第96話 俺達のドラフト一位
んじゃ、ココールのステータスを見てみるか。
ココール・サンダース
レベル1 鳥人種(コケ族)
【プロフィール】
ミシュリア王都に店を構える商人の息子。
鳥人種の中でもコケ族は飛行ができず、非力。
そのためか商売を生業とする者が多い。
商才はあるが戦いの才能はない。臆病な性格。
【成長率(筋/耐/器/敏/知/精/魅)】
1/3/1/1/1/1/1
※特殊スキル
丁稚奉公 ギルドショップの店番を引き受けることができる
下請け職人 プレイヤーの指示に従い工房での生産を引き受けることができる
ノミの心臓 バトル中すべての能力値がダウンする
おいいいぃぃぃ! 何だよバトル中すべての能力値ダウンって!
『丁稚奉公』と『下請け職人』はいいが、バトル向きではない。
うむ。初期レベル× 成長率× 初期技能× だなこれは!
ヤバいな、ココール。これは最弱候補だろ――
プロフィールで戦いの才能無いとか言われてるし。
他の鳥人種は皆レベル30以上はあるし、成長率も悪くない。しかも飛べるし。
このステータスと成長率と呪いみたいなスキルでは厳しいなー。
「う、うわー……ココールくん、なかなかなステータスだねー……」
「ああ……ある意味芸術的と言うか……」
だが――だが――
だからこそ――!
そう、優遇されたキャラ使って結果を残して、何が楽しいんですかって話ですよ!
「くっくっくっく――ぐふ……ぐふふふふふぅぅ……」
俺の含み笑いを見てあきらがビクッとした。
「ど、どうしたの!? お腹痛いの?」
「いやそうじゃねえよ……いいねぇ――! 見つけた、見つけたぞ……!」
「! れ、蓮くんまさか……?」
「魔改造! 覚醒! ジャイアントキリング! ココールには全てのロマンが詰まってるとは思わないかね!?」
「で、出たー! いつもの蓮くんの病気……! 目がキラキラしてるっ!」
「あきらもさっき言ってたよな? 今度会ったら力になってあげたいって」
「う、うん――」
「さぁまた会ったぞ! 今がその時ではないのかね!? あきら君!」
あきらは一切反論してこなかった。
それどころか、にこにこ笑顔になっていく。
「ふふふっ。分かってるって。反対なんてしないよ?」
「おお――マジで!?」
「さっすが蓮くんはブレないよね~。馬鹿だけど、それでこそって感じ」
「さすがマイベストフレンド! 話が分かる!」
「うんうん。わたしはもうとっくに諦めてるからね~?」
「んん? 人聞きが悪いんですが!?」
「気のせい気のせい。よーしそれで行こ!」
「おう! やってやろうぜ!」
「うんっ! オッケー!」
と、言うわけで俺達のドラフト一位は全会一致で決定した!
そして――
「――では皆さん着席を! 選択と抽選に移りたいと思います」
と、リエルリィズ姫がその場を仕切る。
「まずは先程もお伝えしました通り、悪魔の仕業の皆様。お望みの英雄候補の指名をどうぞ」
「「はい!」」
俺とあきらは声を揃えて起立する。
周囲のギルドマスター達から、あの子は指名してくれるなよ~とか、あいつは残してくれ~とか声が聞こえる。
多分大丈夫だと思うよ? 被らないと思います!
「「ココール・サンダースでお願いしますっ!」」
俺達はびしっとココールを指差して宣言した。
「「「「えええええええええええぇぇぇっ!?」」」」
会場が悲鳴のような驚愕に包まれていた。
「な、何考えてんだあいつ……!?」
「よく見たらこの間の対人イベントでアホみたいに銭投げしてた馬鹿じゃねーか……!」
「うわぁ、あきらちゃんまで巻き込まれてる……!」
流石にこれには、リエルリィズ姫も呆れた顔をしていた。
人の好意を無駄にしやがって――! と顔に書いてある。
「お、おい蓮にあきら! 考え直せ! いくら何でもそれは……!」
「そうよ、君達の小さいギルドじゃ、元々育成の人手や資金で不利なんだから……! そこまで縛る事はないんじゃないの?」
雪乃先輩とほむら先輩も血相を変えて止めてくる。
「あきら。こういう時はあきらが蓮を止めてやらないと……何を一緒になって――」
「違うんです雪乃さん――今度ばっかりは、わたしも大賛成なんですっ!」
おお、あきらの目がゴーッと燃えている!
さっきココールがいじめられてる現場見ちゃったからかな。
アレがよっぽど気に喰わなかったらしい。まあ俺もあれはムカついたが。
それにしてもあきらって優しいよなー。うーん惚れ直すぜ。
ん? 惚れ直す? あれ? んー……?
うーんまぁいい先に行こう!
「だが待って欲しい。あまり外野がとやかくいう事ではないさ、何も罪を犯したわけでもあるまい。それに、あまり騒ぐのは選ばれた彼にとって見ても失礼ではないのかね? 尊厳が傷つきかねん。NPCと言えども一個の人格であろう?」
その言葉に、会場が水を打ったかのようにシンとする。
いい事言ったからとかではなく、誰も絡みたくなかったからなのは間違いない。
内容的にはいい事言ってるように見えるが、突っ込みどころも満載だし。
「いや、あんたの恰好こそ犯罪的だコケよ。どの口が言ってんだコケ?」
おぉココール! 突っ込んだぞお前凄いな!
「フッ……この世界に公然猥褻罪は存在せん。故に問題はないのさ」
いや早く存在するようになってくれねーかな!
とりあえず、リエルリィズ姫がその後を引き取ってくれた。
「で、では――悪魔の仕業が担当する英雄候補はココール・サンダースに決定しました! ではココールさんは彼等の所へ」
姫に促され、ココールがえっちらおっちら歩いて俺達の元にやってくる。
胴体がタルみたいに丸っこいから、動きがコミカルだなー。
「コ、コケ―……さっきの人たちだコケな……?」
「ああ、俺は蓮だ! よろしくココール!」
「わたしはあきらだよ、ココールくん!」
「す、すまんコケ―。あんな姿見せたせいでおいらなんかを……」
「お前が謝る事じゃないって! 俺達がお前が良かったんだよ」
「そうそう! 歓迎するよー! せっかくだから楽しんでいってね」
「コケー……よ、よろしくだコケ~」
挨拶を交わす俺たちを尻目に、ドラフト会議は続いていく。
「はいそれでは……次の指名に参ります――!」
俺達的には、いいドラフト会議になったと思う! 満足!




