第5話 ステータス
それから暫くしてちょっと落ち着くと、話題はお互いのキャラスペックに。
「そういえば蓮くんのステータスって、今どんな感じなの?」
「んーと……」
俺はシステムウィンドウを呼び出して、ステータスの詳細を開く。
何もない空中に、透過ウィンドウがポンって浮かび上がる感じ。
「見ていい?」
「どぞどぞ」
で、あきらがウィンドウをのぞき込む。
ステータスは複数ページにまたがるので、まず先頭ページから行こう。
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【キャラステータス】
ジョブ 紋章術師
レベル 4
HP 103/103
MP 41/41
AP 0/300
STR 9
VIT 10
DEX 11
AGI 11
INT 20
MND 15
CHR 13
タレント1 暗器使い
<効果> 暗器系統の武器の装備を可能とする
タレント2 スキルチェーン
<効果> スキル・アーツを3つまで連結した奥義を編み出す
タレント3 ファイナルストライク
<効果> スキル ファイナルストライクを習得
タレント4 流れ作業
<効果> 合成モーションをスキップして実行可能ただしHQ発生なし
タレント5 なし
LUB 12
MEP 141
所持金 54338ミラ
【装備一覧】
メインウェポン 仕込杖(OEX)
サブウェポン なし
頭 なし
胴 シャーマンローブ
腕 なし
脚 シャーマンスロップス
足 ノービスシューズ
アクセサリ1 なし
アクセサリ2 なし
ってこんな感じ。
LUBはレベルが上がるごとに貰える。
これを振ってステータスを上げられる。
各ステータスの意味は――
STRは物理攻撃力に影響する。
VITは物理防御力や最大HPに影響する。
DEXは物理攻撃の命中率やクリティカルヒット率に影響する。
AGIは物理攻撃の回避率や移動速度に影響する。
INTは魔法攻撃力や最大MPに影響する。
MNDは魔法防御力や最大MPに影響する。
CHRはダンスの効果や様々な判定に影響する。
ベースのステータスは、ジョブごとに傾向がある。
そこから任意にステ振りして補正できる仕組みだ。
今のところまだ溜めるだけで振っていない。
MEPはタレントやアーツや武器防具だったり、いろんなものと引き換えにできるポイント。
まさにメリットしかないポイントで、あればあるだけ嬉しいものだけど――
これの唯一の入手方法は、学校のテストだったりする。
今持ってる値は俺の入試五教科の合計点-100ポイントだった。
次の定期テストは頑張らないとなー……
ちなみに100ポイントはタレントの『ファイナルストライク』と交換した。
そのタレントについて。
これは各プレイヤーに5スロット用意されていて、ジョブの装備可能品を拡張したり、追加でスキルを覚えたり、合成を楽にできるようにしたりと効果は多種多様。
この組み合わせでキャラ性能がだいぶ変わってくるから、自由度は相当高い。
腕の見せ所というか、試行錯誤のし甲斐がある。
紋章術師なら『皆伝の証<回復魔法>』とかがあるといいかも知れない。
純ヒーラーの回復魔法には性能で劣るけど、回復魔法が使えるようになる。
これで敵の弱体にしか活きないMPが回復にも使えるようになるわけだ。
「ふんふん……暗器使いにスキルチェーンで奥義――ほほーう……」
あきらは手元に『UWガイドブック』を開いて俺のステータスウィンドウと見比べる。
「うわ! 『暗器使い』と『ファイナルストライク』はE評価で、『流れ作業』はDで、『スキルチェーン』だけ辛うじてCとかだよお? 攻略本的にはどう見てもダメダメなセッティングなんですけど……これで魔改造できてるの?」
「最低限はな。スタート地点には立ってると思う」
「ふうん……蓮くんが自信あるならそれでいいんだろうけど――奥義とか攻撃役向けのセッティングだよね、紋章術師って超低火力の支援役だよねえ?」
と、いまいち釈然としない感じ。
「まあ見てなさいって。攻略本って言っても絶対じゃねーし。新しい流行が生まれれば評価なんてコロッと変わるんだよ」
「とのビッグマウスですが、わたしはここからの大失敗のパターンも結構見てるので、結果見るまで信用しませーん」
「あっははははは」
うーんさすがにあきらは話が分かる。でも今回は自信あるけどな。
世間一般に広く出回ってるゲームじゃないから、これまでの総プレイヤー数は普通のゲームより少ないはず。ということはプレイヤー側の試行錯誤が足りなくて、ダイヤの原石が埋もれてるって可能性は他のゲームより高い。
俺のセッティングはダイヤの原石になれる――! はずだ。




