第85話 みんなの好意を踏みにじる?
さて三体の相手をする俺の状況だが――
黒衣の暗殺者の攻撃。蓮は攻撃をガードした!
黒衣の暗殺者に11の反撃ダメージ!
黒衣の暗殺者の攻撃。蓮は攻撃をガードした!
黒衣の暗殺者に11の反撃ダメージ!
黒衣の暗殺者の攻撃。蓮は攻撃をガードした!
黒衣の暗殺者に11の反撃ダメージ!
黒衣の暗殺者の攻撃。蓮は攻撃をガード。24のダメージ。
黒衣の暗殺者に11の反撃ダメージ!
格闘、剣、槍の順にガードして行くとやはりこうなる。
そして俺の貰うダメージは、段々蓄積してきていた。
同時に攻撃を貰わないように動きつつ、ガードで捌いて行くが槍持ちの攻撃がきつい。
着実に俺をガード削りしてくる。俺の残りHPは400ちょいだ。
「高代くん! 回復は……!?」
「いや、まだ駄目だ!」
今俺を回復すると、前田さんに敵が飛んで行く。
格闘と剣のやつは、まだ『リベンジブラスト』の反撃ダメージのヘイトが蓄積してるから、回復してもまだ俺に向かったままかも知れないが――
槍持ちは確実に前田さんに行くだろう。
敵対心=ヘイトは、ダメージを与えれば増えるし、ダメージを貰えば減るシステムだ。
反撃ダメージとガード削りのダメージは、ガード削りのダメージの方が重い。
つまり反撃ダメージのヘイトは、ガード削りのダメージによるヘイト抜けで、ゼロになっている。
今槍持ちが俺をターゲットしているのは、初めにターゲットしたのが俺だからに過ぎない。誰かがあいつのヘイトを稼げば、たちまちそっちにすっ飛ぶのだ。
それは避けないと……! そのためには――
俺は機会を待っていた。
槍持ちのヘイトをガッツリ稼ぐ機会を――だ。
それはもう、いつ訪れても不思議ではない。
『リベンジブラスト』の反撃ダメージではAPは溜まらない。
だから、格闘と剣持ちのAPは0のはず。
だが槍持ちはガード削りでダメージを出して来る。
だからAPは溜まっているはず。
そしてその時が来た――
黒衣の暗殺者はスピニングチャージの構え!
そのログが見えるのを待っていた!
矢野さんから借りた『パリィリング』のおかげで、俺のAPも準備できている!
「『ウィンドミル』!」
俺は槍持ちに背を向けて『ウィンドミル』を発動! 高く飛び上がった。
『スピニングチャージ』を発動した黒衣の暗殺者が、突進して足下を通り抜けて行く。
『ウィンドミル』は、前方に少し進みつつ高くジャンプする。
なので、俺は『スピニングチャージ』で走り抜けていった槍持ちを追いかけるような軌道で着地する。
その瞬間、槍持ちと他の二体には距離が開いている。
俺はその中間からやや槍寄りの位置につけたのだ。
槍のアーツは突進系が多いからな。その特性を利用して敵の分断を図ったのだ。
俺は即座に呪文を詠唱!
「『ディアジルサークル』!」
大範囲でMPを空にするように。
発動すると、槍持ちの方に走った。
「前田さん『デッドエンド』行くぜ! 装備変更、セットB!」
装備を『仕込杖』に変更し、『デッドエンド』を撃つ!
「『デッドエンド』!」
蓮のデッドエンドが発動。黒衣の暗殺者に2622のダメージ!
直後に前田さんの回復魔法が飛んできて、俺のHPは大回復。
だが『デッドエンド』で大幅に稼いだダメージヘイトのおかげで、敵のターゲットは動かなかった。
よしこれで、がっつり俺にタゲが来たぞ! このまま凌げる――!
俺は装備を『狂信者の杖』に変更し、同じ要領で敵を捌き続けた。
槍持ちのアーツには『ウィンドミル』合わせで回避する事も忘れない。
やがて杖持ちを倒したあきら達が剣&盾持ちを引き抜いて攻撃を開始。
それを倒すと次はナックル持ち。
最後は全員で槍持ち――と順当に捌き切った。
「よし―勝ったあぁぁぁっ! みんなお疲れ!」
「うん、やったね!」
「四人じゃ危なかったわね。六人でよかったわ」
「うへへへ……経験値がうまうまー♪」
俺40あきら40前田さん41矢野さん42まで上昇!
ちなみに赤羽さんは44、片岡は41だ。
「希美様ーっ! やりましたね!」
「わたくしたちが組めば、この程度のレベル差など――でもあなたもよくやりましてよ」
「やったー褒められた!」
「おー。何気に片岡が一番ダメージ稼いでたよな。おかげで早めに一体やれたから、ミスらずに維持できたぜ」
「ふっ……見たかよ。俺だって一人前の従者だ。やるときゃやるんだぜ」
「とはいえ――MVPは三対一を捌き切ったあなたですわ、高代君。さすがですわね。わたくしを負かしただけの事はありますわ」
「やったー褒められた!」
「はいデレデレしなーい。戦利品出てるよー?」
あきらに袖を引っ張られた。
そう、敵を倒した後にドンと大きな宝箱が残っていたのだ。
「……罠はかかってないみたいだぞ」
「……あたし的にもそう見えますし」
盗賊と空賊がそうお墨付き。
「じゃあ、あきら開けてくれるか?」
天性のラッキーガールだからな。なんかいいもの引いてくれそうだ。
「オッケー! じゃあ開けるよー!」
ワクワク。ワクワク!
ゲームやってて最もワクワクする瞬間の一つだよな、宝箱開ける時って。
あきらは宝箱を開けた!
宝箱には『ナースリング』が入っていた!
宝箱には『ラッシングリング』が入っていた!
ほう、アクセサリが来たか――
ナースリング
種類:アクセサリ 装備可能レベル:40
特殊性能:身に着けた者に、癒しの魔法の力を与える。
タレント『皆伝の証<回復魔法>』と同一の効果。
ラッシングリング
種類:アクセサリ 装備可能レベル:40
特殊性能:身に着けた者に、自身の体を敵にぶつけて攻撃する技術を習得させる。
タレント『皆伝の証<格闘・当て身>』と同一の効果。
「おおおおー! これはいいんじゃね! さすがラッキーガール!」
「へっへー! そうだねそうだね、これはいいと思うよ~!」
「これがあれば、高代くんの立ち回りの幅も増えるんじゃないかしら」
「うんうん、雑魚連戦とか乱戦だと空気になりがちだったのが、そこで役立てますし」
「わたくし達は手を貸しに来ただけですわ。これはあなた方がお使いなさいな」
「希美様がそう言うんなら、異議なし!」
「じゃあ、蓮くんがあれ使いなよ~」
あきらの言葉に皆がうんうんと頷いてくれた。
そうか――みんな俺の事を思って……ありがてぇ、ありがてぇ。
「みんな――あざっす! じゃあ使わせてもらうぜ……!」
そうして俺は、戦利品の入った宝箱から『ラッシングリング』を取り出した!
いやーこれ欲しかったんだよ!
「「「「「はぁ!? そっち!?」」」」」
全員から速攻で突っ込まれた!




