表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/256

第81話 劇場版的な展開

 で、翌日――


「っしと……! 今日もクエストの続きを……」


 ログインしてギルドハウスに降り立った俺だったが――


「「動くなッ!」」


 いきなり槍を突き付けられ、複数のNPCの兵士に囲まれてしまった。


「隊長! 怪しい奴を発見しました!」

「なんだよ!? ここは俺達のギルドハウスだぞ!」


 と、隊長格らしい少し豪華な鎧を身に着けた髭のおじさんがやって来た。


「済まないが、王命により一時ギルドハウスは接収させて頂く」

「ええっ!?」

「昨日ここで起きた事を知らぬと? 我らは徹底的に現場を調べ上げ、手掛かりを探すよう命じられている。それが終わるまで、如何に君がギルドマスターであろうが近づけるわけにはいかない」

「むぅ……!」


 昨日のアレ、やっぱまだ継続中なんだな。

 アニタさんはあの後どうなったんだ……?


「本来なら事件に加担した嫌疑で、君やギルドメンバーの身柄を拘束する事もできる。それをしないだけでも良心的だと思ってくれ。世界の最高学府たるレイグラント魔法学園の生徒が、そのような事に加担するはずがないと信じてはいるのだ」

「……分かりました。それでアニタさんはどうなったんですか?」

「アニタ様は投獄された」

「ええっ!?」

「もしあの方が偽の証言をしていて事件に加担していたのなら重罪であるし、していなくとも姫様を奪われた失態は申し開きが出来ん……」

「むむむむ――なるほど……」

「我等は本来アニタ様の配下だ。何とか姫様をお助けし、アニタ様を牢から出して差し上げたいのだ。ゆえに君も協力してくれ。我らの手を煩わせないで欲しい」

「了解です。何か協力できることがあったら言って下さい」

「ああ。済まないな」


 じゃあとりあえず教室に行くしかないか――

 リューもいないし、先にあきら達の誰かが連れて行ってくれたんだろう。

 俺は学園の教室へ向かった――

 着くと、既にあきら達が教室にいた。

 リューは前田さんに抱っこしてもらっている様子だった。


「あ、蓮くん! おはよー」

「おはよう高代くん。リューちゃんは先に連れて来たわ」

「おはー。高代もギルドハウス追い出されてきたカンジ?」

「ああ、みんなおっす。リュー連れてきてくれてありがとな、俺も追い出されたぜ」

「そうなんだ。ギルマスでもそうなんだねー……」

「ギルドハウスを取られている間、ショップも開けないわね」

「いつまで占領されてんだろーね、アレ」

「分からんけど、アニタさん牢屋に入れられたって言うし、ほっとくとマズい気がする」

「だね。クエ情報的にはまだ失敗になってないけど、いつなるか分からないもんね」

「やっぱり、私達がお姫様を見つけてあげるといいのかしら?」

「だろうなあ」

「けど、なんか手掛かりありますし?」

「一応わたし、昨日の敵のスクショは撮ってるよ?」


 と、あきらはスクショがプリントされた写真をぴっと取り出す。

 そこには短剣を構えた黒づくめ――そのものずばり人さらいの画像が映っている。


「これを情報屋に持って行けば、何か分かるかしら?」

「おおー、いいね琴美ちゃん! わたしのスクショが捜査に貢献するとか胸熱っ!」

「あと、アニタちゃんが何か知ってないかなーって感じ?」

「矢野さんの言う通り、そっちの線もあるよなー。両方の線で追ってみようぜ。まず授業終わったらギルドハウスの様子見に行って、そっから情報屋寄ってアニタさんに話を聞きに行くって感じでどうだ?」

「うん、オーケーだよ」

「私も」

「右に同じくですしー」


 よしじゃあ、放課後を待とう!

 授業はちゃんと受けとかねーとな。

 MEP(メリットポイント)MEP(メリットポイント)っと!


 そして放課後を迎え、俺達はまずギルドハウスの様子を見に行った。

 だが――朝の隊長さんや兵隊の皆さんはまだギルドハウスを出ていく気配は無い。

 これはもしかしたら、クエストが終わるまでこのままだったりするのか?

 仕方がないので、とりあえずショップには暫く休業の張り紙をしておいた。


「仕方ない、次。情報屋行くか――」


 と、そんな俺達に話しかけるプレイヤーが。


「あら、今日はお休みですの?」

「ん……?」

「あ、希美さん――」


 赤羽さんだった。片岡も当たり前のようにくっついていた。

 今日もあきらと仲良くなろうと頑張りに来たのか。

 だけど、ショップいつ再開できるか分からないんだよなー。申し訳ないな。

 と、ここで俺にいい考えが! ピコーンと閃いたぞこれ!


「実は何かギルドショップがらみのクエストが始まっちまってさ――終わるまでギルドハウス自体占拠されそうなんだよ、だからしばらくショップも休みになっちまった」

「まあ……それは残念ですわね」

「というわけでさ! もし時間あったらクエスト一緒にやらねーか?」

「「えええええええっ!?」」


 あきらと赤羽さんが同時に声を上げる。

 一緒に組んでクエストをやれば、雪解けも早まるってもんですよ!

 俺達も戦力が増すわけだしな。これはウィンウィンな提案ではなかろうか!

 前田さん矢野さんと片岡は、成り行きを見守る構え。

 特に異論は無さそうだ。


「ホラ、赤羽さんも早くギルドショップ再会できた方がいいんだろ?」


 赤羽さんが賛成しやすいように、言い訳を考えてこっちから提示してみた。

 この子の本音は、あきらと一緒にクエストやりたい! なんだろうが――

 素直にそれを言うことは絶対無さそうだし、何も思いつかなきゃ逃げそうだからな。

 賛成しやすい口実を与えてあげることが重要と見た!

 さぁ嬉しいくせに仕方がないからというポーズを取りつつ乗って来るがいい!


「ふ、ふん……! どうしてもと仰るならば、力を貸さないでもありませんわ。緊急事態なのでしょう?」


 うむ釣れたぁ! なんと言うテンプレ的なツンデレ言動。

 彼女の本音を知ってるから、ちょっと可愛く見えてくるわ。

 俺はあきらにそっと耳打ちする。


「あきらもさ、二人がライバル的存在なのは分かってるけど――普段ライバルだって劇場版じゃ味方になったりするだろ? きれいなジャ〇アン的な、な……!」


 俺の例えに、あきらはくすっと笑う。ちょっとウケたみたいだ。


「ふふふっ。そうかもね。じゃあせっかくだから――蓮くんに任せる。ギルドメンバーとして、ギルマスの方針には従わないとねー」


 と、いう事で赤羽さんと片岡を加えた6人PTが結成された。

 このUWアンリミテッド・ワールドの1PTの上限は6人までだ。

 何気に6人PTは初めてかもな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ