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エピローグ
――昔のことを思い出していたら、いつの間にかコタツでうたた寝をしてしまったらしい。
不意に鳴り響いた携帯の着信音に気付き、まどろみから目が覚めた。
寝ぼけながら画面を見てみると、そこには見覚えのない番号が表示されていた。
疑問に思いつつも、通話ボタンを押してその電話に出る。
数言話してから、俺は慌てて立ち上がった。
通話も切らないまま携帯電話を放り出し、足がもつれそうになりながらも玄関へと駆ける。
投げ出されて床へ転がった携帯からは、落ちた拍子でスピーカーとなったのか、通話相手の声が部屋に響いていた。
それは、扉越しに微かに聞こえてくる声と、紛れもなく同じものだった。
「……もー、お兄ちゃん、ちゃんと聞いてるの?」
玄関を開けると、聞き慣れたあの言葉が、見慣れたあの笑顔が飛び込んでくる。
「私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの!」




