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深層を目指す傀儡廻しのダンジョン探索日記  作者: 百舌巌


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第030話 傀儡廻し

 草部屋から抜いた草をダンジョンの外に運び出した。

 放って置くとリポップしたり分裂して増殖したりするからだ。


「取り敢えずは家まで防鳥テグスを伸ばしておくか……」


 今日は寝ていても経験値を取得できるのかを検証する為の下準備をする事だ。

 草部屋の有効活用法は其の内考えようと先延ばしにした。


 自分の部屋に防鳥テグスを引き込み慎重に床を這わせておく。取り回しが可能なように固定はしない。

 日中は窓の外に出しておくので母親の掃除攻撃にも平気なはずだ。


「さあ、後は寝るだけ……」


 夕飯までは時間があるので自分の部屋で瞑想の続きを行う。

 こういう事は日頃からの心がけが肝心なのだ(たぶん)


 魔法が使えるような雰囲気は今のところは無い。

 ここまで何も起こらないということは、魔法を覚えるためには何らかのスキルが必要なのだと思い至った。


「まあ、普通に暮らしていて魔法が使えるようになる訳ないわな……」


 ハジメの夜は更けていく。

 翌朝、何時もより早く目が覚めた。やはり、経験値取得が上手くいっているのか気になったのだ。


「よっしゃ!」


 朝起きて自分のBPを確認すると増加していた。

 ハジメが想像した通り距離は関係無く、物理的に繋がっていれば取得できるようである。


「寝てる間にレベリング作戦成功!」


 ハジメは部屋の真ん中でV字ガッツポーズを決めていた。

 妹が部屋の前を通りすぎた時に、ビクッとしていたが気にしないで置くことにした。

 きっと、何時もの(?)兄だと安心してくれたであろう。


 学校に行く前にダンジョンにやって来た。

 気になることが在ったからだ。


「ちょっとBPの獲得値が思ってたのと違うんだよな……」


 ハジメは夕方の十八時くらいにダンジョンから帰ってきた。

 それから朝までだと十四回程、シン・スライムプレスが作動しているはずである。

 まあ、食事や入浴などで何回か間に合わないとしても十二回前後。

 経験値としては0.12ぐらい増加になってないとおかしいのだ。

 しかし、実際には0.09であった。何回か抜けてしまっているか正常動作してない事になる。

 それを確かめに来ていた。


「ありゃりゃ……なんだコレ……」


 何回目になったのかは分からないが、板状パネルがズレてしまっていた。

 紐が緩んでしまい動作不良を起こしていた様。空回りしていたのだ。

 そして、潰しきれなかったスライムが何匹か蠢いていた。


「何か……あるぞ?」


 ウゴウゴとしているスライムの間にオーブ魔石らしきものが在る。


「うぉ、ドロップって奴なのか!」


 ひょっとしたら魔法を取得できるオーブ魔石なのかも知れない。ハジメは満面の笑みを浮かんでいく。

 ハジメはゴミバサミでオーブ魔石を慎重に取り出す。

 そのまま手を突っ込むとスライムに攻撃されるのは学習済みだ。


「ふむ」


 ハジメはオーブ魔石に鑑定を掛けてみた。


名前:傀儡廻し


「傀儡廻しってなんぞ?」


 今度は『傀儡廻し』を詳細鑑定する。

 傀儡廻し:人形を使う事が出来る。


「人形ってメルヘンチックやな……はっ!ゴーレムの事なのか?」


 ハジメは岩で出来たゴーレムがスライムたちをプチプチ潰す様を思い描く。

 きっと、召喚魔法か何かなのだろうと『人形』を詳細鑑定した。

 人形:与えられた命令に従って動作します。ゴーレムではありません(ざまあ)


「くっ、説明文酷す……」


 何らかの人形を操作できる能力であるのは文面から分かる。

 ただ、人形が召喚なのか使役ティムなのかは分からない。そこまでは表示されていない。

 ひょっとしたらロボットなのかもと思ったが、それだとゴーレムに被ってしまう。


「もしくはダンジョンの中に人形がドロップするか落ちているかだな……」


 もっと下層に行けば次の可能性が見えてきた。

 ハジメはオーブを使う事を決断した。


「オーブを使う……」


 ハジメが唱えるとオーブ魔石が光りだす。

 粒状の光がオーブ魔石から次々と溢れ出してくる。


「おーし!」


 オーブ魔石が溶け出し右手の中に消えていった。

 その様子をハジメは魅了されたかのように見つめていた。

 最初の時のような怯えは無い。


「自分を鑑定……」


名前:石垣一イシガキハジメ

階級:1

HP:5/5

MP:1/1

BP:1.269

状態:正常

職業:謎こんにゃく傀儡廻し(仮)

筋力:2

頑丈:2

敏捷:3

魔力:1

知力:1

幸運:1

特技:(鑑定:初回特典)(傀儡廻し:初級)


 特技に『傀儡廻し』が生えていた。


「一つ解明出来ても、そこからまた新たな謎が生まれる……うん、やはりダンジョンはロマンの塊だよな」


 ハジメはニッコニコになって学校へ向かうのであった。


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