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深層を目指す傀儡廻しのダンジョン探索日記  作者: 百舌巌


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第032話 無自覚な魔法使い

 ハジメは石部屋改め転移部屋にやってきた。

 今回は二階層に行って中をぐるりと回ってみるつもりである。


 もちろん、魔法鍛錬も行うが合間にちょこっと探索してみるつもりなのだ。


「まあ、一番の目的は傀儡廻しが使う人形とやらを探しだけどね」


 本音だだ漏れで二階層に転送する。武器として石斧と雷鎚も持ってきた。

 他にもネコ車を用意していたが転移されて来なかった。


「やはり手で触ってないと駄目なんだな」


 そうなるだろうなと思っていたが案の定であった。

 理屈が分かってしまえば、どうという事のない行為である。


「ふ……初めてエレベーターを見た田舎者みたいな感じかな?」


 などと、田舎者が田舎者を蔑んでみる。


「まずは自分を鑑定……」


名前:石垣一イシガキハジメ

階級:1

HP:5/5

MP:1/1

BP:1.280

状態:正常

職業:謎こんにゃく田舎者

筋力:2

頑丈:2

敏捷:3

魔力:1

知力:1

幸運:1

特技:(鑑定:初回特典)(傀儡廻し:初級)


「一階でスライムを潰した分だけ増えてるか」


 降りてくる前にシン・スライムプレスを試しておいた分が加算されていた。

 今回は二階層で潰したスライムの経験値獲得値がどうなるのかを確かめるのが目的だ。


「経験値が多いと良いな……」


 雷鎚を置いて石斧だけを持って二階層の探索に出かける事にした。

 まずは二階層を歩いて様子見をしてから本格的に狩りだす。身軽の方が便利だ。


 転移部屋から一歩踏み出すと一階とは違った様相であった。

 床・壁・天井と全てコンクリート・ブロックみたいな物が積み上がっている。


(西欧風古城って感じだな)


 行った事は無いけど、ヨーロッパなどの城をイメージしてしまう。

 何より一階と違っていたのは、壁が仄かに光っている事だ。お陰で足元くらいは見えている。


(うん、懐中電灯は必要無さそうだな)


 一階層のように奥に行くに連れて暗くはなっていない。

 自然光が入って来ないのでヒカリゴケでも表面に生えているのだろうと推測した。


(しかし全部同じに見えるな……)


 左右を見回しても同じような壁面が延々と続いていて目印になるようなものは無かった。

 なので、転移部屋から左側に歩き出す。これは迷路などを脱出する時に使われる手法だ。


(これはマッピングしていかないと迷子になるぞ……)


 ハジメは歩数で一ブロックを測ってみると五メートル程であった。

 そのまま左周りにぐるりと歩くことが出来た。どうやら転移部屋は独立した部屋のようである。


(各ブロックに部屋があるのか?)

 

 第二階層は賽の目状に構成されているらしい。


(回復部屋も有るんだろうか?)


 途中にいるスライムを無視している。近寄らなければ攻撃して来ないから放置しているのだ。

 ハジメは転移部屋を基準にして左回りに地下回廊を巡ってみた。


(うん、スライムしかいなかったな……)


 ハジメはスライムを一匹始末シてみた。得られた経験値は0.001。


(一階と変わらないな……)


 第二階層を見て回って発見できたスライムの数は二十五匹であった。


(まあ、そうだと思ったよ)


 このダンジョンは五という数字に拘りがあるようである。

 何よりも謎なのは全て空室であった事だ。


(きっと、何か仕掛けが有るに違いない……)


 新たなる謎に少しワクワクしてしまった。

 今度は雷鎚を持って回ってスライムたちを潰して回った。得られた魔石は持って上がるつもりだ。


(よし、一階に戻って魔法修行の再開だ)


 目的を果たしたハジメは一階層に転移して、転移部屋の隅で魔法鍛錬を続けた。

 もちろん、ロウソクを使ったトラタカ瞑想だ。

 そして、炎を見つめているとふと思い付いた事があった。


(ん? 転移や鑑定って魔法の一種だよな?)


 転移にしろ鑑定にしろ魔蘇の働きかけで作動している。魔蘇を使うのだから魔法なのだろう。

 事実、外世界で鑑定を使う時には魔石を身に着けている必要があった。


(ひょっとしたら無自覚に魔力を使っているのでは無いのか?)


 きっと、そうに違いないとハジメは思い始めた。

 例えばライターで火を点けようとすると指で着火石を回すが力は必要とはしない。

 しかし、何回もやっていると指が疲れてきてしまう。

 同じことを魔法陣で試してみれば良いではないかと思い付いたのだ。


「ならば検証あるのみ!」


 探究心の塊であるハジメは思い立ったら居ても立っても居られなくなる。

 早速、検証に取り掛かった。


「うん、何回も転移を繰り返せば良いんだよな?」


 ニチャーとハジメは微笑んだ。

 転移魔法陣の真ん中に両足で立って、腹に力をいれるようなイメージで転移を唱えた。


「ニ階層に転移!」


 ハジメの姿が消えたかと思うと直ぐに現れた。それを何十回と無く繰り返した。

 百回目辺りでハジメは自分を鑑定してみる。少し気分が悪い感じがしていたのだ。


「うぉ、MPが0になってる」


 それと同時にグワングワンと目眩がし始めた。

 魔蘇切れを起こしたのだ。



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また職業欄に煽られてるw
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