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第62話 ネトゲ廃人の世間は狭い2

以前投稿していた

『第62話 決勝戦!?』

『第63話 大会の終わり』

『第64話 開店準備』

を削除し、新たに第62話から更新再開します。


※ちょっと時間を遡って展開を変える形になります。

 栞の関係など分かりにくくなってしまって済みません。

「蓮くんお疲れさま~! やったね!」


 控室に戻ると、笑顔のあきらが俺を迎えてくれた。


「いやー、ヤバかった……! 『ハヤブサの極光石』さまさまだったなー!」

「何だかんだで勝ってるんだから、いいんじゃない? 強いやつが勝つんじゃなくて、勝ったやつが強いんだよ~。銭さえ投げれば魔剣士にも勝てるって事を証明したわけでもあるし。やっぱロマンはあるよ、ロマンは!」


 まあ……ガードされてなおかつ瀕死まで削れたのはバカ火力のおかげでもある。

 そこはまあ、誇れるところだ。そこしか誇れないとも言えるが。

 しかしそういう一点だけが尖りまくった性能こそ、ロマンがある!

 やはり大ダメージはロマンですな! コストを盛大に度外視してますがね!


「プっ。大物ぶってたくせに自分もやられてんじゃん、うわ~恥ずかしっ! ざっこ!」


 と、ほむら先輩が俺と一緒に引き上げてきた雪乃先輩を煽った。

 嬉しそうだな。まーある意味このために200万ミラのアイテムくれたんだし当然か。


「フン、うるさいぞ。別に蓮に負けても恥ではない。蓮のプレイヤースキルは私も認めているところだからな」

「だから何だってのよ、負けは負けよ、負け負け! この負け犬っ!」

「あぁ!? 何なら今すぐに決着をつけてやろうか!? お前部屋から動くなよ! 今すぐ叩き潰しに行ってやる!」

「あっ! ちょっとリアルでの物理攻撃は無しでしょ!? 邪道よ邪道!」


 ……あ、二人ともログアウトしていなくなったぞっと。

 なんかリアルファイト的な何かが起こってるっぽいが、どうなってるんだろう。


「ま、まあでも雪乃さんに勝ったんだから、最大の山は越えたよね? これはわたし達ふたりの決勝戦も見えてきたね! 特に次は絶対勝ってね!」

「ああ、次俺赤羽さんとなんだよな~」


 彼女はもうすでに準決勝進出が決まっていた。

 で、今の試合で相手が俺になったと。

 あきら側の準々決勝が次の試合から始まる感じだ。


「うん、あの人には必勝! 必勝でお願いします!」


 ずいと顔を寄せて詰め寄ってくる。


「お、おう……でも珍しいな、あきらが人を嫌がるのって」

「わたしだってお釈迦さまじゃないからねー……幼稚園からずっと粘着されてれば、嫌にもなるよ。蓮くんと一緒にいる時はいつも楽しいから、いつもニコニコしてるように見えるんじゃないかな?」

「なるほどなあ……」

「とにかく一緒に決勝戦やろうね! 約束だよ!」

「おう――!」


 と、そこに例の赤羽さんがやって来た。


「あら、そう簡単にわたくしに勝てると思わないで頂きたいですわね」

「……希美さん」


 あきらが表情を固くしていた。


「よお赤羽さん。次の試合よろしくな」

「ええ、よろしく。ですが次の試合はわたくしが貰いますわ。いくら『ダメジョブマイスター』と言えども、これまでの試合で手の内を見せ過ぎですものね。それなりの準備を持って臨ませて頂きます」

「あ、赤羽さんも俺のこと知ってたりするんだなー……」

「ええ。わたくしも少々ゲームは嗜みますので、それなりには」


 微笑がクールで美しい感じだなー。

 うーむ。俺が話してる限り、別に嫌な印象は受けないんだけどなー……


「まあ、中の方がこんなに冴えない感じだとは、少々がっかりですけれどもね」


 はい、三秒で前言撤回します!


「……蓮くんを悪く言わないでください」


 と、あきらが赤羽さんの前に進み出た。


「まあ、わたくしは事実を言ったまでですが?」

「事実じゃないです。蓮くんは冴えないかもしれませんけど、可愛いです」

「あら、恋人をけなされてお怒りになって? 失礼ですが、青柳家のご令嬢ともあろうお方が、一般人に入れ込み過ぎではなくて?」

「違いますけど、あなたに言われたくないです。あなたのその性格じゃ、一生彼氏なんてできないじゃないですか」

「ふふふ……あなたも人のことを言えるような立派な性格でして?」

「少なくともあなたよりは」

「奇遇ですわね、わたくしもそう思いますわよ」


 おおなんか二人の間にダーク寄りのオーラが見えるぞ、怖え。

 うーむ……何とかならんのかねこの二人は。

 赤羽さんの後ろにくっついてる片岡もビビってるぞ。


 つんつん、と誰かが俺の背中を突っついてくる。


「あれ雪乃先輩?」


 戻ってきたらしい。


「おい蓮、ちょっと来るんだ」


 と、少し離れたところに引っ張られた。


「さっきから思っていたが、お前達は何をそんなに殺気立っている?」

「はあ……いや、先輩たちもあれだと思うんですが」

「私達のは息をするようなものだから仕方がない」


 なんて雪乃先輩が言う間に、ほむら先輩も戻ってきてあきらと赤羽さんの間に入って宥めていた。

 何だかんだでいいコンビネーションなのかこの二人。

 雪乃先輩は抑えめの声で続ける。


「お前達はEFエターナルファンタジーでは普通に仲がいいじゃないか? なんでここで揉めるんだ?」

「はぁ!? それ何のことっすか!?」


 まさか、赤羽さんもあっちの知り合いなのか!?


「ああ、あいつめまだ言っていなかったのか……自分から言うとは言っていたが――」

「だ、誰なんです?」

「スカーレットだ。お前ら仲いいだろう?」

「ま、まじですか……!」


 雪乃先輩のスノウと同じく、俺とあきらの共通のフレだった。

 一年位前に始めたプレイヤーで、ログイン初日の初心者の時にたまたま知り合い、結構色々ゲームのことを教えたり、手助けしたりしたなー。

 今ではすっかりゲームの腕も上がり、スノウこと雪乃先輩も認めるレベルだ。

 ちなみにキャラは赤髪の美青年剣士だった。大剣使いでその腕は確かだった。


 うん雪乃先輩の証言が正しければ、バリバリの知り合いです!

 ネトゲ廃人の世間狭すぎだろ!

 しかし確かにあっちで仲良くできるなら、こっちで揉める必要もないよなあ。

 色々経緯はあるのかもしれんが……


「蓮、お前あの娘達の仲を取り持ってやれ。顔の隠れた、ある意味素同士の関係なら仲良くなれるんだ、あいつらは。なのにギスギスするのはもったいない」

「そうっすね。わかりました」


 先輩の言う通りだと思う。俺は頷いて引き受けたのだった。

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