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【祝!金賞受賞!】【書籍化予定】収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~  作者: エルリア


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71.魔真珠を回収しました

結局あのバカでかいショットシェルは地道にすきを狙うという泥臭い戦い方で何とか勝利。


消える前にスキルを収奪したものの大きくても中身は同じだったようだ。


想定外の戦闘に流石にくたびれてしまい、階段を下りた先で一時休憩。


本当は水のない階段付近で休みたかったんだけど、探索者の出入りがある場所なので流石に遠慮することにした。


三階層はさっき以上に水が増してくるぶしではなく脛のあたりまで水が来ている。


この中を歩くとなるとかなりの重労働になりそうだが・・・まぁ、仕方ないか。


ひとまず折り畳みの椅子をくっつけて桜さんには座ってもらい、専用コンロでお湯を沸かして一息つく。


これだけの水かさがあってもお湯を沸かせるのは須磨ダンジョン用に開発された探索道具のおかげ、正直あの値段を出す価値があるのかと疑ってしまったのだが今ならあの値段の価値が分かる。


篠山ダンジョンほどではないにせよ常に水につかっていると体力を奪われてしまうだけに温かい飲み物がどれだけありがたいことか。


「あぁ~生き返ります。」


「うん、美味い。」


「あの、和人さんは大丈夫なんですか?」


「冷気耐性があるからこのぐらいの冷えは問題ないよ。いざとなったらリルを呼んで完全耐性にすればいいだけだしね。」


桜さんは椅子の上だけど俺は胡坐を組んでおなかの所まで水につかりながらお茶を飲んでいる。


篠山ダンジョンで手に入れた冷気耐性だがどうやら自分が寒いと思うと反応してくれるようで、この中でも特に違和感なく過ごせている。


保温スキルと同じく体がポカポカしている感じなので効果があるのは間違いなさそうだ。


まさかこんな所でも効果があるなんてありがたいことだ。


「ここの敵はパックシェルでしたよね。」


「ホタテみたいな二枚貝でドロップする身もなかなか美味しいらしいよ。」


「確かホテルのBBQで出てたやつですよね?いっぱい狩りましょう!」


「食い物になるとやる気が違うなぁ。」


「何か言いました?」


「いや、なんでも。とりあえず奥まで行ってからリルを召喚しようか。」


ここまで来ると探索者の姿はほとんどないので召喚しても問題はないだろう。


ジャバジャバと波を立てながら進んだところでリルを召喚、だがちゃぽんと足が水についた瞬間再び光になってブレスレットもに戻ってしまった。


「リル?おーい、リルでてこーい。」


「多分足が濡れるのが嫌なんじゃないですか?」


「・・・確かに濡れるのが嫌な子もいるけどさぁ。まさかダンジョン内で召喚拒否とかどうなんだ?」


「だってリルちゃんですし。でもよかったですね、前みたいに小さいまんまだったら溺れてましたよ。」


「喜ぶところそこなんだ。」


出社拒否ならん召喚拒否、っていうかそういう選択肢を選べたんだ。


篠山ダンジョンは彼女のホームっていうかフェンリルに相応しい環境だったけれど、氷で少し濡れるのとがっつりおなかの部分まで濡れるのとでは彼女の中で許容できる範囲を超えてしまったらしい。


まぁ敵もそこまで強くないので別に構わないといえば構わないんだけど・・・せめてボス戦ぐらいは出てきてほしいなぁ。


そんなわけで助っ人の助けは借りられそうにないので二人でゆっくり三階層を奥へと進む。


二階層の足元は砂地だったけれど、ここは比較的固いようで水が重たいことを除けばそこまで苦になる感じはない。


これなら敵が出てきても十分対処できそうだ。


「和人さん、います。」


「了解。」


「私が引きつけますので飛び掛かってきたところをお願いします。」


直感スキルが発動したのか桜さんがどこかに隠れているパックシェルに反応、盾を前に構えてじりじりと進んだところでトビウオのように何かが水中から飛び出し、ジェット噴射のように水を吹き出しながら突っ込んできた。


が、桜さんの盾がしっかりとそれを防ぎ叩き落されたところを棒で押さえつける。


水の中に手を入れて取り出すと手のひらを一杯に広げたぐらいの二枚貝が姿を現した。


「なるほど、中に貯めた水をジェットみたいに噴き出して移動するのか。」


「体当たりしかしてこないのでそこまで怖くありませんね。」


「吸血とかしてくるなら話は別だけど本当に突っ込むことしかできないのか、残念過ぎるだろ。」


白い表面に黒のライン、貝の口はしっかりと閉じられているので倒すにはこれをどうにかしないといけないんだけどはてさてどうしたもんか。


物は試しとナイフを差し込んでみるもはじかれるだけ、それならとナイフを当てながら水の中に沈めると待ってましたという感じで水を吸うべく口を開けたところにナイフを突き刺し見事貝柱を切り裂くことに成功した。


【パックシェルのスキルを収奪しました。凝縮、ストック上限は後四つです。】


とどめを刺したパックシェルはそのまま海底に吸い込まれ代わりに一回り小さな二枚貝が姿を現す。


ふむ、見た目は同じだけどこっちはタダの貝殻みたいだな。


試しに中を切り開くと美味しそうな貝柱とひもが見える。


この間BBQで食べた時はこれに醤油を垂らして食べたんだが、うまみがかなり凝縮されていて最高に美味しかった。


「美味しそうですね。」


「そこまで強くないしさっきのやり方でガンガン倒していこう、今日の夜はBBQかな。」


「お肉も一緒にお願いします!」


「もちろん、じゃんじゃん捕まえて山ほど持ち帰ろう。」


最悪ホテルで買い取ってくれるらしいので持ち帰って損はない、気になるのはスキルの方だけど試しに使ってみたけどなぜか発動しなかった。


ま、色々試せばわかってくるよな。


そんなわけでパックシェルを探すべくそこらじゅうを歩き回り出会ったそばから討伐すること1時間以上、合計13個目の貝を手に入れカバンに直そうとした時だ。


【パックシェルのスキルを使用しました。ストックは残り三つです。】


さっきまで何の反応もなかったスキルが突如発動し貝殻が白く光りだした。


状況から推測するに貝をもっていたことで反応したんだろうけど見た目に何かが変わった様子はない。


凝縮ねぇ、うま味成分がたっぷり詰まった感じとかなら面白いんだけど外見的には何も変化はない。


ということは中の方か?


ナイフを差し込むんで動かしてみると途中で何か固い物に刃が触れた。


「ん?」


「どうしました?」


「いや、こいつ何か入ってるぞ。」


「え?」


そのままナイフを押し込んで貝柱を切りパカっと開けると、白い身の横に黒くて丸い物が入っていた。


「これ魔真珠じゃないですか!?すっごい貴重なんですよ!」


「普通の真珠じゃないのか?」


「原理は同じなんですけど、普通のと違って魔力が凝縮されてこんな色になるそうです。商品になっているのは見ましたけどほとんどが人工的に作られてて天然物は珍しいんです。」


「ってことは高いのか。」


「値段までは分かりませんけどおそらくは。」


魔力を凝縮してってことはもしかしてさっきのスキルが関係しているんだろうか。


試しに他の貝に使ってみたけれど一度口の開いたやつには反応なし、それじゃあと倒してすぐの奴に使うと再びスキルが発動した。


「え、またですか?」


「どうやらそうらしい。」


「どうしたんでしょう、ここってそんなに魔力が濃いんでしょうか。もしそうだとしたら篠山ダンジョンみたいに氾濫したりしません?」


「それは分からないけど普段他の探索者が来ないから必然的にそうなったんじゃないかな。」


「そうだといいんですけど。」


不安そうな桜さんを他所にとりあえず適当な理由をつけてごまかすことに成功。


流石にあまり持ち帰りすぎてもあれだけど、こんな簡単にレア素材が手に入るんならお金に困ったらまた来てもいいかもしれない。


とりあずスキルを収奪しつつ残った貝にスキルを使うという自給自足をしながらダンジョンを進み、この階層も無事に走破。


階層主のデカいやつにも凝縮スキルを使ってみたら発動したのでおそらくすごいのが入っていることだろう。


ここで開けると大変なことになりそうなのでばれないところで一度中身を回収しておく方がいいかもな。


めったに手に入らないという天然魔真珠、果たしてその値段はいかなるものか。



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