表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深層を目指す傀儡廻しのダンジョン探索日記  作者: 百舌巌


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/73

第068話 人それぞれ

 最初から鑑定していれば済む話じゃないかと言われるかも知れない。

 だが、出来上がっていく過程を楽しむのも、ダンジョンスローライフの醍醐味なのだとハジメは思っている。

 それはソロキャンプにも似た楽しみ方だ。眼の前の問題に取り組んでいる瞬間が楽しいのだ。


「楽しみ方は人それぞれだろ」


 多様性を言う奴に限って他人の考えを尊重しないものだ。

 十人居たら十通りの考えがあると何故か理解出来ない。

 人の意見を聞かない癖に、自分の意見を押し付ける奴の声がデカイのは仕様なのだろう。


「外世界は我儘で構成されているんだよね」


 ハジメは外世界の息が詰まるような日常は、喧騒の一つに過ぎないと思っている。

 つまり、どうでも良いのだ。

 自分でも背負い切れない癖に、責任ばかり押し付けてくる連中は無視するに限る。


 そんな雑多でどうでも良い事を考えながら第三階層にやって来た。

 手持ちのマイドレイク草が無くなった為だ。


「根本から取らなければリポップすると思うんだよな」


 根を取るとリポップしない事は、第一階層のダンジョン草で確認済みである。

 なので、根の少し上辺りから毟り取っている。


「まあ、図書館で魔法の事を覚えることが出来そうだし、MP回復薬はこれから必要だよな」


 ハジメはMP回復薬の作成を続ける事にしていた。作成というより改良が近い。

 今のままではMPが満タンになる前に、お腹が満タンになってしまう。


「何より美味しくないし……」


 ハジメは川の中からマイドレイク草を採取していった。

 今度は発酵という工程を加えてみようかと考えている。

 煎茶ではなくて紅茶か烏龍茶風の茶葉にしてみたかった。


「味がマシになると良いな……」


 人生を試されるような味は本当にどうにかしたかったのだ。


「次はスライム溶液の作成」


 第三階層と第四階層のスライムたちを集めてきてダンジョンの外に向かう。

 外で吊るしておけば、程よいスライム溶液が入手出来るのは学習済みだ。


「放ったらかしってのが良いよね」


 面倒くさがりのハジメにはピッタリの方法である。


「本命のフレア・スライムを狩りに行ってくるか……」


 次に第五階層のフレア・スライムを採取してきた。

 コイツは火魔法のフレアを使うので、MP回復薬の原液として期待が大きかった。


「錬成とか錬金とかの魔法が有りそうなんだがなあ」


 大鍋に満たした溶液に、謎の葉っぱを入れる魔女スタイルはそれっぽくて好みだ。

 だが、回復薬を作る度に同じ事するのは手間が掛かってしまう。


「基本、探索者を楽させるのが基本コンセプトみたいだからなあ」


 生活魔法を使ってみて思った事がある。

 ダンジョンの創造主は、手間を省くのを主眼としている魔法を、普及させたがっていると推測していた。

 目的は不明だが便利になるのなら良いのではとハジメは考えている。


「次はマイドレイク草を揉み込むかね……」


 ハジメは揉み込みを実行してから、葉っぱをジップロックの中に密封した。

 こうすると発酵が始まると、『可愛い奥様の手作りお茶教室』に書かれていた。


 発酵を待つ間に第五階層に行ってフレア・スライムを討伐していた。

 今度は隠密魔法が使えるので結構楽勝である。

 少し離れた所からスリング・ライフルで石を当てて、フレア魔法を出させてから捕まえるのだ。

 後はダンジョンの外に持ってきて採取瓶に閉じ込めてスライム溶液化させるだけである。


「魔石も効率よく取れるし楽で良いね」


 シン・スライムプレスの魔石もミューカス・スライムの物に変えてある。

 これで経験値の取得が段違いに大きくなった。

 本来ならフレア・スライムの魔石に変えたかったが、大きさが子供用のサッカーボール程も有るので無理なのだ。


「まあ、そのうち改造するさ」


 今はMP回復薬の作成が課題だ。

 ハジメはジップロックの取り出し口を少し開けて匂いを嗅いでみた。


「うん、酸っぱい匂いがする……発酵しているって事で良いよな?」


 発酵が終わったと思われる葉っぱを再び揉み込んでは乾燥させる。

 何度か繰り返し良い感じに葉っぱが出来上がった。

 煮沸は各階層のスライム溶液で行う。比較検討する為だ。


 大きな鍋に普通の水を張って中にビーカーを並べた。

 こうすることで個別に作成する手間を省くためだ。

 だだ、一見すると正月の屋台でホットコーヒー缶を売っている人みたいだ。


「……甘酒でも温めようかな」


 温まったスライム溶液に出来上がったマイドレイク草(乾燥)を入れる。

 ジッと見入っているとMP回復薬(薄)を作った時のようにスライム溶液の色が変化した。


「出来た……と思う」


 各溶液を取り出して自然に冷ます。

 もちろん待っている間は、隠密の光学迷彩実行時間測定だ。

 フレア・スライムの魔石を手に握り込んでハジメは透明になった。


「コレって濾した方が良いよな?」


 ハジメは透明なまま自宅に戻り台所から茶濾しと湯呑みを持ってきた。

 途中、フンダリに遭遇したが気が付かなかったようである。


「家族が出かけていて良かった」


 見つからないとは思うが、バレたら色々と言われそうだからである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ