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第65話 ガチャにかけるべし!

「はあああああっ!」


 突っ込んで来た赤羽さんは、振り下ろしの一撃を放ってくる。

 大丈夫。ガードできる!

 俺は『狂信者の杖』を剣の軌道上に差し込みガードする。


 希美の攻撃。蓮は攻撃をガードした!


 よし大丈夫だ。さすが『狂信者の杖』!

 そしてガードの直後、同じ軌道をなぞる様に発生した幻影の刃が俺に向かって来る。

 これが、『ハヤブサの極光石』の合成武器の効果だ。


 希美の攻撃。蓮は攻撃をガードした!


 軌道はほぼ同じなので、初撃がガードできれば付属の二撃目のガード自体は簡単だ。

 一撃目と同じ姿勢でいればいいだけだからな。

 だが、二撃目をこちらがガードしている間、向こうは次の行動に移る事が出来る。

 僅かの差かも知れないが、攻撃モーションの当て合いの上ではこれが無視できない。

 通常の攻撃よりも、相手をガードで固める時間が長くなってくれるのだ。

 結果防御側は、反撃に移るスキが少なくなってしまう。

 ダメージ増に相手を圧する制圧力の向上、これが200万ミラの本来の価値である。

 現に二撃目をガードした俺の目の前に、赤羽さんが繰り出した下段から繰り出した斬り上げの攻撃が迫っていた。


「っと!」


 希美の攻撃。蓮は攻撃をガードした!


 で、それにも『ハヤブサの極光石』の効果の追撃が。


 希美の攻撃。蓮は攻撃をガードした!


「まだまだですわっ!」


 さらに続く通常攻撃のコンボ。

 タイミングはシビアだが、反応できないわけではない。

 ガードの難しさなら雪乃先輩の二刀流プラス体術の方が圧倒的に上だ。

 あっちはコンボルートの選択肢が豊富だからな。

 ソードダンサーの両手剣モーションはあきらと訓練所で遊んでいる時にさんざん見た。

 この感じなら防御については問題ない。

 ――が!

 攻撃手段が無いんですけどっ!?

 素材が無くて『仕込杖』は作れない。

 『ソウルスピア』じゃ一撃必殺は無理。

 一撃で倒さないと、ソードダンサーの高い回復力ですぐに無かったことにされる。

 服毒によって眠りも無効化されてるから、連続で当てることもできない。


「『ハードスラッシュ』!」


 ハイジャンプからの強撃を繰り出す両手剣アーツだ。

 ガードは固めているが、大質量の一撃を受け止めた衝撃は重い。

 腕がビリビリする感触があり、圧に押されて俺の体も後ずさりする。


 希美のハードスラッシュが発動。蓮はガード。78のダメージ。


 そこにも『ハヤブサの極光石』の効果が乗ってくる。


 希美のハードスラッシュが発動。蓮はガード。78のダメージ。


「やっぱこれは無理だな……!」


 さすがにアーツはガード削りを受けるな……!

 しかしAP(アーツポイント)は与えていなかったはずなのにアーツが飛んできた。

 なるほど、これは赤羽さんも『闘神の息吹』を持ってるな。

 AP(アーツポイント)が自動回復する高級タレントだ。

 獲得するにはMEP(メリットポイント)なら1000はいるが……

 これも片岡達が貢いだんだろうなー。

 まさかあきらみたいな豪運持ちでもないだろうしな。

 しかしこれでは――このままじわじわ削られて何も反撃できずに終わってしまう。

 ぐぬぬぬぬぬぬ! そんなつまんねー終わり方があるかあああぁぁっ!

 せめて何かできる事は無いのか……!?

 と、その時である。


 リューは『ブロンズアックス』を見つけた!

 蓮は『ブロンズアックス』を手に入れた!


 唐突にそんなログが割り込んでくる。


「!? 『オート採集』か……!?」


 守護竜のバトル参加は禁止だが『オート採集』はありなのか……!?

 しかしこれ『ブロンズアックス』が出たという事は、武器もあり得るって事だな。

 『ブロンズソード』が出てくれれば『仕込杖』が出来るんですが……

 『ブロンズソード』の『仕込杖』でも、モロに当てれば一撃必殺だろう。

 もちろん『アイアンインゴット』が出てくれてもいいし……

 つまり――まだ勝ち目はあるって事だ!

 本来俺の得意プレイはルーチンワークとローラー作戦だが――

 ここは『オート採集』ガチャの運ゲーにかける!

 うおおおおおおああぁぁぁぁ!

 リュー! リューくん! リューちゃん! リューさまああああぁぁぁ!

 お願いしますお願いしますお願いします!

 我に『ブロンズソード』とか『アイアンインゴット』を授けたまええええぇぇっ!

 それまで俺、全力で生き残ります!


「『ハードスラッシュ』!」


 再びのアーツ! しかしそうはさせるか


「『ウィンドミル』!」


 昇〇拳的に飛び上がる動きで、向こうのアーツを回避!


「逃がしません!」


 着地の背中側に回り込み、攻撃を繰り出してくる構えだ。

 しかし――!


「『スティングシュート』!」


 全然関係ない方向に撃ったが、これは着地ずらしのため。

 おかげで背後から斬られるのは防げた。


「まあ、ちょこまかと――!」


 こう見えても両手杖もそんなに捨てたもんじゃないぜ。

 まるっきり攻撃には使えないが、受け凌ぐには結構使える。

 『ほう! 動きだけはなかなかのものだ』って感じですよ。

 これで凌ぎつつ、うちのリューさんがいいの引いてくれるのを待つぜ!

 困ったときの守護竜頼みってやつだ!

 簡単に負けるわけにはいかないからな。

 あきらと決勝やりたいし、赤羽さんとあきらが仲良くできるようにしてやりたいしな。

 そのためには赤羽さんに勝って話を聞かないと。

 一緒に楽しくゲームできるんだから、やらない手は無いんだよ!


「簡単にはやられねえからな! 勝って洗いざらい喋ってもらう!」

「少々凌いだところで、調子にお乗りにならない事ね……!」


 赤羽さんが不敵に笑った。

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