第047話 強敵(スライム限定)撃破
石矢を作り終えたハジメは第二階層にやって来た。
他の階層のスライムでも対応できるのかを確かめる為だ。
第二階層のスライムは第一階層のスライムと同じくナナシ・スライムだ。
一本刺しただけで霧散していく。
「よし、他の階層でも有効だ」
次に第三階層にやって来た。ここのスライムは経験値が多い事もあり一本では駄目だった。
だが、次に二本目を刺すと霧散した。
「アーズス・スライムは二本か……ならミューカス・スライムは四本ぐらいかな?」
再び意気揚々と第四階層に戻ってきた。
これまでに分かったことはスライムの体液は共通して強酸性であるという事。
そして、石矢を差し込み薬剤を注入してから、直ぐに抜いてからアルカリ性の洗剤で中和してやれば石矢は無事であった。
「長めの槍を用意してみるのも有りだな……」
ハジメは物干し竿(納屋に捨てられている)の先端に、石矢を付けた物をイメージしていた。
これなら簡単に試せそうである。
「よしっ今度こそ……」
スライム専用ハンターであるハジメはスリングライフを構える。
スリングライフルと言っても、納屋にあった(捨てられていた?)カーテンレールっぽい何かに元自転車チューブのゴムだ。
ダンジョン草を巻き付けてあるので魔道具と言えなくもない。
「まあ、目的を果たせれば見てくれは関係ないね……」
レベルアップしたお陰なのか強力なゴムを難なく引き揚げ狙いすます。
目標はミューカス・スライム。
一射目。刺さったが変化無し。
二射目。刺さったが変化無し。
三射目。刺さったが変化無し。
四射目が刺さると変化が現れた。
ミューカス・スライムがブルブルと震えて黒い霧になって霧散した。
倒すことに成功したのだ。やはり予想通りに四本必要であった。
「やったね!」
ハジメはクルクルと回ってから華麗にV字ガッツポーズを決めた。
「私に不可能の文字は無いのだよ……」
喜びを噛み締めた後でエアメガネをクィっと上げるのも忘れない。
「さあ、どのくらいの経験値が手に入ったんだ?」
得られた経験値は0.004であった。第一階層のスライムの四倍の経験値だ。
手強いだけあって中々の数値であった。
「うほっこれは凄いな」
二百五十匹でBPが1貰える換算である。問題はサイズと屠殺方法だ。
サイズが大きすぎるのでシン・スライムプレスでは圧殺出来ない。
他にも問題が有る。
石矢が刺さっても、ある程度の時間が経つとシャフトの部分が溶けてしまうのだ。
現状、使い捨てのような状態にあった。
「鏃は再利用が出来るけど薬剤注入部分が溶けてしまう」
今回はワンコインショップで買ってきたメイク道具を応用した。
だが、ネットで検索すると量があって安い物もあった。
「作成に手間が掛かるんだよな……」
これは改善の必要ありと心のノートに書き込んだ。
石矢を直接刺す攻撃手段もあるが、ミューカス・スライムの反撃方法が凶悪なのでやる気はなかった。
「まあ、方法は工夫するとしてダンジョンの探索をしようか……」
ハジメは意気揚々と歩き出した。
今回もドローンは飛ばしている。
索敵モードと称する赤外線モードにして、スライムなどの分布を調べている。
「どうせならドローンに攻撃手段を搭載させるのも有りか」
ドローンに石矢の射出方法と薬剤注入方法を考えてやれば良いのだ。
長めのチューブと小型ポンプが必要になるかも知れない。
「夕飯の後にでも工作してみよう」
歩きながら今後のことを考えていた。
今、むかっているのはドローンで上空から見た時に気になった場所に向かっていた。
噴水広場(仮)らしき物を発見していたのだ。本日の探索目標だ。
「どんな場所なのか気になって仕方無いからね」
廃墟街を警戒しながら歩く。上空から見た感じではスライムらしきモノしか見かけなかった。
指南書ではスライムの次にゴブリンが出現するらしいが見かけなかった。
「まあ、対処方法が分かる魔獣だけの方が探索が捗るから助かる」
そんな事を呟きながら問題の噴水広場(仮)に到着した。
「おー、どう見ても噴水だよな……」
女神像と思われる物を中心にして円状のプール跡がある。
深さは膝ぐらいであろうか、他にはベンチなどもありちょっとした憩いのスペースといった趣だ。
スライムが彷徨いているけど……
「おや?」
ハジメは女神像の足元にとある物を発見した。
一抱えほどもありそうな木製の箱。見た目はラノベやゲームでお馴染みのデザイン。
「おおお……」
宝箱が鎮座していたのである。




