



 そして街に近付くにつれて歓声が聞こえてきた。

 良かった、みんな喜んでる。



 大仕事が無事終わり、どこか誇らしい気持ちで街上空をフライパスしてから島に瞬間移動した。








「ただいま~。最古の魔物なのにイベント難易度がイージーモードって。あ、チカチカさんチカチカさん、エネルギー集まってます?」



 テラスから部屋に入ると、何故か男性のアダムさんバージョンでチカチカさんがソファーに座っていた。

 わざわざ?



「集まってる。近隣諸国に詳細が伝わるとおそらくすべてが集まる」


「お、やっぱり? やったあ~!」



 ついに、ついにお仕事完了だ……!

 私でも出来たぞ!



「地球帰還までの猶予はどうなりますか?」



 浮かれた気持ちのまま、鏡で髪の毛を確認しながらチカチカさんに質問する。

 わがままを言えば1年くらいはいたいなあ。家も建ててもらったし。違う大陸にも行ってみたいし。


 しかしチカチカさんの返答は思いがけないものだった。



「はるが望むだけあげる」


「え!? ま、まじですか?」


「まじ」


「チカチカさんのデレが炸裂した……!」



 感謝を込めて座っているチカチカさんにコアラのように抱き着く。



「ありがとうご――――」



 え……?





「チカチカさん……顔……」



 顔を上げ、近距離で目に入ったチカチカさんの顔に心臓がどくんとひとつ大きな音を立てた。



「顔?」


「なんか……泣いてるみたい……な……」


「はるの気のせい。そもそもこの姿もエネルギーを固定化しただけの作りもの」


「でも……」



 嫌だ。

 なんでか分からないけど嫌だ。


 ゆっくりとチカチカさんの頬に手をやり目をじっと見つめる。

 何かがおかしい……?



「はる、どうせ長くいるならならこっちのエネルギーに馴染むように手を加える?」


「え……?」


「はるはレベルアップがもうないと思ってたみたいだけど、貯めてある。それを使ってはるの体に力を加える」


「レベルアップ……」



 確かにレベルアップの事は勝手に納得してたけど――



「卒業旅行に行きたいって言ってた」







「人間が近付けない場所もあるし」







「これで遠出も自由にできる」







「なんなら地球に戻らずずっとこっちで暮らすといい」

「っチカチカさん……!!」



 たまらず悲鳴のような声が出た。



「何を、言って、るんですか……?」



 おかしい。背中にじっとりと汗をかいている。手が震える。

 さっきまで嬉しくて興奮してたのに。

 呼吸がうまくできない――



「ち、地球には、帰ります……。家族がいる、し、友達も……。そ、それ、に地球、にエネルギーを、あ――」



 突然頭の中に甦る会話。






『――山内春を頼んだよ』


『はい』


『もしもの時はこの世界で面倒を』


『……はい』






「っ…………!!」



 反射的に立ち上がってチカチカさんから離れる。




「ち、地球さんがあの時言ってた……!」



 チカチカさんの顔が今度は明らかに歪んだ。



「何かあったら……、何かあったらってチカチカさんに頼んでた!!」



 あれは……あれは夢じゃなく現実だ。

 なんで忘れて……!



「チカチカさん! ねえ、何もないですよね? ただチカチカさんの優しさでずっといてもいいって言ったんですよね? チカチカさん……!!」



 ほとんど絶叫に近い声が出た。


 チカチカさんは立ち上がりこちらに近付いてきた。





「地球という星は……このままだと地球ではなくなる」



 チカチカさん。



「だから膿みを出し切って、休眠期に入る可能性がある」



 なんで。



「膿みっていうのは人間」



 なんでチカチカさんがそんな辛そうな顔。







「世界規模の争いが起こる」




「引き金は些細な出来事」




「過去の争いをはるかに凌駕する結果になる」




「人間達は自分達の技術によって滅ぶ」




「あの時、拠点のゲートを作る口実で愛と光のエネルギーを地球に持ち帰った。それくらい悪化してた」




「だからはるにはここにいて欲しい。それがあの惑星(ひと)の願い」








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