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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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ストレスは持ち越さない

 



「便利いいですか?」



 気が急いていたのだろう、会話をはしょりすぎた。

 便利能力を発動してもらってもいいですかと言いたかったのに……。

 でもチカチカさんはわかってくれたみたいだ。



「アルバートさん、先程の出来事なんですけど――」

「申し訳ありません!」


「最後まで聞けよ~」



 ありがとうカセルさん。それでちょっと花束持ってもらっていいかな。意外と重いんだ。



「あれ実は私()けられたんです」


「え……避け……え?」



 2度見してきたアルバートさん。そうなるよね。



「御使いの気まぐれと言うかそんな感じです。すみません」



 正しくは神の気まぐれね。



「は、はい……気まぐれ……?」


「なので全くこれっぽっちも全然気にする事はないんです」



 文法とかどうでもいい。



「ぴちゅ!」

「キャン!」

「キュッ!」


「……気にする事はないんですが、良かったら守役の遊びに付き合ってもらえませんか?」



 強く言えない御使い。すまん。こじんまりが怒ってるんだわ。親がラッキースケベを発動させた結果なのに。

 理不尽でごめん。



「喜んで!」

「は、はい!」


「……ありがとうございます。後で拠点予定地に寄るのでその時に少し時間を頂いても大丈夫ですか?」


「もちろんです!」



 カセルさん嬉しそうだな……。



「こじんまりした3人はいいですか? アルバートさんは悪くないからね。だけどウォータースライダーごっごは一緒にしてもらうからそれで発散して」


「キャン」


「牙はしまったまま。スピードも徐行程度で」


「キュッ」


「それ以上速くはやめて欲しいな。それか……ウォータースライダーから飛び出したみんなをキャッチするゲームでも良いけど」



 そっちの方が危険が無くて楽しそう。

 私もやってみたいし。



「ぴちゅ」


「じゃあキャッチで決定に――なんだ?」



 突然リュックの中から背中にドンッと衝撃が。



「わかったわかった、一緒に遊ぼう」



 ボスから「白フワもやりたいみたい」と教えてもらったので白フワもメンバーに入れる。

 なんとか丸く収まりそうだな。


 のんびり話しながらさっきいた場所に戻る事にしよう。







「――そうだ、アルバートさん。今から余計なお世話をします」


「え……? は、はい……!」


「王女様の事なんですが――」



 王女様と言った途端びくっとし、辺りを慌てて窺い始めたアルバートさん。

 大丈夫、周りの人には聞こえてないから。さっき思いっきり『御使い』って言ってたのに。

 たぶん色々ありすぎて、チカチカさんの事もうまく認識できていない程混乱がおさまってないんだろうな……。



「本当に余計なお世話でおせっかいなんですが、王女様は勇気を振り絞ってアルバートさんに好意を伝えたと思うんです」


「はい…………え!?」



 そう、御使いは前のめりで聞いてたんだわ。ごめん。

 カセルさんに助けを求めてもカセルさんも聞いてたからね。どうにもならないと思う。



「なのでこれから戻ったら今のアルバートさんの気持ちをまず王女様に伝えて欲しいんです」



 好意を伝えて逃げられたままじゃ切ないもんね。



「王女様は恐らく政略結婚をするんですよね? 年相応の恋愛もできずに。それが王族の務めとはいえ、やはり相手は年が離れすぎていたり変な相手じゃない方が絶対に良いですよね。相手が大切にしてくれるかどうかもわかりませんし。同じ女性としてアルバートさんに選ばれたい王女様の気持ちがわかるんです」



 アルバートさんなら絶対大切にしてくれるし誠実だしね。誠実さが固まってできたみたいな存在だから。



「サンリエルさんやカセルさんにも好意を見せていた事で困惑しているかもしれないですが、それは弱い立場に置かれがちな女性の出来る自衛手段のひとつなんです。あ、でもアルバートさんが困っているなら無理に付き合う必要はないんですよ? あれこれ言ってますけど1番大切なのはアルバートさんの気持ちですから」



 愛のない結婚はしないという選択肢が私の生きている時代には選べるから余計そう思う。



「はい……」


「説教くさくてすみませんね。おせっかいでしょう?」


「い、いえ! そんな事はありません!」


「応える気が無いならきちんと伝えておいた方がいいだろうな~。力技で来られたらお前じゃ対処できないだろ?」


「そうだな……。力技って何だよ?」


「既成事実ですか?」


「そうですね」

「カセル……!」



 顔が真っ赤だな……。ごめんごめん、思春期だったわ。

 まあそんなものはいつの時代もごろごろとあるんだろうな。



「一族の人達は大変そうですね……」



 しみじみ思う。



「その辺りの心得はしっかり教わっていますから。我々をどうこうできるのは同じ一族くらいですけどね~」



 ……爽やかに笑ってるな。でも雰囲気が明るくなった。ありがとう。



「さ、じゃあ戻ってあれやこれやと楽しみましょう」


「あれやこれやと楽しみましょう」

「は、はい……!」












 ダンスメンバーがいた場所に戻ると案の定アルバートさんはたくさんの人に声を掛けら始めた。

 冷やかされているとも言う。

 みんなに自然と構ってもらえる愛されキャラなんだろうか。

 愛されキャラになろうと思って簡単になれる訳じゃないから貴重な才能だよね。



 私はそんなアルバートさんとカセルさんから離れてS青年を探す。大きな花束を抱えたまま。カセルさんにそのまま持ってもらえばよかった。





「――こんばんは」



 S青年はずっと同じ男性集団と一緒にいたみたいだ。

 そんなに社交的なタイプじゃないんだろうな。


 私も飲み会とかで席をあちこち移動するタイプじゃないから気持ちはわかる。

 人見知るよね。


 今は全員年下なのがわかっているから強気だけど。ほら、わたしっていちおう御使いだし。



「あっ先生、こんばんは」



 自己紹介もろくにしていないからなー。



「先生~?」



 なんだね、見知らぬ青年その1。



「あ、いや……その……」


「シャイアさんの為になる情報を教えたら先生と呼ばれるようになりました」


「なんだそれ」

「俺達より年下じゃねーか」

「花重いだろ、こっちに置いとくか?」



 この集団には妹がいる人が多いと見た。

 私を見る目が優しい。多分こっちが年上だけどさ。



「先生の……お姉さんですか?」



 そうだ、チカチカさんの紹介もしていない。



「妹がお世話になったようで」



 あれ? チカチカさんが挨拶した。びっくり。無表情だけど。



「こちらがお世話になったんです」



 S青年のくしゃっとした笑顔は良いなあ。

 でも話は変えさせてもらうね。



「皆さんの神の踊り凄かったです。感動しました」


「ありがとうございます!」


「だろ~?」



 気の良い兄ちゃん達だな。



「御使い様は見れたか?」


「あ、はい。遠くからですが……」



 嘘をつくのも上手くなったものだ。



「一族じゃない俺達が御使い様に会えるなんてなー」

「俺はもう孫の代まで語り継ごうと決意したね!」

「浮いてんだぜ!? 人が! いや神の愛し子って話だから人じゃないのか?」

「守役様! 興奮した!」



 皆さん嬉しそうで何より。



「クダヤに生まれた事だけでも幸運なのにそのうえ神の踊りにも参加を許されるなんてな~」

「俺達は幸せ者だな!」



 この人達なんか好きだな。



「女にも前より声を掛けられるんだぜ~」



 にんまりと教えてくれたあるお兄ちゃん。モテ期到来お兄ちゃん――モテちゃんでいいか。

 いいのか、妹ポジションの私にそんな事教えて。



「すごいですね。皆さんそうなんですか?」



 S青年の返答を期待しながらもみんなに質問する。



「そうだな!」


「神の踊りの効果が続いている内になんとか恋人を作りたいよな~」


「そんな事言ってお前は年上のお姉様から逃げてたじゃねえか」


「年上はなー姉貴を思い出すからな……」



 モテちゃんはお姉ちゃんがいるのか。



「贅沢なやつだな」


「お前はメリッサがいるからいいよなあ」


「なっ……!」



 お、いいね。もっと恋の話して。

 見知らぬ青年その1は恋人あり、と。



「素敵な恋人がいらっしゃるんですね」



 S青年に話をふる。

 君の恋愛はどうなっているんだ。おせっかいなのはわかってるけど知りたい。

 チカチカさんに教えてもらえば分かるんだろうけどそうはしたくない。



「本人達は認めてないけどね」


「お、お前だって……!」

「え? シャイアさんにもいらっしゃるんですか?」



 かぶせ気味に食い付く。

 私の期待の眼差しに気付いたS青年は恥ずかしそうに教えてくれた。



「恋人ではないんですけど……前より手料理を食べさせてくれるようになった子がいて……」



 ふんふん、それでそれで?



「それだけなんですけど」



 え? それだけ?



「あの子お前の事好きなんじゃねえ?」


「まさか」


「あの子はカセルの事が好きなんじゃないのか?」


「カセルかあ……。大体の女が憧れてるよな~」


「まあカセルだしなー」





 なんだろう、今さらなんだけどここにいるのが申し訳なくなってきた。

 これ女子が聞いちゃいけない話のような。


 私が複雑な顔をしているのに気付いたお兄ちゃんズが気を取り直したように質問してきた。



「お嬢ちゃん先生はどんな男が好みなんだ?」



 事細かく語れるけど良いのかしら。

 しかしここは無難な選択をした方が賢明だと思われる。



「優しくて頼りがいのある男性ですかねえ」



 お手本のような答え。以前S青年にも同じ様な事を言ったしこれでいいだろう。



「かっこいいとか、力が強いとかは気にしないのか?」



 見知らぬ青年その1は食い付いてくるな。



「顔は努力次第で良く見せる事ができますのでそこまで気にしていませんね。クダヤの人であれば力が強くなくても別に構いませんし……」


「はあ~。お嬢ちゃん先生は落ち着いてんだなあ」

「まだ若いのに」

「さすが先生だな!」


「他の女性も皆さん同じようなものだと思いますけど……」






 ……顔を見なくても分かる。

 チカチカさんは今、しら~っとした顔でこちらを見ているはずだ。


 誰よりも見た目の好みにうるさく、チカチカさんと<地球>さんを自分の妄想通りに変身させた過去がある私が「中身が大切ですう」なんて発言を悪びれもせず言い放ったからな。





 でもね、女子なんて大概そんなもんなんですよ!

 男性の基準と女性の基準が違うだけ!


 男子だってすっぴん(訳:元々かわいい顔の女の子)が好きとか言ってるじゃないですか!


 私だけじゃない! 





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