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第64話 ヒューマンエラー

「準決勝第一試合を始めます! 出場者の方は舞台に上がってください!」


 装備類の詳しい見直しをする前に、呼び出しが来てしまった。しゃーない行くか。

 で――俺と赤羽さんは控室を出る。

 闘場へ上る階段は、選手だけの密室と化す。

 俺はここで、例の件について話してみる事にした。


「……というわけで、今日この後EFエターナルファンタジーやる時間ある?」


 と、すぐ後ろを歩く赤羽さんに呼び掛けてみた。


「な……!? な、ななな……ななな何を仰っているのか意味が分かりませんわね……!」


 赤羽さんは驚いて目を見開き、あたふたしていた。


「無理に隠さなくてもいいって、知ってんだからさ。な、スカーレット!」


 俺はぽん、と赤羽さんの肩を叩く。


「うぅ……な、なんであなたがその事を知っていますの……!?」

「いや、雪乃先輩が言ってたから」

「ス、スノウめえええぇぇぇ! わたくしを売りましたわねえええぇぇぇ!」

「いや、あきらに言うなとは言われたが、俺に言うなとは言われてないってさ」

「そんなの屁理屈ですわ! あなたに知れればあきらさんにも筒抜けでしょう!?」

「いや、俺はまだ言ってねえよ? 言っていいなら言うけど――?」

「余計なお世話ですわね! そんなことは自分でやります、あなたは余計な事をしないでくださるかしら!?」

「いやでもさ、じゃあ何で早く言わないんだよ? 無駄にギスギスするの疲れねえか?」

「余計なお世話と言っていますわ! わたくしにはわたくしの考えあっての事です!」

「だからその考えとやらを教えてくれよ。単に言い出しにくいとかなら、俺が言っといてやるから任せろよ」

「あなたにそのような事を教える義理もつもりもありませんわ!」


 ……うーん。現実のスカーレットはツンデレ気質だなー。

 EFエターナルファンタジーだと素直な好青年っぽいんだが。


「よし! じゃあ賭けでもするか?」

「賭け?」

「俺が勝ったら、何であきらに言わないのか理由を教えてもらう!」

「わたくしが勝ちましたら?」

「二度とこの件に関しては口出ししない!」

「……いいでしょう。その勝負、乗りますわ」

「よし、悪いけど勝たせてもらうからな!」

「それはこちらのセリフですわ!」


 そして俺達は、階段を抜けて闘場へと出る。


「「「希美さまあああぁぁぁっ!」」」


 会場がわっと沸き立ち、赤羽さんへの声援が飛ぶ。

 赤羽さんもあきらと同じくソードダンサー。そしてすげー美人。

 となると、あきらと同じくアイドル化するのは大自然の摂理。

 俺にとっては完全どアウェイな試合になりそうだ。


『さぁ春の新人戦は準決勝の第一試合を迎えております! 大会を盛り上げてくれている二人のソードダンサーの一人、赤羽希美さんの登場という事で、皆さんスクショ撮影に余念がありませんねー!』

「おうよー! 最高のワンショットを撮ってやるぜーっ!」


 片岡のやつ、はしゃいでんなあ。

 そんな中赤羽さんは俺と少し距離を取って向かい合い、武器を構える。

 装備しているのは両手剣だ。ソードダンサーは片手剣も両手剣も持てるからな。

 両手剣なのはEFエターナルファンタジーのスカーレットも同じ。

 両手剣好きなのかな、赤羽さんは。

 で、これまでの試合を見たところ、あの剣は『ハヤブサの極光石』の合成武器である。

 例の200万ミラのあれだが、片岡が貢いだのかなー。あいつならやりかねん。

 まあとにかく、二回攻撃でバシバシ攻撃してくることが予想される。要注意だな。

 俺の武器の装備は、とりあえず『狂信者の杖』で入る事にする。


『さて――それでは両者準備が整ったようですね! 試合開始してください!』


 仲田先生の号令に、ゴングの音。

 試合開始だ! 俺は赤羽さんの動きに注目する。


「――参ります!」


 赤羽さんの初手は――『毒薬』使用だった。

 雪乃先輩と同じである。眠り防止だ。

 まあ、そう来るわな。俺が赤羽さんの立場でもやるだろう。

 しかしこれで『ソウルスピア』の有用性は下がる。

 やはり如何に『デッドエンド』を当てるかに尽きる。

 中途半端にダメージを与えても、ソードダンサーの回復力は高い。

 一撃で倒せないと、たちまち回復されてしまうだろう。

 ともあれこの赤羽さんの服毒は想定内。

 だから俺は即座に反応し『仕込杖』の合成に入っておく。

 アイテムボックスオープン。合成メニュー起動。

 『アイアンスタッフ』と『アイアンソード』を――と思ったのだが……


「うぉっ!? やべぇ……!?」


 無い――! 無いのである。『アイアンソード』が!

 しまった合成し忘れてた!? いろいろあって事前チェックが疎かだった……!

 ならとりあえず『アイアンソード』を作る所から!

 で、俺は『アイアンインゴット』を合成メニューに――


「んんんんんっ!? ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ……! うごごごごごごごご……!」


 『アイアンソード』を合成するには、『アイアンインゴット』が四つ必要だ。

 で――『アイアンインゴット』が三つしかねえええええええええええっ!

 『アイアンソード』が作れねえ! つまり『仕込杖』も作れねえし!

 攻撃手段が無いんですが!? 『ソウルスピア』では一撃必殺は無理だ!

 ぎゃわーーーーーーーー! ちくしょーーーーーーー!

 ミスった、まじミスった! 一生の不覚うううぅぅっ!


「何を騒いでらっしゃるかは存じませんが――行きますわよ!」


 そんな中、準備完了の赤羽さんが猛然と突っ込んでくるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今までの主人公の描き方から、あまりにかけ離れた凡ミス、、、 次への伏線なのでしょうが、あまりにお粗末、、、 一気に読む気が無くなりました、、、 ここまで面白かったのに残念です。
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